『ピュアソングガーデン!』レビュー
50年後の彼女
以前、うちのブログの記事にコメントをくれた人がいて、その人はPULLTOPという会社を蔑んでいた。正直、俺個人としてはPULLTOPの印象は悪くない。飛行機作りや田舎恋愛、それに星を見るみたいに、俺が面白いと思ったゲームもいくつか出してるし。でも確かにPULLTOPはイマイチなものや、わけわからんほど催眠なゲームも出してはいる。ただ、その大半は分社会社の仕業なんだよな。PULLTOP LATTEなんて抜きゲーブランドとして作られたんだから、催眠でもまあ仕方ない。少なくとも本家は問題ないだろ?
コメントをくれた人が言うように、PULLTOP本体はバカだってのは俺も思うことがある。例えば、飛行機作りのゲームはおそらく最初にSTEAMで配信された日本のエロゲーの一つで、パブリッシャーはMoeNovelという会社だった。このMoeNovel、ちょっと調べたら登録資産の内容がwillplusのサブブランドって書いてあった。willplusっていうのは、つまりPULLTOPの親会社だ。
実際willplusは結構デカくて、下にたくさんブランドがある。抜きゲーも多いし、普通のゲームもある。昔の螺旋桨とかPULLTOPとかensembleとかも全部その傘下だった。guiltyってブランドも知ってる。NTRを出すところだ。これだけ大きな会社なら、それなりにうまくやってるはずだろ?なのに、いつも見るのは愚策の数々で、中には頭悪すぎる措置もある。
具体的にどう頭が悪いのか、さっきの話に戻ろう。PULLTOP = MoeNovelなら、PULLTOP自身が自分のゲームを海外展開することを選んだってことだ。自分の製品を自分で出すんだから、代理店の問題もない。問題ないはずだよな?飛行機作りのゲーム自体の評判は良かったし、海外のオタクも遊びたがってた。有志の英訳も完成してたし、STEAMで出たら買うって言ってる人も多かった。
天時地利人和、ほぼ揃ってた。PULLTOPは別に翻訳する必要すらなく、英語翻訳のライセンスを取るだけでSTEAMで寝てても稼げたはずなんだ……
なのにPULLTOPはこの話をぶち壊した。まず自分でもう一個英語版を翻訳した。自分で翻訳するだけならまだしも、英化チームにも著作権があるし、公式の方がいいかもしれない。でも公式翻訳チームの英語がひどすぎて、ミスが続出。海外の連中がツッコミまくった。しかも一番許せないのは、MoeNovelがゲーム内容を大幅に改変したことだ。まず自主規制。18禁要素を削除しただけじゃなく、日本のエロゲーによくあるツンデレや軽い百合、一部の妹萌えや下ネタまで排除。中には原型を留めないほど改変されて、あるルートが完全に書き換えられたものもあった。これには海外のプレイヤーも受け入れられず、踏みにじられたと感じた。海外の連中が日本のエロゲーをやるのは、軟らかい女の子が日本語でツンデレして「おにいちゃん」って言ってくれるのを聞きたいからだ。それが売りなのに、STEAMが何も言ってないうちから自分で去勢してどうするんだよ。
PULLTOPと対照的なのがfrontwingだ。frontwingはPULLTOPに続いて海外市場に進出したエロゲーメーカーだが、やり方がずっと大人だった。グリザイアシリーズで販売を成功させ、その後はクラウドファンディングでゲームを売りまくった。何より翻訳が非常に的確で、英語翻訳チームは明らかにプロがやってる。しかも内容は去勢どころか、アメリカの法律に合わせてモザイクなしバージョンまで出した。ヤバすぎるだろ。おかげでfrontwingはSTEAMで爆売れして、日本の小さな市場なんてほとんど相手にしなくなった。frontwingがSTEAMで飛躍する一方、バカなPULLTOPは相変わらずlovegamiみたいな古いゲームを出してて、内容もすごく幼稚。冷飯ならまだしも、日本のアイドルものだ。海外の連中が日本のかわいい女の子を見て、その子がアイドルなら叫ぶとでも思ってるのか?ウィアブーを舐めすぎだろ。
ここまでPULLTOPのバカなところを散々書いてきたが、俺個人としてはまだ期待している。何せ星を見ると田舎恋愛を出してるからな。どちらもよく書けたゲームだ。前者の三角関係と複数タイムラインの交錯、夜の演出効果。後者の完璧なBGMと田舎の空気感。どれも驚きがある。でもPULLTOPへの不安は星を見るのFDが発売された時に生まれた。その時気づいたんだ。星を見るがすごいのは、紗夜の告白ストーリーがあって、何年もの経験が積み重なって初めて貴重さが際立つからだ。でもFDにはそのメインラインがないから、完全に見るに耐えない……
そう、見るに耐えない。星を見るがすごいのは、星空観測や望遠鏡や星系や天文がテーマだからじゃない。OPで歌われる「破れたページ」、つまり紗夜が主人公に告白した後で破かれた星空観測日記。その感情のラインこそが最大の魅力だ。なのにこのゲームの企画はそれを全く理解してなくて、ひたすら星空観測と天文を押し出してる。
だから俺は時々疑うんだ。PULLTOPが飛行機作りと星を見るみたいなすごいゲームを出せたのは、単に偶然、他のメイン要素がプレイヤーをうまく惹きつけて成功しただけで、企画のテーマのおかげじゃないんじゃないかって。実際、彼らの企画はよく頭に水が入ってる。
PULLTOPの企画が頭に水が入ってるかどうかを証明する機会はすぐに来た。PULLTOPの今年の新作『ピュアソングガーデン!』が発売されたんだ!

なぜこれをやったかって……春音アリス*グラムのクラックに300の神秘が必要だったからだよ!
『ピュアソングガーデン!』は発表された時から頭に水が入ってると思った。未来社会、VRバーチャルリアリティ、アイドルと音楽。ゲーム全体から「音楽」を感じることはなく、むしろ気まずさしかない。タイトルもあまり良くない。ピュアソングガーデン! Pure Song Garden。ゲーム紹介の内容も不明瞭で、何の話かよくわからない。主人公は作曲好き、ヒロインはVRアイドル、一行は実験的な特区にいて、特区には強力なVR先端技術がある……みたいな。で、全部クリアしてようやくわかった。このゲームはすごくシンプルな話だったんだ。というかドラえもんに似てる。しかも案の定、そのまずまずの話をバカみたいに語ってくれた。

紹介通り、主人公のいる区域は特区で、先端技術開発実験の特区。特区の科学者たちはVR技術、つまりバーチャルリアリティを研究していて、Pure Song Gardenという企画を立ち上げた。彼らが作ったVRアイドル、愛ちゃん(YouTubeのあのバカじゃない方)を現実に降臨させたい。降臨方法も簡単で、素体、つまり人形みたいなものを作る(しかもラブドールメーカーに作らせた)。そこにVRアイドル愛ちゃんのプログラムを注入すれば、バーチャルな人物が生きるってわけだ。このPure Song Garden企画は一週間続き、最後は愛ちゃんのライブで終わる。
主人公は作曲をやっていて、VR技術研究者の柳澤律に誘われて愛ちゃん降臨の場面を見に行った。ところが降臨後、みんな違和感を覚える。愛ちゃんは生きてるし素体も動いてる。でも愛ちゃん本人じゃない……別の人間だ。彼女は星野いろはと名乗り、50年後から来たと言う。タイムマシンで50年前に一週間の旅行に来たが、なぜか転送されてこの人形に憑依したと……

で、みんな戸惑う。俺たちはバーチャルアイドルを現実に降臨させて次元の壁を越える話をしてるのに、なんでタイムスリップしてきた人間が来るんだよ……最後に星野いろはは皆に迷惑をかけたと謝り、代わりに愛ちゃんとしてライブに出ると言う。訓練すれば大丈夫だと。体はラブドールメーカー製の人形だが、星野いろはのそばには未来から来た智能AIアシスタントのすずがいて、体の調整を手伝ってくれる……

そしてライブの日が来た。星野いろはの予定していたタイムトラベルもその日で終わる。ライブが盛り上がり、みんなが星野いろはの未来への転送をカウントダウンしている時、街全体のVRシステムが崩壊した。大体、システムが負荷に耐えられず混乱し、VRキャラクターが街中で暴走し始め、収拾がつかなくなった。星野いろはも未来に帰れなかった。
元のPure Song Gardenのバーチャルリアリティ企画はそれでおじゃんになり、残ったのはVRハザード(VR危機?)と呼ばれる後始末。未来人の星野いろはも帰れず、みんな途方に暮れる。VRキャラクターが街を走り回って住民はパニック。政府は30日以内に解決しなければVRプロジェクトの研究開発を全て停止すると言い出した。

最後に協議の結果、科学者とすずの分析で、星野いろはがタイムトラベルしてきたことで元のAI企画が壊れ、間接的に未来を変えた可能性があるとわかった。星野いろはのいる未来ではVR技術が成熟していて、タイムマシンとも関係がある。もし今のVR計画が停止されたら……未来が変わる。未来が変われば、星野いろはがVR技術で過去に旅行するなんてこともなくなる……だからそれは起こってはいけない。
主人公はVRハザードを救い、市民のVR技術への信頼を取り戻し、政府にVR開発継続を認めさせなければならない。星野いろはも尽力すると言い、その方法として主人公と男女の関係を結び、二人は何度もヤった…………おっと、間違えた。毎日街で萌えを振りまいて民心を落ち着かせ、ついでに……ライブもした……

主人公は科学者の助けを借りて未来の可能性を演算した。市民のVR技術への信頼回復確率は1%。しかし星野いろはが街で萌えを振りまく(そして主人公とヤる)ほど確率は上がっていき、最後のライブで星野いろはが他のヒロインたちと一緒に歌うと、確率は100%に回復。最後にVRハザード修復のスクリプトも書けて問題解決。星野いろはも未来に帰り、タイムトラベルは終わった。

ゲームは終わった?いや、最後に星野いろはが帰る前に、彼女の智能アシスタントすずが主人公に言った。星野いろはが去った後、未来の星野いろはに手がかりを残して、必ずある日に50年前の過去へ旅行するように伝えてほしいと。そうすれば全てが完結する。
考えてみればこのゲームの話はすごくテンプレだ。未来人が過去に旅行し、うっかり未来を変えてしまい、その未来では自分が存在しなくなる。だから未来を修正するのを手伝って、無事に帰る。帰った後、未来の自分に必ず過去へ行くように伝える。だいたいそんな筋。ドラえもんの魔界大冒険と同じ展開だ。ただこのゲームは……シナリオに二つクソみたいなところがある。
一つ目のクソは共通線が長すぎるんだよ!!!!
この「長さ」は無意味な長さで、「催眠」的な長さで、「ちょっと見てたら続きを見る気が失せる」長さだ。話のテンポは最悪、キャラクター造形も特徴がない。俺は3日ほど共通線を見たが、見続けられなくてスキップすることにした。しかしスキップしても遅すぎる。話はほとんど進まない。ゲーム内の7日間、自分でやったらマジで7日かかるんじゃないかと思う。毎日の内容は、主人公が目を覚まして、人と世間話をして、その数言を延々と行ったり来たり。すごくつまらない。しかもCVの演技も良くなくて、つまらなさに拍車をかける。星野いろはのCVは米澤円、つまり雪菜だ。雪菜の日本語発音は一番標準的だが、標準的すぎて感情がないのは耐えられない。他のキャラもあまり感情が込められておらず、適当に読んでるだけ……

共通線が終わり、星野いろはの最後のライブが始まる前、シナリオが少し暴走して、急に見られるようになった。メインラインが浮かび上がったからだ。最後のライブはまあまあ面白い。金がかかってるように見える。特典のキャラクターソングにはこのライブの曲が入っていて、複数人の合唱で、最後のライブの大合唱とも一致する。
それでもライブの演出は「良好」で、「Bad ass」ではない。あ、日本語なら「ヤバイ」か。

もう一つのクソはTrue Endだ。せっかくのいい手札を最後の救済テンプレで台無しにした
このゲームにはTrue Endがある。星野いろはのルートをクリアすると、星野いろはの智能アシスタントすずを攻略でき、メイン画面で最後のエンディング「encore」が解放される。
俺の理想では、このエンディングはとても感動的に書けるはずだ。主人公が50年後の彼女に情報を残し、50年前に来させてVR危機を救わせ、その過程で自分と恋に落ち、無事未来に帰る。

俺が書くならこうだ:
星野いろはが50年前に埋められた箱を掘り当て、中の情報を見て過去への旅行に参加する。そして一人の老人に会う。老人の自分を見る目はとても特別で、色っぽい。星野いろはは痴漢に遭ったと思うが、老人は彼女に過去へ帰るのを手伝うと言い張る。星野いろはは同意し、過去で一連のVRハザード事件を経験。ライブを終えて未来に帰った星野いろはは、その老人が誰かを理解する。過去の自分の恋人だ。二人は抱き合い、50年ぶりに再会する。この瞬間、年齢差も問題じゃない。
ああ、なんて偉大な愛。50年を越えても問題じゃない愛。これこそ愛だ。しかも構成は完全で、謎があり、首尾呼应。少なくとも良作だろ。
しかしこのゲームはどう書いてるか知ってるか? Encoreは最初、星野いろはが50年前の箱からチップを掘り当てるところから始まる。そして星野いろははすずの助けで50年前に旅行し、そのチップが過去に持ち込まれる。過去の科学者が未来のチップを手に入れてVRと人工知能を開発し、すずを作り出す。つまりこの人工知能は過去で開発されて未来に送られたもので、すずの使命は星野いろはを騙して50年前のタイムトラベルに参加させることだった。

その後の展開がクソだ。主人公が星野いろはを未来に送り出して一年後、星野いろはがまたタイムスリップしてくる。今度は本人だ。星野いろはは3年後にまた来たと言う。この時は転送技術もより成熟して安定している。で、何しに来たかというと、主人公に会いに来て、ついでにヤる。
ヤった後、星野いろははみんなを未来に招待すると言い、一行はまた50年後へ行く。50年後の星野いろははアイドルで、ライブもする。ライブで星野いろははなんと高らかに主人公たちは50年前からの客人だと発表する。ライブが終わり、ゲームのTrue Endも終わる。

おいおいおい。まずこのゲームのタイムトラベルのいい加減さにはツッコまないとして、このバカみたいな展開は何なんだ?タイムトラベルってそんなに楽しいのか?そんなに気軽なのか?行きたい放題来たい放題かよ。さっきまで歴史と未来は簡単に変えられないとか言ってなかったか?なんで最後に高らかに発表しちゃうんだよ。一体何なんだよ。タイムトラベルがそんなに簡単なら、主人公が最初にあのバカなVRハザードのために奔走したのは何だったんだ?サーバーとシステムの損傷にアイドルが何の役に立つんだよ?未来の技術を過去に貸し放題?過去も未来に遊び放題?ドラえもんでもそんなに頻繁に走らないぞ?このゲームは何を言いたいんだ?VR、アイドル、音楽、未来、これらの要素を組み合わせればオシャレ度が満点になると思ったのか?
満点にならないわ!タイムスリップものなら、ループと首尾呼应で完璧な結末にできるのに、最後はまたライブかよ。お前ら日本人はそんなにアイドルとライブが好きなのか?

シナリオのクソさで既に怒り心頭だが、このゲームのクソさはそれだけじゃない。
なぜならグラフィックがもっとクソだからだ
ゲームはEmote技術を使っている。キャラクター立ち絵が動く技術だが、これは俺が見た中で最もクソなEmote効果だ。
どれだけクソかというと、YouTubeの実況を見ればわかる。ほとんどのキャラは90%の場合、顔だけが動いて体は動かない。髪はメデューサみたいに動かない。たまに体が動いて、ついでに乳揺れするくらい。それだけ。しかも顔も歪む。この歪みも乳揺れと同じくらい不自然で、歪むと顔が変形する。多くのキャラの顔が知恵遅れみたいになる。

例えばこんな感じ

こんな感じ

あとこんな感じ

たまにビビらせてくる

元の表情パックと組み合わせるとさらに味が出る

知恵遅れ以外にも、時々すごく不気味になる。何せ顔だけが動くから。例えばとあるヒロインの父親。

考えてみてほしい。長くてクソな共通線、感情のないCV、そして知恵遅れで不気味な顔が何枚も。そこにバカすぎる展開が加わる…………
もう、もう、本当にもう!
そういえばこのゲームの音楽についてまだ書いてなかった。雪菜が歌う電子音の曲はまあまあだが、BGMは本当に普通。安っぽい電子音楽が多く、しかも左右にふらついて不安を誘う壊れた効果音が、さらに追い打ちをかける。

正直、PULLTOPはこのゲームをこうするべきじゃなかった。たとえ廃萌えとして作るにしても、せめてあのバカなemoteを何とかしろよ。PULLTOPは「未来」に特別なこだわりでもあるのか?以前のココロ@ファンクション!も似た設定だったし、今回も似た設定。企画がこういう題材を好きなのか?好きならなんでこんな風にするんだ?高度なブラックジョークか?

もしかしたらPULLTOPの企画は本当にバカなのかもしれない。星を見ると飛行機作りの成功も、企画の題材とはあまり関係なく、シナリオやCV、音楽面の要素が大きい。『ピュアソングガーデン!』はPULLTOPの実力を露呈した。ゲームは感動を煽るために「あなたのみらいはしあわせですか?」というスローガンまで掲げている。
よく考えてみると、もし彼女が50年後から来て、暇さえあればタイムスリップして俺とヤってくれるなら、まあ幸せと言えなくもない。
もちろん、俺の最後はこうなる気がする。VR機器をつけてラブドールにキス……

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