『恋するココロと魔法のコトバ』レビュー
子どもに見せられないおとぎ話
ギャルゲーをそれなりにやってきたけど、前から一つ腑に落ちないことがある。
ギャルゲーで一番多いのはエロゲー、つまり18禁ゲーで、中に性行為の描写があることを売りにしている以上、本来は成人向けゲームという枠に位置するはずだ。
成人向けゲームを買う人間なんて、せいぜい成人ってだけ(少なくとも建前はそう)なんだから、ゲーム内容の提示においてもっと「成人要素」を前面に出すべきだろう。
ところがめちゃくちゃ矛盾してるのは、ギャルゲー市場では、本当に「成人向けゲーム」を体現している一部のメーカーを除いて、主流のプレイヤー連中が妙な要求をしてくることだ:
1、シナリオが鬱だとダメ、刀を送りつけるぞ 2、えっちシーンがないとダメ、ないなら刀を送りつけるぞ
理屈から言えば「成人向け」の面白い話にはどうしても鬱な要素がつきもので、面白ければ面白いほど「鬱」要素は不可欠なのに、ギャルゲーの受け手はそれを受け入れない。
「鬱」な話を受け入れないってことは、純愛ものが好きってことだよな。なのにえっちシーンは必須で、しかもあれこれプレイしないと満足できない……
だからお前ら18禁ギャルゲーをやってる連中はいったいどういう歪んだ集団なんだよ……
話は単純で、しかもファックも必要……そんな話どこ探すんだよ……
Google+ のある謎の人物が「この方面の集大成」な18禁同人誌を見せてくれた時、なんとなくこの需要がわかった……そして「萌え豚」と「大友」がなぜ存在するのかもわかった。たぶん多くの人は心の奥に野獣のような性欲を抱えていて、それをメルヘンの中で発散させたいだけなんだろう……
だから純愛を名乗りながらシーンがモザイクまみれのゲームがバカ売れするのも不思議じゃないし、大勢が「子どもに見せられないおとぎ話」を好んで見るのも不思議じゃない。
「おとぎ話」を作るには、まず設定から攻める。設定で最もわかりやすく出るのは、そう、絵柄だ。
可愛い絵柄、可愛い女の子、それ即ち可愛いおとぎ話!
一番可愛い絵柄といえば誰か! まずは白もち桜でしょ! 昔の『魔女こいにっき』の先生しかり、去年のナツイロココロロッグの女1号しかり、もう大好きなんだよ!
白もち桜の絵は「いつも同じ顔」とツッコまれるけど、CGはやっぱり安定してると思う。今回Heartsって会社もちゃんと白もち桜の長所を見抜いてて、その画風で新作を作った:恋するココロと魔法のコトバだ。

恋するココロと魔法のコトバ、中国語名:恋愛之心与魔法之語。可愛い絵柄、魔法と魔女の設定、これだけで萌え豚の心をズドンと撃ち抜く。俺は含まれないけどな。まあ俺が萌え豚じゃないってのもあるけど、ただ期待してたんだよ、このゲームのヒロインがナツイロココロロッグの久遠みたいに恋の感覚をくれるんじゃないかって。
開発発表は早く、発売も予定通り進んだけど、俺にはずっと嫌な予感があった。というのも、シナリオ陣が去年のあなたに恋する恋愛ルセットと同じなのに、いろいろ足りてない。あなたに恋する恋愛ルセットは水月陵がBGMを担当していて、これは違う。ナツイロココロロッグのシナリオには樹原新がいたのに、これにはいない。
その嫌な予感っていうのは、このゲームのスタッフが寄せ集めなんじゃないかってこと……

発売後すぐにやってみて、予感は当たってたとわかった。
このゲームは設定が極めてシンプルなのに、去年のあなたに恋する恋愛ルセットを必死に真似しようとしていて、しかも真似しきれてない……とても気まずい。
設定は、ある日男主が偶然学校の某サークルに迷い込み、中に自称魔女の女の子ばかりだと知る。同時にサークルの魔法陣から謎のピンク髪の女を召喚してしまい、男主は魔法使いの素質ありと認定され、強制的にサークルに入れられる……

そしてその女の子は春ハル(ハルハル)と名付けられ、一同が鑑定した結果「ハイエルフ」で、精霊の化身、魔力が強いので実体化しているという。
その後……長く、そして……何と言っていいかわからないほど淡々とした共通線が始まる。
このゲームの共通線、なんて言えばいいんだ……退屈と言うべきか、それとも白湯すぎると言うべきか。だいたい毎日、魔女連中が普段何をしているか男主に説明して、あとはお茶を飲んで雑談……

ていうかこのゲームの魔女設定はかなり面白い。魔女と聞くとたいてい魔法を操る女の子を想像するけど、このゲームの「魔女」はどちらかというと『World of Warcraft』の「シャーマン」に近い……異なる種族と「交心」する、つまり心を通わせる。すべての物に「精霊」が宿るとされ、光には光の精霊、草には草の精霊、水には水の精霊、花には花の精霊、掃除機には掃除機の精霊、バイブにはバイブの精霊、パンツにはパンツの精霊、スマホにはスマホの精霊、デカチンにはデカチンの精霊、竹牛逼(すごい竹)には竹牛逼狂精霊……

そして魔女たちがやるのは精霊と「交心」すること、つまりコミュニケーションして何かをする(猫や犬を助けるとか)……世界の調和を促進する……

どう見てもシャーマン……あるいはドルイド……。ゲーム自身も、いわゆる「魔女」は世界の他の場所では Shaman(シャーマン)と呼ばれるとツッコんでいる。
とにかく男主はサークルに入ってから毎日お茶を飲んで雑談して精霊と交心するだけで、他は何もなく、学校には他にも老魔女がたくさんいるのを発見する。男主が下宿しているカフェの店長 Ashely もたぶん魔女で、とにかくどこもかしこも魔女だらけ、どこでも交心、雑談ばかりで実質的な中身は特にない。そしてゲームは学園祭に入る……男主は後夜祭で攻略対象を選ぶ必要がある……

ブログで「学園祭に入って攻略対象を選ぶ」って何回書いたかわからない。もう今のゲームはみんなこのパターン……ツッコむ気力もない。
実はこのゲーム、シナリオに大した謎もなく、惹かれるヒロインもいない。正直4人のヒロインはどれも前の久遠には敵わない。主にキャラデザとCVの問題……これは置いとくとして、俺が唯一気になったのは、あの春ハルというハイエルフがどうやって生まれたのか、なぜ男主が召喚したのか、なぜ彼女だけ特別なのか、ハイエルフとして魔女でない人にも見えるのか、他の精霊は魔女にしか見えないのに。

彼女の個別ルートに入っても、男主は毎日彼女と遊んで……告白して、恋愛して、えっちして、ごく普通の流れ。春ハルもまるでおバカみたいで、話せば傻白甜(バカで純粋)、他の要素は何もない。ある日突然男主が転んで怪我をして、春ハルが心配して魔法で男主を治療する。この治療がまずくて、なんと春ハル自身の魔力が足りなくなってしまう。

そこでashelyおばさんが春ハルの症状を見て、突然まずいと言い出し、春ハルが消えると告げる……
なぜかというと、春ハルは精霊で、魔力を失い、新しい魔力の供給もないと、他の精霊と同じようにだんだん他人に見えなくなり、最後には完全に消滅してしまう。
ashelyおばさんは突然大陸でも発見したみたいに春ハルの来歴を滔々と語り出す。この町にはもともと土地神がいて、土地神は地元の住民にとても良くして、願いを何でも叶えた。しかし住民の要求が多すぎて、土地神があまりに無私だったため魔力を使い果たした。使い果たすと土地神は魔力を維持できず消滅した。その後、土地神の精霊体が花畑で生まれ変わり、小さな女の子になり、ちょうど幼い頃の男主に出会った。男主はその子と一緒に遊び、「ハル」と名付けた。「ハル」は嬉しくて、男主ともっと遊ぶと言ったけど、その「ハル」自身も魔力が足りず、新しい魔力を供給する力もなく、また消滅して魔法石になった。その石を男主が子供の頃海辺で遊んでいて偶然拾い、宝物として身につけていた。

つまりあの日男主が学校のサークルに行き、魔法石を持って魔法陣に入ったことで魔法が発動し、あの「ハル」が再び召喚された。しかし「ハル」は長く眠りすぎて過去のことを忘れていた。
要するに、男主は子供の頃にある精霊と知り合い、その精霊は後に魔力を失って石になり、男主は大人になってまた彼女を召喚した……
そして今の状況は、その召喚された精霊がまた魔力を失おうとしている……つまりまた石に戻るということ。

男主が何か方法はないかと聞くと、ashelyは打つ手なしと言う。精霊は日月の精華を吸収して生きるもので、一度精霊が人性を持ったり、人間と付き合ったり、例えば男主とえっちしたりすると、本来の精霊との繋がりを失い、魔力がなくなり、魔力がなくなれば消え始める……これは悪循環だと。
春ハルが終わるのはもう確定で、男主はせいぜい美味しいものを食べさせ、デートを続け、仲間たちに、もしある日春ハルが見えなくなったら、魔力が足りなくなったら、指摘しないで、楽しく最後の時間を過ごさせてやってくれと伝える。

この辺りのシナリオはなかなか感動的だった。男主と仲間たちが春ハルのために嘘をつく、善意の嘘。
でも結局春ハルは花畑の中で、男主の腕の中で消えてしまった。石になった。

次に石が目覚めるのがいつか誰にもわからない。でも男主の仲間たちがどこからか上古の魔法書を見つけてきて、そこに男主のような状況が書かれていた。凡人と精霊の恋、精霊は魔力を失って石になるが、凡人依然として精霊の石を携えて各地を巡り、彼女と心の繋がりを保つ。するとすぐに精霊は再び凡人との絆を得て、新しい魔力を得て、再び生まれ変わる。

男主はそれを真似して、春ハルの石を持って海を見て回ったり、適当にぶらぶらしたり……2週間もしないうちに、また召喚してしまった……

草、早すぎだろ……感動する暇もなかったぞ……
最後はもちろんハッピーエンドで、男主は自分が召喚した精霊と永遠に一緒になった。

タイトル通り、このゲームのメインラインはおとぎ話で、しかもモザイク付きの子どもに見せられないおとぎ話だ。
テーマは、男主がシャーマンとして自分が召喚したエレメントを愛し、やがてエレメントは魔力を失って元素精華になり、男主が再び彼女を召喚するだけ。

ごく普通のおとぎ話で、『World of Warcraft』の中ですら小さなクエストにもならないけど、このゲーム唯一の支えになっている。しかも後半になってようやく力を発揮し始める。前半の共通線は眠くなる。

音楽はALVINE、冬乃桜のあのサークルで、聴けばわかるけど水月陵をかなり真似したがっていて、弦楽を大量に使って魔法の雰囲気を盛り上げている。ただBGMは光る点が多いものの、繋ぎが不自然で物足りなさもある。シナリオは評価できない。この人たちは「魔女」と「魔法」の書き方をまるでわかっていない気がする。「魔法」は調和して鬱じゃなければいいと思っているだけ。でも魔法はテーマとして「代償」と「責任」を含むものだ。そこから外れて「魔法」でただのお茶番を書くって……魔法少女だって触手と戦うんだぞ、毎日「交心」する魔法少女なんて見たことあるか。ましてこのゲームには肝心の「変身」もない。この「魔法」という定義がメインラインで何の役に立つのかわからない。むしろ魔法を外して、男主が勝手に精霊を召喚しただけでも全く通じる……

最後に叩きたいのはキャラ設定。物語を動かす核がなく、全員がお嬢様で、女の子全員が柔らかい口調で話して、面白いところが何もない。前はナツイロココロロッグに常磐久遠というツンデレがシナリオを動かしていたし、あなたに恋する恋愛ルセットにはみるおばさんのロリがいた。これは何もない。全員が同じ口調で話してるように見えるし、白月かなめもちゃんと演じてない、秋野花は白月かなめに紹介されて数合わせに来たみたいだし、他はみんな傻白甜(バカで純粋)演技。和やかだけど退屈。『ゆるゆり』があの漫画として面白いのはキャラの性格がぶつかり合って鮮明だからだ。京子がいなくなったら少なくとも面白さの半分はなくなる。このゲームの致命的なところはキャラの性格の衝突がなく、全員同じ顔で同じ性格、何をやればいいんだよ?

とはいえこのゲーム自体は俺の期待に届かなかっただけで、少なくともナツイロココロロッグやあなたに恋する恋愛ルセットに比べると少し後退したけど、なんとか合格ラインは保っている……

まずおとぎ話として、毒はなく、メインライン後半のテンポは悪くない。 次に萌え豚向け作品として、CG量は十分で質もそこそこ、スタイルはともかく顔を見ればいい。 最後に魔法がテーマで、弦楽が的確に使われていて、OSTは何度でも聴く価値がある。 あと一番すごいのは、あるCVがこのゲームで一人で十数役を演じ分けているのに、一言も人の言葉を喋ってないこと。ぶっ飛んでる。

これ以外……もう何もないかな。でもこれだけでも十分なんだろう、「子どもに見せられないおとぎ話」が好きな層にとっては、まさにこういうのが好きなんだから……
コメントは中国語の本家サイトで受け付けています。このミラーは閲覧専用です。