『景の海のアペイリア ~カサブランカの騎士~』レビュー

カサブランカに愛はない

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『景の海のアペイリア』は個人的にかなり推せる。驚きがあるし、新鮮だ。ただ残念なことに、俺がここまで持ち上げたゲームなのに、去年の売上はぱっとしなかったらしい。とあるゲームのFDにも負けてる始末だ。

それでも『景の海のアペイリア』は続編を発表した。とはいえ続編と言いつつ、実質FDなのはタイトルとパッケージを見れば一目瞭然だ:

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『景の海のアペイリア ~カサブランカの騎士~』、接尾辞は「カサブランカの騎士」。

普通、あるゲームのFanDiskといえば、本編キャラそれぞれの後日談に、本編でルートがなかったキャラの新規ルートを足したもの、大体そんなところだ。俺も最初は『景の海のアペイリア ~カサブランカの騎士~』がそういう作品だと思っていた。何せパッケージに描かれているのはあの二人の脇役っぽい連中だし。

脇役と言っても完全に脇役というわけではない。本編でも主人公と絡みの多いサブキャラだし、一人はもう一人のヒロインであるましろと縁のある看護師のお姉さんだ。ただゲームの仮想世界の中では、二人とも女騎士なだけ。

だが実際にプレイしてみると、これはFandiskというよりAppend diskと呼ぶべきなんじゃないか?

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『景の海のアペイリア ~カサブランカの騎士~』の物語は原作とまったく同じ。おっと、物語の構造がまったく同じだ。最初の展開でわけのわからない結末に入り、Timeleapが始まり、続いて攻略対象二人それぞれに向けて新たなTimeleapを一回ずつ、最後にもう一度Timeleapして最終結末に到達する。

しかもこの話そのものに、正直あまり入り込めなかった。相変わらず仮想世界に入り、特殊任務を受けて、特殊任務にズレが生じて、わけのわからない混乱が起きて、二回のLoopを経て、真相を突き止めて最終End。入り込めなかったのは、たぶん本編への俺の感情が影響している。

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本編で俺が一番光っていたと思うのは、ゲームのOP、それからヒロイン一号の妹、そして秋野花が演じたAIアペイリアだ。この二人のキャラは本当に生き生きしていて、物語の核心寄りでもある。FDのこの二人の脇役には元々あまり興味が持てないし、攻略したい欲もない。だからこのFDを読んでいても、やっぱり退屈だった。ゲーム開始時に旧キャラそれぞれに一応の説明っぽい劇情はあるけど、それでも足りない。何せFD本体には旧キャラの出番が完全に消えているし、新規CGもHCG以外はほぼ全部旧シーンの使い回し、OPアニメもEDアニメもなし、それに大量のつまらない戦闘劇情、男主角の性格もしばしば変わる(いる世界によって)。加えて元々絵は普通、音楽もCheap。光るのは妹のツッコミと男主とアペイリアのやり取り、そしてあの超燃えるOPだけ。なのにFDにはそれらがほぼない。見た目はもはや番外編、よくある発売直後のギャルゲーがAppend diskで追加する簡単なスクリプト程度のものだ。

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FDとして、旧キャラの出番はほとんどなく、全部二人の新キャラに割り振られている。新キャラといっても、ある偶然の事件を描いただけで、劇情の長さはどうでもいいドラゴン狩りを削れば、アニメ換算でOVA一本で十分だ。

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時々思う。『景の海のアペイリア』というゲームの俺にとっての最大の魅力は、やはりアペイリアの存在、それから序盤の劇情がぐるぐる反転し続けるテンポ、そしてぶっ飛んだ詐欺展開の数々だった。それらがこのいわゆるFDにはほぼないから、平凡にしか映らない。キャラ売りだとしても、『景の海のアペイリア ~カサブランカの騎士~』の二人には興味が持てない。見終わったあとは、ただ失望しかなかった。

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たぶん俺の愛はアペイリアにだけ注がれていて、カサブランカまでは届かなかったんだろう。

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