『9nine - そらいろそらうたそらのおと』レビュー
去年の今頃だったか……あるゲームが発売された……『9-nine- ここのつここのかここのいろ』だ。このゲーム、正直当時は評価してなかった。そもそも評価する要素が少ない。物語はほぼ進展せず、設定を説明しただけだったからだ。
実を言うとあれはシリーズの始まりに過ぎない。この「9nine」というゲームは分冊販売の企画で、ざっと推測するにヒロインが三人いて、各ヒロインごとに一巻、最低三巻はあるはずだ。
第一巻の話はここで書いたとおり、主人公が能力者同士の戦いに巻き込まれるというもの。悪役の能力者もいれば、主人公やヒロインのような正義の能力者もいる。人が人を殺せば、それを止める者もいる……
しかし第一巻では能力者連続殺人犯が誰なのか全く分からず、尻切れトンボで終わった。だから一年ぶりに第二巻がまた来たわけだ。
第二巻のメインヒロインは主人公の妹、新海天。だからゲームタイトルも彼女の名前にちなんだ『そらいろそらうたそらのおと』になっている。

で、この第二巻は物語的にどう見せるのか。正直、プレイする前は見当もつかなかった。第一巻で話はほぼ死んだも同然だったからだ。犯人は自決したと言われ、主人公は第一ヒロインと付き合い始めた。どうやって主人公に彼女を捨てさせ、実の妹とヤらせるというのか。
案の定、ゲームを始めてすぐに噴き出した。予想通り、時間軸は第一巻の「火災事件」の翌日に巻き戻されていた。
つまり第一巻のその後の展開は全部なかったことにして、やり直しというわけだ。

第一巻では妹の新海天は能力者ではなかった。だから妹は主人公と口喧嘩するだけの存在だった。しかし第二巻ではメインヒロインとして登場するので、当然ながら彼女も能力者にさせられる。
ゲームの説明では、妹はなぜか聖遺物を手に入れ、その能力を得た。能力は存在感を消すというもので、要するに透明人間のようなものだ。相変わらず一行は「石化殺人」の能力者を調査するが、妹も能力者として戦いに加わる。

能力者調査の過程自体はまあ順調だった。主人公は別の三人の能力者を見つける。しかもその三人は小さなチームを組んでいた。リーダーは男で、これがまたクソ野郎だった。男リーダーは主人公にこう言う。「俺たちに加われ。俺たちは皆超能力者だ。目標は全ての超能力者を団結させ、俺たちが差別される前に他の奴らを始末し、超能力者の理想郷を作ることだ」と。
主人公は尋ねる。「理想郷を作るために、人を殺すことにも躊躇しないのか?」
そのクソリーダーはなんと答えを濁した。

主人公は殺しが一番嫌いだと言って加入を断る。するとリーダーは激怒し、「俺たちに加わらないなら、今日からお前は敵だ」と宣告する。
特筆すべきは、その三人組のうち二人に主人公は興味を持つ。一人は先輩で、その能力は第一巻で既に知られていたかもしれない。魅了か女王かの類だ。先輩自身は三人組を好んでおらず、ただ群れているだけ。もう一人はフードを被った女で、こちらの方が危険だ。本名は不明で、コードネームはゴースト。
この女は好戦的で、主人公を見ると興味津々。挑発するように夜道に気をつけろと警告してくる。
そしてある日、主人公は本当に夜道で彼女と遭遇してしまう……主人公も彼女の能力を調べた。投げナイフのようなものらしいが、あのぬいぐるみのような異世界の淫獣は、彼女の能力は非常に強力で、しかも一つの能力だけではないと言う。
主人公は好奇心を抱く。「人間に複数の能力が持てるのか?」

そのぬいぐるみは説明する。複数の聖遺物を手に入れれば複数の能力が持てる。制限はない、と。
ゴーストに遭遇した後、彼女はまず友善を装い、そして突然主人公を襲う。襲撃方法は見覚えがある。石化だ。
なるほど、最初に人を石化させてから殺していた能力者こそ、この女だった。しかも彼女は一つだけでなく、複数の能力を持つ。そのうちの一つが石化だ。殺人の目的は一つは楽しみのため、もう一つは他人を殺して聖遺物を奪い能力を得るため。

主人公が殺されそうになったその時、妹の新海天が現場に駆けつけ、とっさに能力を使い、ゴーストを透明化した。
主人公は助かり、ゴーストも一時的にアカリン状態になった。しかしまずいことに、妹の能力が覚醒してしまった。

淫獣ソフィによると、能力者が自分の能力を制御できないと、覚醒しすぎて暴走する。特に妹のようなタイプは暴走しやすく、暴走すると自分がどんどん存在感を失い、やがて消滅し始めるという……
案の定、主人公の母親は娘がいることすら忘れ始め、やがて主人公自身も影響を受けた。母親は主人公のことも分からなくなった。

ソフィ淫獣は能力を除去する解毒剤を手配できると言う。おそらく仮死状態にさせ、その間に能力を魂から取り除くというもの。能力は魂と結びついているため、勝手には分離できない。ただしこの薬の精製には最低三日かかる。妹の能力を除去すれば、妹は助かり消えずに済むし、主人公も皆に思い出される。
薬を待つ間、ソフィは主人公に妹の情緒を安定させるよう頼む。悲しませると本当に消えてしまうからだ。
そして情緒を安定させる過程で、妹が言う。「どうせ私は消えるんだから、消える前に一つ願いが叶えたい。お兄ちゃんとエッチがしたい……」

その後はご想像の通り。
最後は当然、薬が届き、妹は助かる。しかし悪い知らせもあった。妹が助かったということは、あのフード女にかけた効果も解けたということ。彼女がまた主人公に決戦を挑んでくる。
最終決戦はもちろん、主人公がハーレム軍団を率いて乱戦の末、あの傲慢なフード女を殺す。(本当に殺した。無駄に情けをかけなかったのは評価できる!)

最後は主人公と妹がイチャイチャ幸せに暮らし、ゲームの終盤で黒幕が明かされる。ずっとボケを装っていた主人公の親友で、彼はソフィと知り合いらしく、主人公の能力を狙ってこれらの展開を仕組んだらしい。

だが主人公の能力とは何なのか。ソフィは主人公の能力は防御だと騙したが、それは嘘だと思う。おそらく時間移動か世界創造に関係しているはず。そうでなければ第一巻のOPとも、この台詞とも辻褄が合わない:

とはいえゲームはここで終わる。次巻で新たな展開があるのだろう。
全体的に、このゲームは第二巻として第一巻よりずっと良い。
良くなった理由は主に物語が進展したからではなく、日常のキャラクター造形が面白いからだ。
主人公は妹の新海天で、ゲームの八割は主人公と妹・新海天の会話だ。妹の性格は典型的な「口の悪い」タイプで、ずっと主人公とツッコミや口喧嘩をしている。見ていて漫才のようだ…………メインストーリーとは一ミリも関係ない……
でもこの漫才が本当に面白いんだ!!
むしろ最後にゲーム全体を振り返っても、超能力者大戦とかは全く印象に残っていない。残っているのは妹と主人公の様々な攻防だけだ。しかも妹のCVは桐谷華で、しかも全開の桐谷華。ここ最近で最高の桐谷華だった。思うに桐谷華の演技は脚本にも左右されるのだろう。ありがちな凡庸な萌えキャラなら彼女の持ち味は活かせないが、このゲームでは会話と口喧嘩の構成が非常に「成熟」しているので、キャラクターを演じやすく、より生き生きと見える。

ただ、絵師の和泉が描く女性は年齢が分かりにくいからか、あるいは私が日本文化に詳しくないからか、妹が主人公を呼ぶときの響きがとても幼く感じる。よく「にぃにぃ」と呼ぶ。一般的な「おにい」や「お兄ちゃん」とは違う。現実でもこう呼ぶことが多いのだろうか?
ゲーム内の背景やBGMの大部分は第一巻のものを流用している。第二巻なのに新OPもなく、相変わらず旧OPのままだ。ゲームのOPムービーも見当たらなかった。この辺はかなりコストカットされている。コストカットはまだしも、こういう「高速反復」の分冊作品なのに第二巻を出すのに丸一年かかった。第三巻の発売にもあまり期待はしていない。おそらくまた来年だろう……

それでも素材制作に誠意は感じられないが、キャラクター造形が十分に面白く、日常会話だけで楽しめるなら、このゲームは十分にプレイする価値がある。前後の事情を知らなくても構わない。そもそもこのゲームでは「能力者」の追跡パートが牛車の如く遅々として進まず、多くのプレイヤーも気にしていないと思う。大ボスの一人である高森演じるゴーストも三シーンほど登場してあっさり退場。彼女については語ることもなく、印象も薄い。むしろ脇役の女教師の方が造形が良いとすら思う。
恋愛要素もあるにはあるが、とても見られたものではない。妹が突然お兄ちゃんとエッチしたいと言い出す。エッチシーンは相変わらず動くエモートだが、それだけだ。AVのように流し見すればいい。背徳感など期待しない方がいい。今回は実の兄妹だから、偽物ではないが。

要するに:このゲームは会話の掛け合いを見るだけで十分。物語は脇に置いておけ。
ただ驚いたのは、脚本が本当に掛け合いを書くのが上手いことだ。彼が書いた他のゲームでは全くそんな印象はなかった。思うにこの脚本家は中国に来て郭徳綱とタッグを組むべきだ。

第二巻の終盤で黒幕が明かされ、第三巻はヒロインの順番からして中二少女・夏和小のターンになるはず。第三巻のサブタイトルは何になるのか。第一巻は『ここのつここのかここのいろ』で「九次九日九重色」と訳され、第二巻の『そらいろそらうたそらのおと』は「天色天歌天之音」となる……では第三巻はどんな名前になるのか?
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