『添いカノ ~ぎゅっと抱きしめて~』レビュー
このゲームに100点をつける
エロ音声……おっと、ASMR、Dummy Head Recording、つまりはリラックスと催眠用のドラマCDなんかをよく聴く人なら、「添い寝」って言葉には馴染みがあるはずだ。
日本語がわからなくても、「寝」の字くらいは読めるだろう。察するに「添い寝」の録音ってことだ。
だから俟斎はほんとゲスいよな。自分じゃ相手が見つからないからって、ゲームにヒロインを探させる。ゲームで探すならまだしも、自分は立ったままヒロインが勝手に寄ってくるのを待ってる。寄ってきたヒロインに文句をつけることもある。しかもその注文がやたら細かい。ブスはダメ、声が可愛くないのはダメ、非処女はダメ、人間じゃないけど最後まで男主と結ばれないのもダメ、傷ついた過去があるのもダメ、幽霊で成仏させられるのもダメ。挙げ句、とにかく男主と即エッチしないとダメ。エッチだけじゃ飽き足らず、一緒に寝ろときた。腎臓だけじゃ足りず、心まで。心だけでも足りず、サービスは完璧に。そんな風に俟斎の注文がエスカレートするにつれて、ゲームの内容もどんどん複雑になっていく。全方位的に無条件で尽くし、何も持たないデブ豚のそばで、お前が眠りに落ちるまで添い寝してくれる理想の萌え妹子が作り出された。考えただけで笑える!
とはいえ、オタクは腐女子勢に比べて財布の紐が固いとはいえ、カモもそれなりにいる。だから多くのエロゲーメーカーはわざとオタクに媚びて財布を狙う。ほら、また一つゲームが出てきた。ターゲットは明確だ。萌え妹子を描いて、こう言う。「うちのゲームを買えば、この萌え妹子が添い寝してくれるぞ」と。
タイトルは『添いカノ ~ぎゅっと抱きしめて~』。つまり「ぴったりくっつく彼女、ぎゅーっと抱きしめて」って意味だ。
買うか?買うよな?原画はあめとゆき、ヒロインのCVは夏和小。こんな豪華な布陣、買うしかないだろ!どうなんだ、買うのか!

買うかよそんなもん。AlphaRomのクラックなんて簡単だし、みんなsukebei.nyaa.siで済ませてるだろ。
まあこれも仕方ない。メーカーだってメルカリに出店するわけにいかないし、Steamで全年齢版を売っても意味ない。ただ「高尚なギャルゲープレイヤー」の中には真顔でこう言う連中もいる。「自分はヒロインが尽くしてくれるかとか、可愛いかどうかは重視しない。見ているのはゲームの内面性だ」と。そして陳星漢や扶他自が捻り出したような人生哲学大作を期待し、萌え系には手を出さない。彼らは黒縁眼鏡を中指で押し上げ、低い声でYahoo!知恵袋風の竹を割ったような問いを投げかける。「このゲームのシナリオは一体どうなんだ」と。
そんなこと聞かれても困るわ!どうしたいんだよ。このゲームはそもそもデブオタクに奉仕するためのものだぞ。それ以上何の内面性を求めてるんだ。状況を理解してるのかお前。
まあいい。これでもギャルゲーだからな。Tokyo Hotにだって一応ストーリーはある。じゃあこのゲームはどんな話なのか。

うちの男主は暇さえあればどこかでサボって寝るのが好きな奴だ。睡眠の質が悪いので、ある日男主は校舎の屋上にある温室を見つける。空気は清新で土の匂いが漂い、寝るのにうってつけだ。ところが眠って間もなく目を開けると、軟妹が隣に寝ている。聞けば、自分が寝ていた場所はその子の指定席で、場所を取ってしまったらしい。
こうして男主はその軟妹と知り合う。熊倉夜明、愛称くまちゃん、つまり「くまくま」だ。男主は気づく。この熊妹は授業に一切出ず、毎日この温室に隠れて寝ている。男主も眠いので、二人で一緒に寝るようになる。寝ているうちに問題も見えてくる。男主の妹二人(しまった、男主にどうして妹が二人いるのか忘れた)は、兄がこんな風に隠れて寝るのは良くないと説得に来る。が、結局引きずり込まれ、先輩も一人引きずり込まれる。かくして一群は暇さえあればこの温室に隠れて、寝るなり駄弁るなり、とにかく居座るようになった。

すぐに生徒会長が黙っていない。学生が毎日授業も出ずに隠れて寝て、しかも男女一緒に寝るとは何事だ?
生徒会長の船生紫子がすかさず介入し、温室を占用する男主たちに警告する。「温室は園芸部が使うものだ。君たちは不法占拠だ。すぐに出て行って鍵を返し、授業に戻れ。さもなければ覚悟しろ」と。

男主は呆然。せっかく軟妹と熊妹と一緒に寝られるいい場所を見つけたのに、もう追い出されるのか。熊妹も不服だ。サボる場所がなくなる。
一群人は対策を練り、半日話し合った末に結論が出た。
「温室を不法占拠と言うなら、ここは園芸部のものと言うなら、園芸部は廃部になったんだから、また作ればここで寝続けられるじゃないか」。

こうして男主は園芸部の申請を始める。色々あって結局認可が下り、合法的に温室を占拠して寝続けられるようになった。
だが話は終わらない。熊妹とはまだやってないからな。
ある日男主は、二人転がしより陳腐な告白を熊妹にする。告白後、男主は熊妹の姉に会う。姉は歌手だった(実は姉のCVも歌手)。だから熊妹が時々鼻歌を歌うのも納得だ。音楽家の血筋だからな。

姉は男主に言う。妹は臆病で逃げ癖がある。別に悪い子じゃないが、隠れるのが好きで、授業に出ず寝てばかりなのもそれが原因だ。どうか男主にも助けてやってほしい、と。
男主は言う。「お姉さん、その通りだ。今後は必ず悪い癖を直させて、すごい奴にしてやる」。
その時男主は、熊妹が隠し持っていた名刺を見つける。音楽プロデューサーのものだ。話を聞くと、熊妹には歌の才能があり、スカウトに目をつけられたが、本人が引っ込み思案で行きたがらないらしい。男主はどうしたか。すぐに励ましにかかる。何度も中出しで励ました末、熊妹はついに音楽デビューを決意し、引っ込み思案を克服した。

で?そこで話は終わりだ。大体、男主が引きこもり少女を救う名目で熊妹を口説き落とした話だ。
じゃあこのゲームはどう評価すべきか。正直、シナリオは評価に困る。陳腐も爆発級だし、起伏もない。しかもクソみたいな展開が満載で、熊妹が「今夜はブラウザゲーをやり込みたいからエッチしたくない」と言うと、男主が死んだ母親みたいに落ち込む。見てて笑いが止まらなかった。他にも男主が訳もなく情緒不安定になり、最後には大したことじゃないとわかる場面が山ほどあって、どう評価していいかわからない。

しかしタイトルが示す通り、これは「軟妹と一緒に寝る」が売りのゲームだ。寝るシーンも結構ある。で、感想は?
何の感想もねえよ。寝るシーンは全部CG一枚に妹子の寝息が少しつくだけ。クリア後には添い寝モードがあるが、これがもっとバカ。やはり妹子がいて、つつくと鼻歌を一つ、それで……終わり。
このゲームを作った連中は「桃色code」の娼婦ASMR音声を聴いたことあるのか。添い寝効果が全然違う。お粗末すぎる。

それにBGMも変だ。軟妹が売りのゲームなのに、口笛を大量にBGMに使っている。聴いてると小便がしたくなる。これはオタクの勃起を促進するためなのか。
評価できるのは絵柄くらいか。しかし絵柄の統一感がない何人もの絵師を集めていて、ただ萌え妹子を描いて可愛いと思わせて売上を狙っただけに見える。おまけで添い寝CDが付くというので期待していたが、添い寝モードを見た限り、そのCDも大したことないだろう。

ちなみにこのゲーム、昨年同時期の『君の眼球がぶつかった』と同じ手口だ。萌え妹子を売りにして、あとは流れ作業の陳腐な内容。ただ今回は売りの添い寝が流れ作業では作れないもので、しかも出来もイマイチ。昨年のあれより劣る気がする。
X(旧Twitter)である人がこのゲームに何点つけるかと聞いてきた。ここまで散々文句を並べてきた通り、このゲームの出来は推して知るべし。妹子が可愛いくらいで、後は平均値を下回るか下回らないかというレベルだ。100点満点なら、本体は2点、それ以上は無理。ヒロインCVの夏和小に98点。合計100点。
そう、このゲームに100点をつける。以上。
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