『桜花裁き』レビュー
言葉は刃、切り裁け。
2017年の2月に発売されたエロゲーで、まともに戦える大作はほとんどなかった。『桜花裁き』という作品を除いては。
正確に言えば『桜花裁き』は純粋な「エロゲー」とは呼べない。これは「奉行推理」ゲームだ。
「推理」を掲げるゲームは数多い。有名どころでは初期の逆転裁判、それから後のダンガンロンパがある。もちろんLump of Sugarも似たような推理ゲームを出しているが、あれはストーリーがギャグ寄りなだけだ。
とはいえ、『ダンガンロンパ』のストーリーだってギャグじゃないか? 『ダンガンロンパ3』のストーリーはもうバカすぎてどうしようもないと噂だ。最後の展開はまるで汲み取り便所に手榴弾を投げ込んだかのようで、辺り一面にクソが飛び散り、プレイヤーは焚海狂蛆のような激怒を味わわされたらしい。だから私は賢明にもプレイしていない。ゲームを買う気すら起きない。『ダンガンロンパ2』ですら、当時の私の評価はあのバカみたいなメインストーリーは気にするな、素直にミニゲームを楽しめばいいというものだった。
だから『桜花裁き』も、最初は『ダンガンロンパ』あたりのギャグゲームのパクリで、推理と言いながら実際はデタラメばかり、最後は無理やり判決を下すだけなんじゃないかと思っていた。

ところが体験版を遊んでみると、意外なほど良かった。少なくとも事件の描写には「推理」の核心のようなものが既に存在している。他のことは知らないが、『ダンガンロンパ』のあのギャグみたいな犯行動機より、『桜花裁き』の方がはるかにマシだ。
『桜花裁き』の話をする前に、このゲームの背景に触れておくべきだろう。舞台は日本の幕府統治時代。主人公は父の職を継いだ「奉行」(ぶぎょう)だ。ぶっちゃけ、中国でいう昔の「県令」に近い。奉行の職務の一つが裁判、つまり裁くこと。幕府統治時代とは何かというと、明治維新前の日本では天皇はお飾りで、何もかも幕府将軍の言いなり。奉行は幕府将軍の配下の職である。

幕府時代にはもう一つ「新選組」(しんせんぐみ)という組織があった。銀魂のネタか何かで知っている人もいるだろう。新選組については語り出したらキリがないが、簡単に言えば武士の集団で、これまた幕府将軍の飯を食い、街の治安維持を担当していた。治安大队のようなものだ。新選組のリーダーは「局長」と呼ばれ、最も有名なのは近藤勇局長。このゲームの局長も「近藤」姓で……名前は近藤尊という。
日本の幕府時代の封建制度を中国の古代の職に当てはめて説明できないかずっと考えているのだが、どうにも見つからない。よく考えれば、明治維新前の日本は典型的な封建社会だったが、当時の中国はもう純粋な封建社会ではなく、中央集権的だった。中国が純粋な封建時代だったのはいつか? 春秋戦国時代まで遡る必要がある。あの頃の割拠や配下の門客などは、日本の幕府時代の階級に対応できる。Yahoo!知恵袋で「なぜ中国には日本の武士のような階級がなかったのか」と疑問に思う人がいるが、実際には存在した。ただ秦の始皇帝が統一した後、それはなくなった……存在する必要がなくなったからだ。一方、日本は特殊で内乱が続き、天皇はずっと発言権がなかった。明治維新になってようやく天皇に権力が戻った。しかし日本はこの追い風に乗ってイギリスの先進技術を広く学んだ。当時の中国はまだ傲慢に天朝上国と自負していた。中日の差はその瞬間に開いた……

考えてみれば皮肉なものだ。中国の社会発展は日本よりどれだけ早かったかわからない。しかし発展が速すぎたせいで多くの歴史問題を抱え、転換期に日本ほど潔くできず、生きたまま追い越された。
あ、話がだいぶ逸れた……ただ言いたかったのは、主人公は「知県」のような存在で、新選組は治安大队のような存在で、両方とも幕府将軍の飯を食い、治安維持を担当し、天皇はおもちゃで発言権がない、大体そんな感じだということだ。

ゲームが始まると、主人公は早速事件を任される。新たに任命された奉行としての初めての事件だ。新選組とその局長・近藤尊も主人公の仕事を支援し、二人の武士、沖田紫乃と土方紀風も主人公の右腕となる……(ったく、このキャラ名は歴史上の名前をちょっといじっただけじゃないか)。
Case 1:河合小梅殺人事件
体験版にも登場した事件で、主人公が頭角を現す最初の事件だ。この事件は非常に典型的。河合小梅がとある家の前を通りかかった際、中の死体を発見し、犯人と誤解される。事件の鍵は現場の鏡。三人の容疑者が遺体発見時刻について食い違い、11時と言う者もいれば午前1時と言う者もいる。そのうち一人は鏡の反射越しに時計を見ていた。つまり実際の時刻は午前1時で、一人の容疑者が嘘をついていると推測できる。そこから犯人を推理し、河合小梅の潔白を証明する。この事件後、河合小梅は書記として主人公のそばに来て補佐する。

この事件を裁いた後、帰宅した主人公は父が何者かに殺されているのを発見する。犯人不明。父は自分で裁断に使った扇子を残しており、主人公が開くと「天道」と書かれていた。主人公は父の遺志を継ぎ、奉行として務めを続けることを決意する。
Case 2:長屋火災殺人事件
主人公の幼馴染・平賀理夢の師匠が殺人を犯す事件。この事件は「最も親しい友人が犯人なら、你有罪と裁けるか」という雰囲気をプレイヤーに突きつける。この事件自体に難しい推理はあまりない。主な問題はゲームの設定がバカすぎること。火災現場で遺体を調べた時点で後頭部に重傷があるとわかるのだから、他殺と推測できる。なのにゲームは最初、主人公に焼死だと思わせ、突然「いや違う! まだ疑問点がある! 死者は絶対に他殺だ!」と閃かせてから証拠を出させる……バカすぎる。

Case 3:樹氷蔵王殺害事件
このゲームで最も謎が多く、最も複雑な事件。地元の金持ち・樹氷蔵王が自宅の地下倉庫で死んでいるのが発見される。同時に、16年前に死刑判決を受けた義賊「鼠小僧」が彼に監禁されていたことも判明する。義賊はあっさり自分が樹氷蔵王を殺したと言い、それ以外は何も語らず、主人公に早く裁断しろとだけ告げる。義賊は自分が犯人だと認めている。

しかし実際はそんなに単純なわけがない。調査の結果、義賊は何もしておらず、自ら罪を被っていることがわかる。なぜ罪を被るのか? 樹氷蔵王を殺したのは彼の家の使用人だったからだ。
使用人がなぜ主人を殺したのか。使用人は、自分と最も親しい、つまりこの家の秘書が樹氷蔵王に殺され、ホルマリン漬けにされて生き人形のように展示され、海外の野蛮人に見せ物として高値で売られることになっていると聞かされたからだ。だから使用人は親友が殺されるのを見過ごせず、自ら手を下した。理由は、主人の樹氷蔵王が海外から大量のホルマリンを購入しており、秘書も海外へ行くと言っていたからだ。

実際には樹氷蔵王がホルマリンを買ったのは養蚕のためで、秘書の海外行きは先進技術を学ぶためだった。使用人が想像したようなことでは全くなかった。なぜ使用人がそう思い込んだかというと、樹氷蔵王と取引のある商人が使用人に火をつけ、樹氷蔵王がそうするつもりだと吹き込んだからだ。間接的に使用人を煽って主人を殺させ、商人は樹氷蔵王から借りた金をうやむやにしようとした。まさに借刀殺人である。
同時にこの事件は事件の中の事件でもある。「鼠小僧」は殺人犯では全くないのに自ら罪を被り、「南町奉行」に会いたいという条件まで出してくる。主人公は調査を通じて、樹氷蔵王が16年前に「鼠小僧」を監禁したのは、「鼠小僧」が彼の家に盗みに入り、「血書」を盗み出して「南町奉行」に届けようとしていたからだと知る。主人公が「鼠小僧」を調査する際、地元の一部勢力が妨害してくる。主人公は彼らにも有罪を宣告し、事件を解決する。

このCase 3はゲーム中最も長い事件だ。序盤で主人公は初めて裁断を下すが、何者かに斬られて負傷。ヒロイン2の遠山桜が代理で調査を進める。しかしこのヒロイン2がイキりすぎていて、最初は誤った判決を下し、その後立て直して事件を解決する……まあ、ヒロイン2の成長機会でもあるのだろう。
そしてCase 3から一つの真実が明らかになる。河合小梅の本当の身分は幕府将軍の一人娘で、将軍は既に暗殺され、河合小梅が唯一の将軍継承者かもしれない。現在は叔父が「影武者」として政務を執り行っている。「影武者」とは要するに替え玉だ。河合小梅が民間に紛れ込んだのは、一つには人目を欺くため、もう一つには庶民の生活を体験するためだった。
Case 4:桜花事件
Case 3が終わると、町で花火大会が開かれる。主人公が一行を連れて花火を見ていると、突然悪報が届く。新選組の局長が何者かに斬られたという。さらに悪いことに、幕府将軍の影武者、つまり河合小梅の叔父も刺され、幸い死には至らなかった。刺された場所にはすべて討伐の印が残され、「天罰」と書かれていた。
主人公が調査を進めると、いつも大通りに出没する無職の浪人・東条藍之助が怪しいと判明する。最初の裁断で東条藍之助は何度も嘘をつき、主人公が犯人と決めようとしたその時、東条藍之助は突然正体を現す。彼は南町の奉行・遠山景虎で、わざと変装してここに偵察に来ていたのだった。ここで何かが起きる、誰かが反乱を企てているという。遠山景虎は主人公のデタラメな裁きに激怒し、主人公をそのまま牢屋に叩き込む。

牢の中で、主人公の知り合いである新選組の山南彩花が夜中に主人公を連れ出し、多くのことを告げる。主人公は実は幕府将軍の私生児であり、主人公の母は将軍と関係を持った女だが、諸事情で将軍の側妾にはなれず、最後には妊娠してしまったという。日本では未婚の女性が妊娠しても裁判にかけられる。そこで主人公の父は自分の書記であるその女を守るため、彼女と結婚し、子供は自分のものだと言った。主人公の父が進んで養子を引き受けたことには、もうひれ伏すしかない。

つまり主人公には将軍幕府の血統がある。将軍は既に死に、河合小梅という女が一人残るだけで、かろうじて継承するしかない。だから主人公がこの身分を明かせば、将軍になることすら難しくない。
山南彩花は主人公に諦めるよう説得し、事件にこだわらず身を隠すことを勧める。さらには身を捧げようとまで言う。しかし主人公は拒否する(同意を選ぶこともできるが、すぐにGame Overになる)。山南彩花は怒って去り、主人公の家に火を放つ。

結局主人公は死ななかったが、翌日、山南彩花が街角で死んでいるのが発見される。
そこで主人公は第二ラウンドの調査を開始する。なぜ新選組の局長が斬られたのか、なぜ幕府将軍の代弁者も刺されたのか、なぜ南町奉行・遠山景虎が身分を隠してここへ来たのか……
調査の末、真実が明らかになる(具体的な流れは本当に複雑なので、ゲームで感じてほしい。私はもう死にそうだった)。
最終的な黒幕は、新選組の局長・近藤尊だった。

そう、被害者が企画者だったのだ。主人公は一連の推理を通じ、新選組の局長・近藤尊が自分を使って大きな盤面を操っていたことを突き止める。
主人公の父を殺したのは彼だ。主人公を当然のようにここの奉行にするため。最初のCaseは河合小梅を陥れ、ついでに主人公に腕があるかを見るためだったが、失敗し、主人公に確かな腕があることが証明された。二番目のCaseは主人公が私情に流れるかを見るためだった。何しろ犯人は幼馴染の師匠であり友人でもある。しかし主人公は流されず、公正だった。三番目のCaseは異分子を排除し、地元の権力者を始末すると同時に、主人公の知名度を上げ名声を高めるためだった。

何のためか? 新選組の局長は知っていた。主人公が幕府将軍の私生児であることを。自分が先に主人公を擁立し、適切な時に公表すれば、主人公は当然のように将軍になり、自分もそれに乗じて権力者になれる。
何しろ小梅は女にすぎず、将軍の後継は男が中心だから。
新選組の局長の計画は最初から練られていた。主人公の父を始末し、最後のCaseで幕府将軍の影武者を始末して主人公の最後の障害を取り除く。ところが主人公がとことん追及し、事が露見しそうになると、あっさり主人公を売り、南町奉行に牢屋へ入れさせる。さらに山南彩花に説得させるが、また失敗。新選組の局長は自保のため、山南彩花を殺して口を封じる。自分も被害者の一人だから発覚しないはずだったが、最後には主人公に見破られてしまった。

近藤尊がなぜ権力を信仰するのか。彼は現在の幕府制度が嫌いで、この世界に新しい秩序を築くべきだと考えていた。近藤尊は妻と子を盗賊に殺され、復讐のため盗賊を殺そうとしたが、主人公の父に「暴力で暴力を抑えてはいけない」と諭された。近藤尊は納得せず、この乱世に絶望し、新選組を立ち上げ、主人公の血統を見出し、一気に成り上がろうとしたが失敗した。

主人公の父の裁きは「人を以て本とする」ことを重んじ、扇子には本来「人道」、人の道と書かれていた。新選組の局長が主人公に渡した時、二本の線を加えて「天道」とし、天に代わって道を成し、殺すべきは殺せという三観の違いを示している。
で、このゲームは何を語ったのか? 要するに呂不韋が嬴異人を利用したような話で、しかも失敗した。それにこのゲーム自体が歴史架空だ。歴史上の新選組は幕府のために最後まで戦ったのに、どうして反乱など起こすのか? ゲーム内でネタにされている人名からしても、明治維新はもうすぐそこだ。最後に主人公が将軍に統治を続けてほしいと願うのも、おそらく望み薄だろう。

『桜花裁き』は力を入れたゲームだ。原画とシナリオだけに頼る他のギャルゲーとは違い、『桜花裁き』は正真正銘、プレイアビリティのあるゲームだ。複雑さは『ダンガンロンパ』に劣らず、個人的には『ダンガンロンパ』より難しいと思う。何しろ言弾は六発しかないが、証拠と証言を合わせれば十六個どころではない。ゲームのシステム設定と推論演出効果は一級品で、水墨画スタイルが最初から最後までゲームを貫き、音楽も凝っている。宣伝段階で公式がOSTを公開したのも自信の表れだろう。

推理部分はほとんどの推理ゲームと同じだ。調査、収集、議論、裁断。過程に特別なものはないが、事件の設定は他のゲームよりかなり良い。多くの罠がプレイヤーを悩ませ、最後に真犯人が現れると「うわ、まさかこいつだったのか」という感覚を与えてくれる。事件全体もあまり無茶に感じさせず、中には面白い推理もある。
ゲームの欠点を挙げるなら、推理難度が高すぎること。特に証言部分は、初見で正解を選ぶには何度も読み返す必要があるものがほとんどだ。ゲームの陳述段階では赤字に対して議論でき、『ダンガンロンパ』の「言弾発射」に似ているが、ここでは狙う必要がなく、その分難度が悪質。攻略を見なければまず一発で正解するのは難しい。選択肢の中にはかつて英語の読解問題を書いていた頃を思い出させるものもあり、曖昧すぎて一つずつ試すしかない。ただ幸いなことに、このゲームは大部分の時間、自由に試せる。どれか一つは通過できる選択肢があり、Game Overの心配もない。

そう、「大部分の時間」と言った。最後の裁決の対決で、主人公は「自分の命を賭けて」も新選組の局長に有罪を突きつけることを選ぶ。その後で選択を間違えると即Game Overになるので、慎重にセーブしてほしい……

もう一つの欠点は前述の通り、日本史と大きくかけ離れていて違和感がある。それに加えて画風も少し奇妙だ。正面から見ればまだいいが、多くのヒロインは横顔がまるで別人のようで、CGと立ち絵が似ていないものも多い。絵師の腕が悪いのか何なのか。ただ全体的な彩色は精美で、sorahaneのおかげだろう。そう、あのクソゲーを作った会社だ。このゲームはその会社の別名義で作られたものだろうか?

このゲームのもう一つの欠点は「恋愛要素の欠如」だ。共通ルートからエンディングまで、恋愛をしている暇はほとんどない。主人公はずっと事件を追っている。ヒロインの性格造形は……まあ、あるにはある。それぞれどんな気性かは感じられる。ただ主人公との絡みや会話が少なすぎる。PSPの初期の推理ゲームのような感じだ。これを補うため、ゲームはクリア後に複数キャラの後日談やルートを特典として付け、恋愛要素を補おうとしているが、正直あまり良くない。変な感じだ……

だからずっと思うのだが、このゲームはもうギャルゲーとは言えないのではないか。なぜ18禁にする必要があるのか。全年齢向けの家庭用ゲーム機で出して、大物声優を起用すればいいのに。少し前にPSVで日本一ソフトウェアが出した『ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』は好評だったじゃないか。声優もみんなエロゲーで活躍している人たちだ。『桜花裁き』もその路線でいけたはずだ。自信がないのか予算がないのか、この奇妙なゲームはエロゲームの列に紛れ込んでいるが、いつもどこか場違いに見える。萌え妹を見たい人はやらないだろうし、推理を見たい人はエロゲームのカテゴリで探そうとも思わないだろう。ただ売れ行きは悪くないらしい。しかしこのゲームの制作費は相当なものだ。元が取れるのか心配だ。

ゲームのキャッチコピーは「言葉は刃、切り裁け」。アニメのような演出も使われているが、事件は四つしかなく、アニメ演出も四回だけなのであまり意味はない。またゲーム内では造語の「四字熟語」が多用されている。中国語の成語に似た、日本人が作った造語の成語だが、中国人から見ると本当にバカっぽい……まあ、まあ、君が喜んでくれるなら、それでいい。
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