『田舎姦 ~奇跡のイキ神力で純朴娘に精注入♥~』レビュー
転生したら逆天神型でナンパ無双
高校の頃は毎日ネット小説を読んでいて、かなりの数を読んだ。大半は実のところ……まあまあってところで、ネット向けに書きすぎなものもあったけど、一応は物語として成立していて個性もはっきりしていた。爽快感重視のものに文学性を求めるほど野暮じゃないし、逆に真面目に書かれたものを爽文として読んだりもしないけどね……
あー、でもガチで書かれてるネット小説ってほんと少ないんだよな。ほとんどがネットスラング全開で、しかもセルフツッコミ付き。文学作品の中で自分で自分にツッコミ入れるのは別に悪くない、むしろ面白さが増すこともある。ただ、ツッコミが度を越すとちょっとよくないな。
前に読んだネット小説が二つあって、一つは『三国厚黒伝』、もう一つは『我是这样泡到校花的』。後者は実は悪くない。個人的にはそこそこおすすめで、学園ラブコメとしてはなかなかの内容だ。ただ前者は……首を振るしかないw もちろんこの二つを挙げたのは共通点があるからで、どちらも自前のツッコミを好んで挟んでくるのだ。
「自带ツッコミ」とはどんな描写状態かというと、たぶん叙事の最中に主人公がずっと心の中でくだらないことをブツブツ呟いていて、その呟きに神の視点の描写も少々混ざっている、って感じだろう。
こう書くのは楽しいし気楽だけど、ネット小説のツッコミ向けで、本気の文学作品としてやったら気持ち悪いだけだ。明らかに『我是这样泡到校花的』はうまくやっている方で、気持ち悪い方なのがあの『三国厚黑传』、そしてこの『田舎姦』というゲームだ。
『田舎姦』というゲームの正式名称は『田舎姦 ~奇跡のイキ神力で純朴娘に精注入♥~』で、後半の意味は……漢字を見れば分かるだろ。このゲームには最初そこそこ期待していた。なぜなら ClockUp だから。ClockUp は一見抜きゲーに見えて、実は深い意味のある作品をたくさん出してきたメーカーだし、このゲームも設定の要素からしてなかなか中身がありそうだと思ってたんだが…………
だが、それは大間違いだ!
まずゲームの設定から。主人公は42歳のオッサン。最初は公務員だったんだが、クビになる噂が立って、そのまま公務員を失う。お見合いで知り合ったそこまで深い仲でもない嫁は「あんた公務員じゃなくなったら離婚ね」と言い放ち、一人娘には「あー、お父さんキモいから近づかないで」とまで言われる始末。別れの一発をやろうとする主人公。なぜなら嫁とはお見合い結婚で、一発ヤッて娘を授かったきり、それ以降は一切ヤらせてもらえなかったからだ……。だが別れの一発も叶わず、嫁も娘も出て行き、仕事も失ったオッサンはヤケ酒へ。金が尽きて追い出され、通りがかった神社(寺だったか忘れた)で残った金を全部使って願い事をする。そしたらこれがとんでもないことになった。そのボロい場所の神様が現れて、自分の悲惨さを感じ取ったから助けてやろう、と。すると白光が一道……

主人公が目を覚ますと、自分が変わっていることに気づく。もう42歳のオッサンではなく、色白のイケメンになっていた。しかも身分まで変わっていて、なんととある山村で村人たちから崇拝される神様になっていたのだ。
そして男主が少し怪訝に思っていると、その時、画外音が聞こえてきた。それはかつて自分が神社で願をかけた、あの神様だった。
「よお、小僧、願いをしたな。あまりにも惨めだったから、叶えてやることにしたぞ。」

そして延々と説明が続く。男主はもともと神様によってイケメンの体に転生させられていたらしく、しかもそのイケメンはこの山奥の村人たちが拝んでいるある神様の化身だという。つまり男主は、元の中年的なオッサンから、真・カミサマへと成り上がったわけだ。
主人公は今や顔も金も超能力も揃っていて、もう好きな相手を好き放題抱けるってわけだ。

そこでまたモノローグが響いてくる。「少年よ、お前はもう神になった。そろそろ『神嫁』を探す必要があるぞ」(神嫁=神のヨメ、河神の妻娶みたいなもんか?)
そして場面は一転、主人公は誰かに身分を用意されて、とある山村の学校へ向かう。目的はその学校で「嫁」を見つけることだ。
ここで3人の候補者が現れる。1人は主人公の女子同級生、1人は女教師、もう1人は小さな女の子だ。

で、ここからマジメな展開があると思う?恋が始まるとか?んなわけねえだろ、ゲームはメルカリのショッピングモードに突入する。
その後のゲームの展開はもうベッタベタで、まずはクソどうでもいい前置きが一段落。それから、ある日ヒマになったところで、ナレーションが「今日は誰を犯したい?」と聞いてくる。

キャラを一人選べる。選んだあと、ろくに喋りもしないうちに、なぜかヤリ始まる。なにせ主人公は神だからな。相手が嫌がるなら、神力かなんかを使えばいい。
ヤッたあとは、ヒロインの印象をどう思うか選ばせる選択肢が出てくる。たとえば嫁にできるとか、セフレでいいとか、ヤッたらさっさと消えろとか。

で、次からのゲームのシナリオはこういう構造だ。誰をヤるか選ぶ -> 神力で強引にヤるかどうか決める -> ヤった後に評価する……これをひたすら繰り返し繰り返し繰り返す。シナリオの連続性なんてものはないし、目立ったストーリー性もない。ただヤってヤってヤりまくるだけだ。
メルカリで買い物するみたいじゃない?女を一人注文してヤって、終わったら「評価をお願いします」って聞かれる、そういうことだろ?
ゲームの終盤、ナレーションが突然「お前は誰を『神嫁』にするんだ」と問いかけてくる。ここがまたクソなんだよな。毎回いい評価をして、しかも一途すぎると、どうやらそのままゲームが終わってしまうらしい。主人公はマジメな顔で「もう神にはなりたくない」と言い出し、ただ女の子と一緒に普通に暮らしたいだけだと。『神嫁』を選んで孕ませて『神の子』を産ませるなんて、もうごめんだとさ。

画風が急変してちょっと戸惑った。主人公がいきなり偉光正になって、そのままゲームは終わった。
自分は何か間違ったことをしたのだろうか、と考えてみた。もしかして主人公の正しいルートは、全員の女を軽く口説きつつも本気にはならず、真の神様になって三人の「神嫁」を手に入れ、毎日淫らな生活を送る、ってことなのだろうか? いやいや、それがあまりにも政治的に正しくなさすぎる。
とはいえ最終的な結末がどうあれ、このゲームにはもう触れるつもりはない。なぜかって、作中のセルフツッコミが気持ち悪いからだ。

主人公は神に転生してるのに、中身は相変わらずのスケベ男。誰に会ってもまず心の中で視線でレイプする。女教師を見ても、女子生徒を見ても、まず心の独白で黒タイツから尻まで舐め回す。うわ、マジで気持ち悪い。描写をもうちょっとスマートにできないのか? 真面目に? 文学的に? せめてイキり気味にでも? こういう描写は天朝の三流ネット小説にしかないと思ってたのに、日本でも同じなのかよ……これだけでゲームのレベルが一気に下がる。元々抜きゲーなのに、こんなレベルの低い文章じゃ全然勃たない。抜きゲーの文章こそ、少し文学的で暴力的であるべきだし、スケベな内心は画面の前の童貞たちに任せとけばいい。なのに自分で文章の中にこれでもかと吐き出しやがって、ツッコミ全部お前がやったら、俺は何をツッコめばいいんだ?

とにかくこのゲームはめちゃくちゃ不可解だ。不可解な設定、不可解な展開、不可解なエロ描写、不可解なシナリオ構成、そしてあの不可解なゲームの安全回避画面……もうプレイし終わった俺自身まで不可解になってしまった。

ああ、別に意味不明ってわけじゃない。こういうテンプレ的な内容は、ずっと中華のネット小説、しかもろくでもないやつにしか出てこないと思ってたからだ。まさか日本人がこんなものを書けるとは思いもしなかった……
もしこんな話を天朝のネット小説で連載したら、タイトルはきっと『転生したら逆天の神スタイルでナンパ無双』ってところだろうな。
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