『おとなり恋戦争』レビュー
実は11区の「ハーレム」はハーレムじゃない
中学の頃からネット小説ばかり読んでいたので、当然のように無双系やハーレム系にも触れることになった。無双系はまあいいとして、主人公がとにかく強くて、弱いフリして実は最強、時には弱いフリすら面倒になって秒で世界を滅ぼす的なやつだ。ハーレム系は後になって偶然見つけたものだが、そもそも中国のネット小説の恋愛描写はクソだとずっと思っていた。ただ、中国のネット小説における「ハーレム」はまさに「真のハーレム」で、主人公の周りに複数のヒロインがいて、しかも全員が主人公が他の女と付き合うことを当然のように受け入れ、しかも互いに仲良く共存する……
別に不思議なことじゃない。『鹿鼎記』くらい読んだことあるだろ……
その後、日本のいわゆる「ライトノベル」に触れた。日本のラノベにも無双系やハーレム系はある……ただ中国のとは全然違うと感じた。
日本語の表現で日本人がよく否定形で肯定的なことを言うように、日本人が書く無双系やハーレム系はとにかく保守的だ。保守的なだけでなく、テンプレが山ほどあって、しかも彼らはそのテンプレに浸って自己満足している。
ラノベ(実際はラノベに限らないが)の無双系では、主人公は最初「弱い」存在として設定され、自分より強いキャラを次々と倒すことでいわゆる「成長」を遂げ、最後にはとんでもなく強いキャラを何人も倒したのに、業界内での評価は依然として「弱い」ままだったりする。しかも日本人は「弱い者が強い者に勝つ」描写が下手で、大体は主人公の口車で道徳的優位に立たせ、相手が「あ、自分がやってたことって実は人道に反してたんだ」と一瞬ひるんだ隙に、主人公がチートでボスを殺す。このテンプレ自体は間違ってない。正義は勝つ、だ。ほら『World of Warcraft』でもよく使われてるだろ、Wrath of the Lich Kingの最終ボス戦もそうだ。
ただ日本人はこれを使いすぎる。しかも彼ら自身も見飽きている。それでも使う。まるで暗黙の了解みたいにな。最近は本当の無双系も増えてきたが、それでも爽快感が足りず、最後はすぐに旧来の道に戻りがちだ。
同じことが日本の「ハーレム系」や「ハーレムアニメ」にも言える……
日本のハーレム作品は最初こそ中国と変わらない。主人公には生まれつきのモテオーラがあり、様々なヒロインが主人公を好きになり、主人公は選び放題。だが日本のハーレム作品には本質的な違いがある。ほとんどの作者が「一夫一妻制」という国際的な一線を守っているのだ。主人公がどれだけ毎日女と遊んでも、恋愛に対しては必ず一途でなければならず、妻妾同居なんてもってのほか、二人のヒロインが互いに認め合い、主人公に二人も三人も女を作ることを望むなんてありえない……
この一線が多くの惨劇を生んだ。小説の女性キャラが多すぎると、様々な「党派」が生まれ、小説が行き詰まって作者が完結させたい時には、この「党派」たちが期待する結末の中から一つを選ばなければならない……
どうせ最後にどのヒロインが幸せになっても、読者様は文句を言う。だからある作者は自暴自棄になって社会に復讐することを選ぶ。例えば伏見XXXとか若木XXとかの老賊みたいに。
というわけで、さっき言った通り、中国の「ハーレム系」と日本の「ハーレム系」には本質的な違いがある。前者は真のハーレムだ。後者はほとんどがただの三角関係の恋愛物語で、最終的に主人公は必ず一人に決める。こう見ると、日本のハーレム小説は実はハーレムじゃないってことになるな?
だが日本に本当のハーレムを切り開く領域がないのか?あるにはある!成人向け業界だ!AVは置いといて、18禁テキスト恋愛アドベンチャーゲームについて話そう(真顔)。
日本の18禁テキスト恋愛アドベンチャーゲームでは……いや、もうエロゲーでいいや。エロゲーではハーレム描写が出てくるし、何度も出てきた。ハーレム向けの抜きゲーには隠しハーレムルートが用意されていることも多い。これらのルートも大体はラノベと同じ「一夫一妻制」に縛られ、最後にはこれは主人公の夢だとか妄想だとか無理やり解釈される。だが中には堂々とハーレムだと明言する硬派な作品もあるにはある。ただ、それは本当の抜きゲーであって、シナリオ作とはもう関係ない領域だ。
つまり、エロゲーでは「ハーレム」エンディングがあり得るが、珍しく、あまり使われない。日本ではエロゲーの「エロい内容」が多ければ多いほど作品自体のレベルが低いと見なされるのかもしれない。ハーレム要素が加われば作品は完全に低レベル爆発。だから明確なルールはないにしても、自ずと一線を守る。そうなるとエロゲー自体にさらに高い要求が課される……
どう高い要求か?つまり、お前はハーレムを売りにしたエロゲーなのに、ハーレムエンディングがない。なら何か他の武器を用意しろよってことだ。でなきゃこっちは何を楽しめばいいんだ?
そこで様々なエロゲーメーカーが知恵を絞る。いい絵師を探す、いいシナリオライターを探す、いい声優を探す。自分のゲームの「エロ以外の部分」で魅力を高めるためだ……あ、そうだ。いい絵師はエロ部分の戦闘力も上げられるな……
個人的にはこういう作品には「日常会話をもっと面白くしてほしい」と期待している。実際、その路線を歩むゲームは少なくない。例えば昔の『恋愛0キロメートル』とか。そもそも対話を主軸にしたゲーム媒体なら、「会話を面白くする」ことが当然コアな競争力であるべきだ。でなきゃみんなゲームなんかやらないで、CG集でも見ればいい。
だから俺は軽い気持ちでこのゲームをプレイした。「会話が面白い」という期待を抱いて。そう、この『おとなり恋戦争』だ。

タイトルで既に明確だ。「君の隣の恋戦争」。一目でハーレム系ゲームだと分かる。ちなみにこのゲームに気づいたのはOPが中毒性抜群だったからだ。設定を見ると、ハーレムではあるが、どうやら三角関係のドタバタで笑わせるゲームらしい。なので試しにやってみた。
ゲームの展開は非常にシンプル。主人公の周りのヒロイン、義妹、幼馴染、昔引っ越してまた戻ってきた別の幼馴染、学校の後輩、そして学校のお嬢様。みんな主人公の周りをうろちょろして、仲良くなろうとする。

面白いのは、本当に主人公が好きなのは多分二人の幼馴染だけだということだ……他のキャラの主人公への感情は妙だ。義妹はただ主人公に甘えたいだけっぽいし、後輩は面白いから参加しているだけ。そして学校のお嬢様は……主人公に会うなり「いい匂いがする、死んだペットのヨゼフを思い出す」と言い出し、ずっと主人公を自分のペット扱いしている……
ゲームの販促画像やOPの歌唱情報を見る限り、ゲームの焦点は主人公と二人の幼馴染の争いにあるはずだ。実際、シナリオもそうなっている。

主人公の標準的な幼馴染、赤峰優衣は隣に住むガール・ネクスト・ドアタイプ。性格は筋金入りのツンデレで、こっそり主人公の部屋に盗聴器を仕掛けている。ツンデレだから表面上は主人公に対して不機嫌な顔をしているが、実際はかなり好き……(この設定はもうそこら中に転がってる感じ)。
もう一人の幼馴染、葵涼華は子供の頃に「お嫁さんになる」と約束したのに引っ越してしまい、今また戻ってきた。会うなり主人公と結婚するとか言い出す。性格はちょっとSで、よくツンデレな赤峰優衣をからかって遊んでいる。

だからこのゲームの日常パートで見どころなのは、ツンデレの赤峰優衣が主人公にちょっかいを出したいのに言い出せず、腹黒い葵涼華にからかわれる様子だ。この日常感はとても懐かしい。何とかいうアニメがあったな……ラノベ原作アニメ……ああそうだ、『俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる』。だいたいあんな感じだ。
ゲームのシナリオ展開はまさに標準的な三角関係で、最後に主人公は二人の間で選択を迫られる。そう、二人。二人の幼馴染以外のキャラは盛り上げ要員にすぎないからだ。

選択後はもう大したことはない。いちゃついて、セックスして終わり。個人的には本命ヒロインは赤峰優衣だと思う。ツンデレの性格もヒロインらしいし、恋愛ルートも安定している。主人公に告白した後も多少の波乱がある。例えば主人公に自分の試合を見に来るよう約束したのに、道中でもう一人の女が体調不良で保健室に連れて行くことになり、約束に遅れてしまい、彼女が「約束破り!」と激怒する。まあ大したことじゃないし、最後はオーソドックスにまとまる。

このゲームの鍵は日常会話だ。個人的にはギャグ日常パートはまあまあ及第点で、少なくともラノベのそれと比べても悪くない。『恋愛0キロメートル』などと比べても遜色ない。最大の違いは顔芸担当がいないことくらいか。もちろん「まあまあ」と思える日常パートも、ゲーム本体の欠点によっていい脚本が制限されてしまっている。

具体的な欠点は三つ:
1, BGMの切り替えが頻繁すぎる
ギャルゲーを低レベルに見せる最短ルートはBGMを頻繁に唐突に切り替えることだ。このゲームはまさに典型で、BGMを絶え間なく切り替えるのは演出効果に非常に悪影響を及ぼす。いい選曲と構成でBGMの変化を柔らかくしてこそ、映像レベルの演出効果が引き立つ。テレビドラマや映画でBGMをめちゃくちゃに切り替えるのを見たことがあるか?
2、シナリオの切り替えが唐突すぎる
このゲームの会話シーン内の表現はなかなかいい。しかし時々、このシーンの会話が終わって次のシーンに移る時、ゲームはただ一瞬で切り替わる。例えば俺は親友と会話していて、会話が終わった途端、ものすごい勢いで屋上に移動している。おい……せめて「屋上に来た」くらいのセリフを挟めよ。何も言わず一瞬で移動。あまりに暴力的で、飛んでいるような感覚だ。あのずっと切り替わるBGMと合わさって、シナリオを追い立てられて見せられている気分になる。
3、CVの演技がひどすぎる
ゲームにはCVがたくさんいるが、唯一最高の演技を見せているのはヒロイン赤峰優衣役の小倉結衣だけだ。俺は別に小倉結衣のファンってわけじゃない。職場のルーターAPのSSIDがOgurayuiなのもファンだからじゃない。彼女のアルバムを買ったけどファンじゃない。ただ彼女のこのゲームでの演技は間違いなく全編を背負うレベルで、他の人が下手すぎて彼女が際立つ。しかもツンデレをこんな自然に演じられるのは彼女くらいだろう。ゲームと彼女のキャラの戦闘力を大幅に引き上げている……残念ながら他のキャラは平凡で、大きな流れを作れていない。

だから『おとなり恋戦争』はなかなかの素質があり、シナリオも悪くないが、低レベルなシーン切り替え、低レベルなBGMの切り替え、そして小倉結衣以外にこれといった見どころがないCVのせいで、期待には届かなかった。多くの日本人もプレイ後に「印象に残らなかった」と語っている。それも理解できる。物語は普通の三角関係で、二言で説明できる筋だ。日常会話の面白さも演出の悪さで大打折扣。欠点は露わで、長所は見えず。だから……まあこんなもんだ。

Criticspaceで誰かが『おとなり恋戦争』はどこにでも転がっていて見つけられない、普通すぎるハーレムゲーだと言っていた。

ふざけんな!このゲームは主人公が最後に一人の女の子しか選べないんだぞ。ハーレムもクソもない。しかも狂ったように選択肢のいくつかは番号しか選べず、名前を選べない。攻略を見ないとルートに入り方すら分からない。ハーレムもクソもない!全5エンディングでハーレムエンドが一つもない。ハーレムもクソもない!

それに、最初に言った通り、11区の「ハーレム」はそもそもハーレムじゃないだろ!?
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