『約束の夏、まほろばの夢』レビュー
愚かな能力者、暇を持て余す巫女
もう2年近く前になるかな、『初恋サンカイメ』っていうゲームがあってさ。あのゲームには嫌な仙台のオバサンが出てくるんだけど、シナリオはなかなか面白かったんだよな。当時は販促も地味だった気がするけど、2018年のギャルゲー水準で見れば十分優秀だった。業界はもう終わりだなんて言われるのも仕方ないよ、今年出たゲームはどれもこれもアホすぎるからな。
だから『初恋サンカイメ』を出した会社は、Windmill、通称「風車社」と呼ぶべきだろう。この会社が今年また派手に新作を発表した。名前からして金を惜しみなく突っ込んでいそうな、『約束の夏、まほろばの夢』である。
このタイトルを直訳すると『約束の夏、まほろばの夢』になる。もちろんまほろばは単に幻境という意味ではなく、「桃源仙境」のような意味合いのほうが濃い。
ゲームがまだ発売していないのに、風車社はもう宣伝を始めた。しかも半年以上前から予熱を始めていて、その宣伝方法を見て、俺は盛大に吹き出した。
このゲームは先に本作の脚本内容を公開して宣伝するという手法を選んだ!
黄色ゲームのメーカーって言ったら、普通は宣伝で売上をできるだけ伸ばそうとするよな? エロゲーを一番買うのは誰かっていうと、ネットで何を見ても「俺の嫁」と叫び、エロ画像を見ればすぐ「Retweet」、暇さえあれば「美少女を描きたい」と連呼する“硬核で金持ちのオタク”なんじゃないか? 皮肉なことに、毎日のようにシナリオにあれこれ文句をつけてる連中(俺みたいな)の多くは、特典のために金を払おうとしないどころか、割り厨になったりもする。
要するに、エロゲーをバカスカ買うような連中はシナリオなんてこれっぽっちも気にしてない。ヒロインが可愛ければそれでいいし、シナリオでヒロインが輪姦されて肉便器にでもされてなければ、売上は落ちない。シナリオが良かろうがクソほども意味ねえよ、売上に繋がらねえんだから。昔のさくらのうたを見ろよ、持ち上げられまくってたのに、結局その年の売上トップなんて影も形もなかったじゃねえか……
売上一位は誰だと思います?柚子ですよ(笑)
だからさ、もし俺が Windmill だったら、この新作の宣伝ではゲーム CG をひたすら流すね。しかも大半はエロ CG で、エロければエロいほどいい。そうすりゃ注目度も売上も上がるってのにな、まったく。

もちろん今の主流のギャルゲーの宣伝方法ってこういう感じなんだろうけど、やっぱり業界は一銭も変わってねえなあ。
とはいえ、宣伝が大コケしたのは置いといて、このゲーム自体はどうなのか?
ゲームはStoryをまったく読まずに、そのまま本編に突入した。一週間やって、そこそこクリアしたけど、感想は五味雑陳だ。
まずゲームは始まるとすぐ、男主角が夏休みに入って村の神社をぶらついていたら、金髪の女がうっとりと踊っているのを見かける、という流れになる。知り合ってみるとその女は神宮りんかといい、何より重要なのは、この神宮りんかが男主角の「超能力」の影響を受けるということだ。
そう、このクソゲーにもちゃんと「超能力設定」がある。主人公はこの村で数少ない超能力持ちの子どもの一人で、他にも数人の子どもが超能力を持っていて、能力はそれぞれ違う。たとえば主人公の能力は「感情を操る」、陽鞠というピンク髪の能力は「相手が嘘をついているか見抜く」、主人公が比較的親しい遊び相手の渚沙の能力は「心の電話」(直接脳内に話しかけてくる)だ。
正直に言うと、この超能力設定はかなりクソだ。俺が前に書いたやつよりひどい。
そしてこのゲームにはもう一つ設定があって、「超能力者たちの超能力は超能力者にしか使えない」というものだ。つまり主人公のこの感情操作とかそういうのは、あの数人にしか使えないってこと。ところが主人公は偶然、自分の超能力があの神社で見た踊っている女の子にも使えることに気づく。つまり、彼女も超能力者なのか?
男主は、あの神社で踊っていた神宮りんかという女の子がこの村に何をしに来たのかを尋ねた。
「ああ、観光で来たんだ」
続いて神宮りんかは、自分はこの村の人間ではないと言い、偶然テレビでこの村の紹介を見て、ここに来なければならない気がした、何かがここで自分を待っている、だから来た、観光に来たのだと語った。

男主とその周りの仲間たちは考え始めた。この村には超能力者がいる、しかしそれは男主と身近な数人だけのはず。なのになぜ外村人であるこの男にも超能力があるのか?しかも偶然「観光」でここへ来たという。まさか運命の采配なのか?
すぐに気づいてマジでバカみたいだわ、この神宮りんか、子供の頃からこの村にいたんだな。
仲間たちが山の中で何かの「秘密基地」を見つけ、その中で自分たちが子どもの頃に埋めたタイムカプセルを発見する。中には主人公が書いたラブレター(神宮りんか宛て)まで入っていたのに、一同はなぜかそのことを全く覚えていない。
そのとき神宮りんかは自分の能力を思い出す。それは「他人に忘れさせる」というもので、仲間たちが子どもの頃のことを忘れてしまったのは、ひとえに神宮りんかの能力のせいだったのだ。
そして神宮りんかは皆に自分の誕生日を確認するよう促し、能力者全員の誕生日が同じ日だと判明する(今さら気づくのもなかなか大変だ)。だからおそらく何かの偶然で、この数人の人間がこの村で唯一の能力者となり、それぞれ異なる能力を持つことになったのだろう。
最後に神宮りんかの観光行動が終わろうとしていた。仲間たちに説得され、彼女はここに残ることを決め、この地で学ぶことになる……
だからここまでゲームが教えてくれたのはこういうことだ:この村には同じ年月日に生まれた子どもが何人かいて、そいつらはみんな超能力を持っている。しかも能力はこの子どもたち同士でしか使えず、他人には効かない。そのうちの一人(ヒロイン)は子どもの頃ここで育ったが、後に引っ越していった。何年もの時を経て再び戻ってきて再会し、故郷に残ることを決めた……
ただ、それだけだ……
しかしゲームは終わったのか?当然ないですよ~

そしてゲームは長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い……日常パートが始まる。
いや、実はゲームの日常パートはそれほど長くない。ただ、日常パートが退屈すぎて長く感じただけだ……選択肢はひとつだけで、序盤に誰を気にかけるかを選ぶと、その子のルートに進む。もちろん公式が推すヒロインはいて、それが神宮りんかだ。仲間たちが掘り出したタイムカプセルの中には、主人公が神宮りんかに宛てたラブレターが入っていて、何年後かに彼女と結婚するとまで書いてある……

もちろん恋愛ルートもこのラブレターをきっかけに始まるわけで、『約束の夏、まほろばの夢』のルートもお約束の告白→パコパコ→パコパコ→パコパコ→パコパコ……語ることもない。
だが待ってほしい……どうやらこのゲームはまだこの結末では終われないらしい。というのも、本編にはまだ説明されていないことが残っているようだ。
なぜ山奥の村で、同じ年月日に生まれたこの数人の子どもに超能力があるのか?
なぜ超能力はこの数人の子供たちの間でしか使えないのか?
なぜ人は子どもの頃の出来事を忘れてしまうのか?
なぜ神宮りんかはあの神社に来るたびに踊りたくなるのか?
実はいくつかの疑問はもう説明がつく。神宮りんかの能力は他人の記憶を失わせることで、彼女が子供の頃にこの村を離れた時にその能力を使い、みんなから過去のことを忘れさせたのだ。しかも村でも、神社には神力があると言われている。これについてはもう一つ小さな伏線がある。主人公が初めて神宮りんかが神社で舞うのを見た時、神社の隅に神宮りんかによく似た巫女の幻影を見た。その幻影はすぐに消えてしまった。

つまり問題の根本は、あの「幻の巫女」を見つけさえすればいいってことだ。
すぐに、ゲームのシナリオが進まなくなったところで、あのクソ巫女が自分からひょっこり出てきた。
巫女は自分はこの村の土地神で、ここで何年も転生を繰り返してきたと語る。この神社は自分のために建てられたものだ。長年、供物を受け取りながらずっと神社に籠もっていて、とても寂しかったらしい。そこでとある転生のとき、気まぐれに自分の魂をいくつかに分けてそれぞれ転生させ、少しでも面白くなればいいなと思ったのだという。
というわけで察しがつくだろう、同じ年に同じ日に生まれたあの子どもたちこそ、あの巫女の魂の破片の生まれ変わりだ。一人ひとりが一つの能力を持っていて、元々の巫女はそのすべての能力を備えていた。という話だ。

その中で神宮りんかは巫女本体の転生なので、巫女とよく似ている。
最後に巫女は自分はもう遊び飽きたと言い、自分の魂の欠片を回収しようとする。その代償として仲間たちは能力を失い、巫女が神宮りんかに乗り移って能力を回収すると同時に、全員が互いに出会った記憶を失ってしまう。
また記憶喪失かよ、さすがに男主も不機嫌だわ。で、口撃開始。自分はどれだけ凄くてどれだけ重要な能力なのかを語り出す(嘘つけ、数人にしか使えないくせに)。その上、一番大事なのは仲間たちとの絆を忘れたくないってこと(ああもう、感動しちゃうじゃん)。最後に巫女が「わかった、嫌なら来世でまた話そう」と。

そして巫女は消え、主人公は自分の神宮りんかと結ばれた。
なくなった……
大々的に宣伝されたゲームである『約束の夏、まほろばの夢』は、その位置にまったく見合っていない。全体的なゲーム体験は『初恋サンカイメ』より二つ分『金色ラブリッチェ』に劣ると言っていい。とはいえ正直に言えば、音楽、画風、操作インターフェース、そしてOPの出来はどれも「良好」の水準にある。唯一の弱点は何か? 察しはつくだろう、シナリオだ。しかも全体のレベルを引き下げるタイプの弱点である。
別にシナリオが地雷ってわけじゃないんだが、ただこのシナリオの立意レベルがな、あまりにもアホすぎる。どれくらいアホかっていうと、もうこれマジで竹兄貴が書いたんじゃねえかって思うレベルだわ。

ゲーム全体の物語に大して見どころがあるわけじゃない。巫女神明が、何度も輪廻転生を繰り返すうちに退屈しすぎて、いっそ分裂して転生してみたら面白いんじゃないかと思い立ち、主人公とその仲間たちが生まれた——ただそれだけの話だ。
要するに、巫女が暇つぶしにやってるゲームってだけの話だ。このゲームはむしろ『愚かな能力者、暇を持て余した巫女』に改名したほうがいいんじゃないか。

で、その超能力の設定もゲームのシナリオには何の意味もなくて、仲間内で使うだけだし、使い方もバカみたいだし、主人公たちが自分の超能力で何かを解決したこともないし、全然活かされてない。これっぽっちも COOOL じゃない。中学生くらいの年齢ならこんなバカな設定も受け入れるのかもしれないけど、これは 18X ゲームだぞ。18 歳っていったら日本じゃ少なくとも高校生だろ。そんなんでこんなアホみたいな話を書いてるのは、完全に反知性主義ってもんだ。
なぜ俺がこのゲームのシナリオにここまで文句があるのか、理解できないかもしれない。ただ言えるのは、このゲームのシナリオ最大の問題は日常パート、つまり俺がさっき言ったあの長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い長い……その日常パートだ。

ゲームの脚本は日常パートで主人公たちの言い合いを好んで描くが、その言い合いを読んでいても全然楽しくない。大半はこいつらバカなんじゃないかという感想しか出てこない。ちょうど春晩(中国の年末特番)の気まずい漫才を見せられている感じで、面白みが一切なく、無理やりくすぐられて笑わされているようなものだ。
しかも脚本が妙に自己陶酔した独りよがりに陥ってて、こっちは全く面白くないのに向こうは面白いと思わせられると信じて独り言を続けてる感じ。もうただのバカだとしか思えない。
この「アホっぽい」感じ、すごく見覚えがある……ずっと昔、どこかのゲームで見た気がする。このノリ、まるっきり同じだ……

なんだろう…………
あ!そうだ、巫女が出てくるゲームだ。蝿の群れみたいに頭ん中でブツブツずっと言い続けるヒロインが出てくるゲームだ。尻切れトンボのゲームだ。クソ長い上に臭くて、しかも日常パートは脚本家が一人で自己陶酔してるだけのクソゲーだ!
このゲームの正式名称は忘れたけど、英語の略称は覚えてる。SPPL だ。
しかもこのクソゲーをSteamで復活させようって連中がいるらしくて、2作目まで出そうとしてるんだとよ。マジかよ。
うわ、マジかよ。正直に言うと、このゲームは SPPL よりほんのちょっとだけマシだと思う。なにせエンジンがいいから、CPU が爆発したりしない。それに SPPL の設定はこれよりさらに退屈で、なんせ未完のまま終わってるから、この先どんな内容が待ってるのかすら分からず、ただアホみたいな日常シナリオと、あのくどくど喋るヒロインを受け入れるしかないんだよな。

それに正直なところ、俺が minori のゲームをやらないのはあの SPPL のせいでもある。ダメージがデカすぎた。今後は minori のシナリオが関わってるゲームは全部避ける:
「中二社の連中が作ったゲームをまたやるようなことがあったら、俺はクソを食ってやる!」
それでこの『約束の夏、まほろばの夢』のシナリオを見てみたんだけど……見覚えのある名前が……

Oh!

Oh No!

Oh!

クソゲーを食らったことある人いる? どのクソゲーがまだマシに食える?
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