『少女神域∽少女天獄』レビュー
少女の千年錯綜、LASSの黄粱一夢
もし俺がとあるギャルゲーメーカーのファンだとしたら、それはたぶんLASSだ。
大学を出たばかりの頃、PSPで半年かけて11eyesをクリアしたときの衝撃は忘れられない。正直に言うと、11eyesはシナリオが完璧ってわけじゃない。特に序盤はマジで眠くなる。でも戦闘や対抗、環境設定の描写が妙に刺さって、とりわけ最後の赤い夜の暴走、剣客同士の対決、クズ主人公のチート全開にOSTの劫の眼が重なる流れは、一気呵成に駆け抜けた感があった。その好感度のせいで、今でも俺の中で最悪のギャルゲーアニメ一位は11eyesのアニメだ。それからも色々なゲームに触れたけど、あの感覚を与えてくれるものはほとんどなかった。その瞬間から、たぶん俺はLASSの脳死ファンになったんだと思う。LASSのゲームは大体補完した(奈々子シリーズは除く……)。その後の作品も追いかけていた。
『少女神域∽少女天獄』は、LASSが11eyesの大ヒットから4年ぶりに放った作品だ。発売前は11eyesの評判と人気にあやかってかなりの注目を集めたが、フタを開けてみれば評価は期待とはまるで違うものだった。
「2013年一の地雷作」
これが最も支持された評価で、少女神域少女天獄は少女天雷になってしまった。こんな評価は信じたくない。ならば地雷かどうか、自分の身で確かめるしかない。

で、あっさり全ルートクリア。ゲームの流れはそこまで長くない。やや客観的に言えば、地雷とまでは言わないが、成功した作品とは言えない。
何が問題か。まず間違いなくシナリオだ。ゲーム全体のシナリオライター兼企画は、11eyesで大いに輝いた獅子雰麓。11eyesとその後のFandiskでの作風から推測するに、こいつは大量の設定を書くのが得意で、細部の描写にも長けている。おかげで彼のキャラは性格が妙にリアルで、作ってる感がない。ただ欠点も明らかで、一般的なギャルゲーにあるような分かりやすいベタ惚れや萌え要素に欠ける。プレイヤーに媚びるためにわざと書いても、嘘くさくなるだけだ。百野栞の補魔とか草壁美鈴の指しゃぶりとかを見れば分かる。だが本題はそこじゃない。こいつには最大の特徴があって、それが少女神域少女天獄を地雷作にした重大な要因なんだ。
自分の設定を作品内で丁寧に説明しようとしない。第三者の会話を並べて、プレイヤーにそこから設定を推測させる。
11eyesの赤い夜しかり、リーゼロッテの7世界線分割しかり、草壁操の傀儡操りしかり、橘菊理の守護者としての正体しかり。彼は一切ちゃんと説明しない。キャラ同士の会話からプレイヤーが推測するしかない。ただ11eyesは中二病シナリオで、型月世界や一般的な魔術師の枠組みに近いものだったから推測しやすく、多くのプレイヤーがちょっと掘っては新世界を発見する、という流れになった。
ところが少女神域少女天獄では、獅子雰麓が日本神話、中国神話、北欧神話、そして日本の祭神に関する原始的な定義や、錬金術やら上古の獣やら大量の雑学を大胆にぶち込んでくる。そしてまたしても悪い癖が出て、書いたきり一切説明しない。プレイヤーの視点から見えるのは、山奥の村に生まれた主人公が故郷に戻って祭典に参加し、攻略対象の四人のヒロインは祭典の巫女で、祭典が始まったら主人公がワケわからず変身し、ワケわからずヒロインに殺されるか自殺し、最後にはワケわからずヒロインが妊娠して主人公の子供を産んで、ワケわからず終わる……それだけだ。
途中には主人公の夢の描写や、広原菩乃花が広原月子から集めた大量の神話解析なんかもあるけど、あまりに断片的すぎる。ちょっとやそっとの根気じゃ集められない。余計にワケわからなくなるだけだ。

シナリオ以外にも、ゲーム自体の構成に問題がある。LASSのゲームは個別ルートを重視しない。3Daysもそう、11eyesもそう、少女神域もそうだ。本編を終えればおしまい。他の個別ルートはHシーンが違うくらいで大差ない。だが少女神域自体がすでにワケわからん代物なのに、個別ルートはさらに混乱する。主人公が祭典の前に女に告白し、デートして、祭典で一発やって、主人公が死んで、ヒロインが主人公の息子と会話する。妹以外、全部の個別ルートがこのパターン。違うのはデートとHのCGだけ。もし興味本位で連続でやったら、こう感じるはずだ。
「これ、もしかしてコピペじゃね?」
ゲームの音楽は11eyesのゲームとアニメの音楽クリエイター、坂本昌一郎。で、気づいたんだが、少女神域の曲は聞き覚えのあるものが多い。11eyesの影が濃厚で、特に真実の果てには完全に11eyesの赤き死のワルツだろ。そのまま流用して問題ないのか? 音楽の切り替えにも問題があって、頻繁すぎる。初雪桜の頻繁な切り替えもクソだと思ってたけど、少女神域はそれを軽く超えてきた。30秒でBGMが変わるとはこういうことか。唐突すぎる。
作画は正直かなりいい。ただCGが少なすぎる。各キャラ一ページに満たないCGしかない。質の高いものも多いけど、とにかく少ない! しかも大部分の画面はMinori中二社が始めた水池やら柱やら墙角やらのアップを学習してる。実際、ゲーム最後のスタッフロールには中二社の名前もちゃんと出てくる……

CVの演技もそんなに光らない。田口宏子さんはクールな女を演じて可もなく不可もなく、深田愛衣はまた妹役。他はほとんど知らない声優だ。幼馴染は長妻樹里。正直、俺が一番嫌いな声優だ。白色永遠のあの太刀女はSBとは何かの完璧な体現だった。このゲームでは性格はまあ悪くないけど、声にこれといった特徴がない。
まとめると、プレイヤーがウキウキでゲームを買って帰り、家で起動し、ワケわからんシナリオ、少なすぎるCG、ジェットコースターのようにコロコロ変わるBGM、そしてパッとしないCVに耐え、ようやくエンディングにたどり着く。いくつかルートをやってみれば、どれも大同小異。主人公が死んで、ヒロインが主人公の子供を産む。

しかもこう感じる。
これ、どう進んでもBAD ENDに見えるのは何なんだ?
そして最後、プレイヤーが苦労してたどり着いたTrue Endの妹ルートで分かること。
妹は攻略できない!
いや、言い切るのはよくない。実は妹も攻略できる。だが、
妹を攻略するとBAD ENDに落ちる!
仕方なく理性を抑え込んで真エンドに到達しても、またワケわからん展開。もともと長くないゲームが終わる……
ゲームの宣伝文句「すべての物語にハッピーエンドがあるわけじゃない」がまだ耳に残っているが、
プレイヤーがドイツBoyよろしくキーボードを叩き割りたくなる衝動も、これを2013年一の地雷と罵りたくなる気持ちも分かる。
LASSにとって、11eyesで大儲けした後、4年ぶりに出したのがこれというのは、完全にやるべきことじゃない。むしろ手抜きと言うべきで、シナリオライター獅子雰麓の脳内大爆発を台無しにしている。
少女神域少女天獄というギャルゲーは、確かに失敗作だ。
だが地雷とまでは言えない。本当の地雷は取るに足らないところが一つもないものだ。例えばこれとか。

で、LASSの脳死ファンとして気づいたんだが、このゲームのシナリオは単純じゃない。ゲーム内のシナリオを掘り下げて理解し、ネット上の情報も合わせると、少女神域少女天獄が語ろうとしている物語がだいたい分かってきた。
佳城市には古い歴史があり、街の山頂は石壁で埋め尽くされている。それは街に災厄を引き起こす巨大な力を持つ巨石を封印するためで、巨石の名前はゲーム中では言及されないが、この巨石が邪悪な力を持ち、周囲の生命の精気を吸い取ることが分かる。
そしてある日、皇子という男が佳城市にやって来て、四人の姫と出会い、その一人と恋に落ちる。この土地の巨大な邪力にも気づき、自分の体の力で巨石を封印する。だが巨石の邪悪な力が強すぎたため、皇子は封印を維持する方法を定めた。20年ごとに祭典の儀式を開き、四人の巫女を選び、自分は一人の女と交わり子を宿す。同時に女が自分を殺し、石の力を分離して子に移し、削減する。そして20年後、成長した子が再び祭典に参加し、同じく女と交わって殺され、子を残して石の力を削り続ける。石は必ず男の体内に留めなければならず、伝達が途切れれば封印の制御を失い、街は再び災厄に陥る。
佳城市もまた皇子の子孫が代々婚姻を重ねて四大家族を形成し、これが四人のヒロインがそれぞれ属する四大家族だ。家族は皇子の血を継ぐため体力と身法に優れ、20年ごとの星鴻祭では四大家族から四人の女性を巫女として選ぶ。巫女とは神に仕える者で、大きな役目の一つが、石の力を体内に宿す神の部屋で媚薬の作用のもと神と交わり子を産むことだ。
つまりこの儀式が、主人公が故郷に戻って参加する星鴻祭の由来であり、佳城市全体がこの石の呪いを恐れて星鴻祭を20年ごとに受け継いでいる。主人公の父は星鴻祭の最中に逃げようとして、祭典の四大家族に囲まれて殺され、主人公と妹の二人が残された。広原菩乃花に引き取られた。

そして時は主人公の星鴻祭へ。四大家族が再び祭典の準備を始める中、ある家族が意見を出す。20年ごとにこんな輪廻を繰り返すのは誰もが苦しく、主人公一家を皆殺しにすればこの石の問題も終わるだろう、と。そして共通ルートで主人公は狐面の女に襲撃される。結果は当然失敗し、祭祀は予定通り行われる。
実は主人公を皆殺しにすれば祭祀を止められるという考え自体が間違いだ。最初の皇子の言葉によれば、石が子孫を介して伝わらなければ、力は削減されないどころか災厄を引き起こす。
そうすれば四人のヒロインルートの結末も説明がつく。星鴻祭で主人公の体内の石の力が覚醒し、獣となる。だがその前にすでにヒロインと性行為に及んでおり、主人公が獣化して自殺した後、主人公の子を宿したヒロインが子供を産む。子供の体内には削減された石の力がある。最後の結末はプレイヤーにこれは輪廻だと告げる。おそらく20年後、この子もまた星鴻祭の道を歩み、新たな獣となり、愛する巫女に殺されるのだろう。
最後の妹ルートは、問題全体からの解脱だ。
妹ルートでは、主人公が獣化し、妹が同志として射殺され、主人公は自分を救った父の情景を思い出し、自らの体内の石を自ら抉り出して妹の体内に入れ、妹を蘇らせ、自分は消える。
そしてその石は、ずっと男の体内にのみ宿り、繁殖と出産を通じて伝達されてきた。それが突然女性の体内に来たことで、独特の新たな状況が生まれる。妹は洞窟に隠れ、不老不死となり、最後にはワケわからず懐胎し、最初の、つまり皇子が見た世界を見る。石の力は妹の出産能力を通じて洞窟で死んだ皇子の魂魄に移り、復活した皇子は再び石を封印することを選ぶ。石の中にあった主人公の魂も解放され、妹と兄は共に命を得る。まあハッピーエンドと言えなくもない……
ゲーム中、主人公はよく夢を見る。自分の祖父、自分の父、そして皇子、さらにその前の時代の夢だ。これらの夢は11eyesの劫の眼と同じく、石を通じて伝達される。そして妹以外のヒロインの結末でも、主人公の息子が主人公が見た世界を見ることができ、それも夢と呼ばれる。
まとめると少女神域少女天獄のシナリオの設定は恐ろしいほど多く、解説は恐ろしいほど少ない。一部のプレイヤーによれば、解凍してゲームスクリプトを入手したところ、スクリプト内にはシナリオライターが脚本を書く際の注解が大量にあったが、それらはゲーム内には登場しなかったという。俺にとってもこのゲームのシナリオを完全に理解しているとは言えない。星鴻祭の伝達方法しかり、女方が女の子を産んだらどうするのか? 主人公の父はなぜ星鴻祭の前に自分を産めたのか? 夢を通じて石の移転過程で本家が変わったことや、11eyesに登場した悪役・黒芝香苗と関係があることも見える。これらは理解しがたく、脚本家が仕込んだダブルミーニングの意味を理解するには日本語に精通する必要がある。もちろん、それをできる猛者もいる。興味があってプレイするなら、分からないときにこの少女神域少女天獄の解説を参照するといい。ゲーム内の設定の由来が詳しく説明されている。
話を短くすると、少女神域少女天獄のシナリオはデッドループの輪廻のようなものだ。多くの人が疑問に思う。「神域」と「天獄」は一体何を指すのか?
巨石碑に閉ざされた小城には、神に守られた儀式がある。それは少女の神域と言える。そしてその儀式の裏には、数千年の歳月の中で無数の少女が巫女となり、呪いの力を封印するために自らを犠牲にする地獄がある。
守られる少女と、誰かを守りたい少女。そして代々逃れられない牢獄。神域と天獄とは、つまりそういうことだ。

True Endの曲punitive justice~千年の錯綜~で歌われるように、
「宿した千年の夢、たとえ命が転生しても、彼を守るために受け継がれていく」
このゲームで、主人公はむしろ哀れな虫けらだ。四大家族の巫女に守られ、最後にはその巫女たちに救われる。
これほど壮大な設定がありながら、LASSはこれで挽回しようとしていたのかもしれない。より詳細な設定の補完はFandiskで出るのかもしれない。だがどうしようもない。ゲームは大きな汚点となり、Fandiskも水中月鏡中花となった。脚本家獅子雰麓にはため息をつかざるを得ない。全力で書いたものが理解されなかったせいか、LASSの最新作には彼の影はなく、剣技一人が担当している。そして最新作の現状を言えば、せいぜい劣化版11eyesでしかない。
壮大な脚本が壮大な力を発揮できず、物語を書いた者は自分の物語を理解できる人がほとんどいないことに気づく。この憂いは多少理解できる。LASSの現状は楽ではなく、次回作があるかも未知数だ。今後も獅子雰麓が脚本を手がけるゲームを見たいと思う。だがかつての『少女神域少女天獄』というゲームは、少女の千年の錯綜を纏いながらも、誰にも理解されないLASSの黄粱一夢に過ぎなかったのだ。
注:このゲームの設定を深く理解したいなら、ここを見るといい: http://www.lightnovel.cn/thread-588722-1-1.html
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