『ワガママハイスペックOC』レビュー
体質が良くないとオーバークロックできないんだよ
『ワガママハイスペック』は昨年なかなかの成功を収めた作品で、ショートアニメまで出た。しかもアニメの品質はとある皇女流浪猫よりずっとマシだった。後者はもう金が尽きたらしい。ゲームが売れれば当然続編だ。
というわけでまどそふとが一年近く温めていたのが『ワガママハイスペックOC』である。
最初は続編だと思った。まどそふと自身も続編と書いていた気がする。この「続編」では、本編で攻略不可だったクラス委員長・四月一日奏恋、主人公の担当女編集者・鷹司千歳、そして主人公のクラスの女教師・岩隈縁が攻略対象に昇格。もちろん元のヒロインたちも攻略可能だ……

そして体験版は出さず、いきなり製品版。
これはもしやFDでは……と思った。価格を見ると1万円近い。そんな露骨なことはないだろう。
起動してみて、うわ……マジでFDだった……
メインストーリーはなく、最初にヒロインを選ぶ。選んだ子の話になる。分岐は中出し・外出し・混合のみ。

だったら委員長しかない……中村繪里子だし! 本編でも委員長は十分sao……いや、めちゃくちゃ可愛かった!
委員長ルートはかなり面白い。主人公が偶然、委員長が学校を休んだ日、病気だと聞いて先生に頼まれて見舞いに行く。

委員長の家に行くと、委員長は病気ではなく、妹が病気で看病していた。
そして主人公が積極的に手伝い始め、委員長の妹二人の世話を焼く。

頻繁に通ううちに、主人公の妹・兎亜が異変に気づく。毎日家に帰って自分に飯を作らない兄が外で遊び回っていると、親友に調査を頼む。調べると、主人公と委員長が毎日一緒にいて、しかも子供用品をよく買っている。これは大ニュースだと。

妹はすぐに飛んでいくが、ただ主人公が委員長の妹の世話をしていただけだった……
それでも妹は嫉妬して、最終的には妥協する。

その後も主人公と委員長はこの関係を続け、告白もない。ある日、主人公が友人の誘いで水泳部の着替えを覗き、見つかって逃げる際に委員長に見られる。

委員長は小悪魔的に脅してくる。幼稚園の操り人形劇の練習を手伝えと。妹たちが観るので、協力しなければ覗きのことをバラすと。

練習で主人公が王子、委員長が姫。告白の台詞があり、言うたびに委員長が照れる。主人公の友人が鋭く気づき、二人の関係は普通じゃないと分かり、企む。

本番前日、委員長に「明日の劇中で主人公が告白する」と告げる……

委員長はもともと主人公に好意があり、動揺する。翌日の公演で主人公が台詞を言うと、委員長は真っ赤。下で妹たちが囃し立て、主人公も告白する……(少し唐突だが、委員長がいればいい)

そして委員長はツンデレモードに……甘い日々が始まる……
ここでも面白い展開がある。主人公の妹の嫉妬などだ。
「生徒会に何の用? 生徒会は学生の結婚を推薦しないよ?」 「あ、結婚じゃないの。じゃあ離婚? 早く離婚した方が傷が浅いよ」


ここで委員長の性格がさらに分かる。非常に嫉妬深いが、主人公をとても愛している。小悪魔でもあり、優しくもある。時には主人公のブラコン妹とPVPもする。とても面白い話だ。

何より、非常に欲求不満……HCGのためにそうしているのは分かっているが、中村の演技がとにかくsao! 仕方ない、抑えられない!

最終的に主人公は委員長の父親に結婚の申し込みのようなことをし、この恋に祝福を得る。

次は妹・兎亜ルート。妹の話は純粋に妹の嫉妬とわがままが中心だ。
主人公はトイレ紙小説家で、Twitterアカウントは妹が管理している。ある日妹を怒らせ、妹がうっかり兄の正体を漏らしてしまい、主人公に一連の面倒が降りかかる。

妹の性格はさらにわがままで、まさに嫉妬の塊。暇さえあれば兄をつねる。それでも最後は周囲の後押しで兄妹は結ばれ、主人公も妹のわがままを受け入れ続ける。まさに日本のお兄ちゃん。
しかも本編にいたキャラなので、ここでは最初から恋人同士。話自体がイチャイチャで、あまり展開はない。妹が言うことを聞かないと、主人公がデカい奴で従わせる……とてもエロくて暴力的だが、FDの位置づけには合っている。

最後は兄妹でプレゼント交換。妹は主人公に奉仕され、主人公は妹に誕生日を祝われる。ハッピーエンドだ。本編のやや重い展開に比べ、ここは甘々。

本田真理子……じゃなくて本多真梨子さんが演じる鹿苑寺かおるこが本作の女一号だろうが、彼女のアフターストーリーは一番面白くない。

両親が自分のイラストの仕事を認めず、主人公を大文豪と吹聴し、「娘は大文豪に嫁ぐ」と自慢。ところが両親が確認に来ることになり、娘は慌てる……

だから鹿苑寺かおるこは焦って主人公を文豪風にしようとし、郊外の文豪風田舎アパートに住む。もちろん効果はなく、主人公は締め切りを落とす。
最後は編集者が諭す。「主人公は真面目にラノベのトイレ紙を書いているのに、あなたはラノベのエロイラストを描くのが恥ずべき職業だと思っている。そんなのダメでしょ?」

そして鹿苑寺かおるこも職業を愛し、主人公と夫婦でトイレ紙文学を続ける。物語は終わる。

この話は、郊外で同棲してどうヤるかが大半……物語は少なく、妹のラノベへのツッコミが的確だ。
ラノベ=エロ小説。


このFDをどう評価するか?
言えるのは、終わってみると委員長だけが心に残ったということ。他のキャラの話は短く浅くありきたりで、HCGのためのものだ。
委員長の喘ぎだけが生命の鼓動を感じさせてくれる。
中村閣下はさすがエロゲー界のスター。私のブログのアイコンがオマージュなのも納得だ。
さらに無敵なのは、委員長が他のルートでも主人公をsaoに誘惑すること。たとえばこの誕生日プレゼント。

「誕生日プレゼント何も用意してないや。ほっぺにキスでもしよっか?」
つまり、金稼ぎのFDであっても、委員長の存在で元は取れている。
『ワガママハイスペックOC』の「OC」はOver clock、つまりコンピュータ用語の「オーバークロック」だ。
これは新作の本質を表している。元のハードウェアを搾って少し新要素を加える。それでもOCできるのは体質が良い証拠だ。
そして委員長の戦闘力がこれほど高いのは、本編で攻略対象にならなかったのも体質の良さゆえだろう。

ああ、委員長最高!!
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