『ナツイロココロログ Happy Summer』レビュー

煙の中で見た過去

広告

声優の松永莉佳(蓬かすみ)はきっと『ナツイロココロログ』を演じて心底よかったと思っているに違いない。なぜかって、彼女のTwitterページを見ると、彼女が演じたキャラで堂々と見せられるのはこのゲームのメインヒロインだけなのだ。彼女が演じた他の作品のキャラは、雑魚かボスか、あるいは主人公なら必ず巨乳を凌辱される抜きゲーのヒロインで、アイコンにするのすら恥ずかしい代物ばかり。

実際『ナツイロココロログ』のヒロイン・常磐久遠はめちゃくちゃ可愛い。原画の白もち桜の萌え必殺技のおかげで、このゲーム自体が「萌えゲー」界の清流だ。このゲームにシナリオだの音楽だのCVだのは一切不要、そこそこ良ければそれでいい。画風だけで萌え豚どもは万歳三唱するだろう。

広告

だが皆も知っての通り、俺は萌え豚でも妹萌えでもない。だから『ナツイロココロログ』をプレイしていて強く感じたのは、このゲームの主人公がとにかくクソすぎるということだけだ。前の記事でも書いたが、この主人公は唯々諾々として主体性ゼロ、ヤバいと見るや即座にタマを引っ込める。女方が何も求めず主人公が頷くだけでいいという場面で、彼はなんと背を向けて家に帰る。こんな振る舞いは現実なら「ヤって気持ちよくなったら腹がデカくなった女を置いて消えるクズ」そのものだ。なのにそんなクズがハーレム萌えゲーの主人公だなんて、到底受け入れられない。

screenshot.66.jpg

主人公はクソだが、こういうゲームでは主人公なんて空気として扱えばいい。我慢すれば済む話だ。実際、俺の『ナツイロココロログ』への印象はかなり良い。特にOSTは驚くほどクオリティが高く、多くの曲がOSTのライナーノーツで「この曲はゲーム内のどんな心情を表現したかったのか」と解説されていて、いやはやよく分かってるなと感心した。

そんなわけで『ナツイロココロログ』のファンディスクが早々に発表された。タイトルは『ナツイロココロログ HS』……おっと間違えた、『ナツイロココロログ Happy Summer』だ。元々特別なメインストーリーなんてないゲームだから、FDの売りは当然、初回特典のタペストリーとアフターストーリーになる。

screenshot.60.jpg

ゲームには7本のアフターストーリーが用意されていて、うち5本がヒロイン(王さん似の女教師も含む)の話、残り2本がハーレム話。この時点でかなり诚意が感じられる。ほとんどのゲームのFDなんて本編の端切れを寄せ集めただけなのに、ここはハーレムENDまで付けてくるんだから、もはや突破と言っていい。

そこで俺は意気揚々とまずハーレムルートを始めた。もちろん俺は乱交好きなわけじゃない。このゲームのハーレムルートが最初にあって、しかも特筆すべきはゲームのOPプロローグもこのルートに含まれている、つまりお墨付きの最初のルートだからだ。

screenshot.123.jpg

ハーレムルートの話は実にテンプレだ。主人公と4人のヒロインが女教師に店のバイトを割り振られ、バイト中もあれこれ忙しく、バイト中に誰を主に気にするかを選べる。しかし選んでも何の意味もない。バイトが終わって休むその夜、画面が暗転して明転……oh fuck、俺は何を見てしまったんだ!

screenshot.117.jpg

主人公はもうヒロインたちと、そう、ヒロインたちと全裸でベッドに横たわり、これからヤる準備万端で、しかも「まずどの二人をヤる?」と聞いてくる。なんだこの展開、と思いつつももう矢は放たれていて引き返せない。俺は適当に一人選び、一発噴射したところで画面がまた暗転明転、朝になった。

主人公は何人かの恥ずかしそうなヒロインたちを見る。彼女たちは何も言わず、ただ黙って立っている。

つまりさっきのは全部チンコが見た春夢だったのか?

そう、主人公は何もしていない。ただ春夢を見ただけ。しかもかなり無茶苦茶な春夢で、俺が毎晩見る春夢より何倍もレベルが低い。そしてこのいわゆる「ハーレムルート」はこんな感じであっさり終わった。

screenshot.122.jpg

俺は主人公のようなクズが女を侍らせるのは見たくないが、こんなハーレムルートはもっと見たくない。無茶苦茶すぎて全然感情移入できない……

そこで俺は一番愛する常磐久遠のルートを見ることにした……このルートは純粋なアフターストーリーだ。主人公は最初から彼女と恋人同士で、先生が新たな仮想現実デバイスを開発し、主人公とその彼女にテストを依頼してくる。今回は二人だけの独立空間を作れるのでプライバシーがより守れる、と。書いて「プライバシー」、読んで「ラブホ」だ。

screenshot.63.jpg

後の話は分かるだろう。主人公は共通ルート同様「システムのテスト」を名目に、システムの中で俺の久遠とあれこれヤりまくる。海でヤり、部屋でヤり、海岸でヤり、木のそばで俺の久遠を押さえつけて力任せにヤる。見ていて非常〜〜に複雑な気持ちになった。主な理由は、多くのCGで主人公が顔を出していて、その顔が俺に「どうだ」と自慢しているように見えるからだ……

そして最終的にこのクソ主人公は久遠の家を訪れる。俺の久遠はお嬢様で家は金に困っていない。男に家をねだることもないし、結婚計画を考えろとも言わないし、三日と空けず電話して「愛してるか」と答えを強要することもない。一番貴重なのは一緒にゲームまでしてくれる。まさに世界一の彼女だ。なのにそんな彼女がクソ主人公にヤられた……しかも6回も。

screenshot.84.jpg

最終的に主人公は俺の久遠にプロポーズし、しかもわざとらしく俺の義父に「久遠を幸せにします」などと言う。義父はその表情で全く信じていない様子。仕方なく主人公は久遠の母親を盾に取り、久遠の母親の墓前に出向いて饒舌に「俺の久遠の母親の前で久遠と結婚すると誓います」などとのたまう。

しかしどの少女にも頭に血が上って騙される時はある。久遠はなんと訳も分からず承諾してしまい、クソ主人公はこんな風に手ぶらで俺の久遠の家に転がり込み婿養子になった。見ていて気持ちは五臓六腑が入り混じったようだ。

screenshot.96.jpg

最終CGで主人公はまた、無垢に見えて実はクズでゲイの受けのような面相を晒す。俺はその顔の口元に勝者の微笑みが浮かんでいるのを見た気がした。俺の久遠がこのクソ野郎と共に底なしの奈落へ落ちていく姿を目にした気がした……

screenshot.100.jpg

絶望……マジで絶望……

絶望の中、俺は妹のルートを始めるしかなかった。俺は妹萌えではないが、妹のCV・鹿野まなかはよく知っている。というか、彼女のもう一つの名前で呼んだ方がいいだろう:野上菜月。

screenshot.130.jpg

妹ルートは俺の久遠以上に爆発ものだ。主人公はひたすら妹とヤりまくり、最後には妹に名分を与えない。つまり主人公は最終的に妹と本当の恋人になるわけでもなく、妹との身体的な恋愛関係を完全に終わらせるわけでもなく、ただ「好きな女の子であり同時に妹でもある」などと言う。なんだそれ?ここでまた主人公のあのクソ面が浮かんできた……

screenshot.138.jpg

他のキャラのルートはむしろもっと失望させられる。小都音は一番人気なのにシナリオは最短。最後の先生ルートは80%が主人公の妄想で、最後に主人公は先生と一発ヤる。なんと言えばいいのか、一夜限りの関係のようにも見える。要するに、主人公はやはりあやふやなまま一人の女の体の便宜を図っただけだ……

screenshot.140.jpg

プレイ中、俺はいつも主人公のあのクソすぎる顔を思い出す。不思議で仕方ない。なぜこんなにタマを引っ込め、懦弱で、優柔不断で、無能な主人公がこんなに多くの女を弄んで全てを無傷で済ませられるのか。なぜこんなクソ主人公を造形するのか。なぜこのゲームはファンディスクと言いながら大半のヒロインに名分を与えないのか。ハーレムですら偽りで、主人公の運命はただ俺の久遠と結婚し、白富美を娶って逆玉の人生の絶頂へ進むことだけなのか?

screenshot.151.jpg

社会はすでにこれほど不公平なのに、なぜゲームの中でまで現実の悪意を味わわせる必要があるんだ?


世界は広く、社会は広いのに、お前の世界はいつもあんなに狭い。次元の向こう側に美しい世界が存在することに気づくまでは。世界の美しい少女たちは皆お前を愛すると言うのに、お前は越えて彼女たちと共にいることができない。そこで別の男が彼方の世界に現れる。彼は偽善的で、懦弱で、無能だが、お前を代表すると自称する。彼には主人公補正があり、お前の代わりにそちら側でお前が享受すべき幸福を享受する。お前は画面越しにそれを自分だと偽るしかない。ある日、お前ははっと気づく。自分はただの観客で、他人の幸福を自分の幸福として眺めることしかできず、結局は何も持っていないのだと……

お前は煙草に火をつけ、煙の中に過去を見たと言う。お前はヤりたい女をヤれず、彼女の愛は全部チンピラに注がれたと言う。真夜中、お前は見慣れたゲームを起動し、うっかりズボンを汚す。

本家 plumz.me でこの記事にコメントする

コメントは中国語の本家サイトで受け付けています。このミラーは閲覧専用です。

目次