『お兄ちゃん、朝までずっとギュッてして!』レビュー
鉄壁の妹、流れゆくオニイチャン
ずいぶん前になるが、タイトルがツッコミどころ満載で話題になったゲームがある。
純粋な妹萌えゲーで、主人公には名前があるのに存在感が異常に薄い。妹たちが何人も主人公の周りを囲んで回る、OPがやたらと耳に残る作品だ。
要はキャッチーなネタがあったから成功したわけだ。
その後、また別のゲームが出た。名前は違うが、どう見ても同じ手口である。
これまた純粋な妹萌えゲーで、主人公は教師になり、相変わらず存在感は薄く、やはり妹たちが何人も囲んで回る。OPは相変わらず電波だが、あの洗脳力はもうない。
正直いまいちだ。制作チームがもう次の策を考え始めていたからな。
そうして新ブランド・Tinkle Positionが現れて、新作を発表した。
これも純粋な妹萌えゲー。今度は主人公に名前すらない。妹たちが囲んで回るのは同じだが、主人公がキス狂魔と化し、OPはやっぱり電波で洗脳系……
このゲームはまあ……とにかく見覚えがありすぎる。よく見れば、スタッフは前の2作品と同じ面々で、転職してこれを専業にしたらしい。
さらにこのゲームにはFDまで出た。
『お兄ちゃん、キッスの準備はまだですか? エッチの準備もまだですか?』
ここまで来るともう何を言っていいか分からない。ご存じの通り、名前のない主人公、妹たちが囲んで回る構図、あのノリ、あのスタイル……
そして今年、このブランドがまた新作を出した。
『お兄ちゃん、朝までずっとギュッてして! 』
分からない人のために訳しておくと……オニイチャン! 朝までずっとギュッてしてね。

正直、タイトルだけで中身は想像つく。前のテーマはキスだったが、今回は「ギュッ」だ。
しかもキスのゲームではお前も参加できた。キスしたところで誰にも愛されないけどな。

今回のギュッも参加できる。参加方法はマウス左ボタンを押しっぱなしにするだけ。押せば押すほど妹をぎゅっと抱きしめる表現になる……

ゲームのストーリーはケツの穴で考えても分かる。また名前のない主人公が妹たちと同居して、毎日ギュッして、ギュッしてるうちにベッドまで……という話だ。
もちろん前作より退屈に感じる。前作の日常パートにはまだ「ネタ」があった。現実のアニメの話をしたり、面白い小噺があったりで、まあ漫才だと思って見られた。

だが新作にはネタもあまりないし、見どころもない。画面の向こうの妹がニヤニヤしてるのを眺めてればいい。しかも妹は全員同じ絵師なので顔が同じ。性格は違うが、CVもそこまで有名じゃない。見てるうちにだんだん退屈になってくる。
退屈すぎて、妹を抱くたびに悪趣味に最大出力を選び、妹の喘ぎ声を聞き、慌てる表情を見ながらマウスを震わせて、口元にニヤつきが浮かぶ。

Wow! 自分が変態になった気がする。
もちろん、このゲームにも見どころがないわけじゃない。設定上「兄が抱擁する」ことの合理的な理由が与えられている。

最初、主人公は兄として体が弱く、しょっちゅう風邪を引いて熱を出す。すると母が言う。自分は実験をしていて、最近論文を発表したと。
「抱擁は人体の免疫力を高める。」
だからこの論文が正しいことを証明するため、主人公は妹たちと毎日たくさん抱き合うのだ……
お墨付きの抱妹、生き残るための抱擁。俺が「この設定マジでバカじゃねえの」と思った矢先、カナダの兄貴・張ちゃんがこう教えてくれた。
「抱擁が免疫力を高めるのは本当だぞ。」
Googleで調べてみて驚いた。

おい! マジで本当じゃねえか!
しかし抱擁の理由が本当でも、このゲームはやっぱり退屈だ。退屈すぎて、毎回期待するのは抱擁で妹を絞め殺せないかということばかり……
もちろん絞め殺せるわけがない。ホラーゲームじゃないんだから。妹をぐしょぐしょにするのが関の山だ。
鉄壁の妹、流れゆくオニイチャン
ゲームのストーリーについて語ることは実は本当にない。妹を一人選んで、毎日ギュッして、ギュッしすぎたら今度はヤッて、最後には妹と付き合うとも何とも言わない。とにかく家の中の妹は全部主人公のもの。このゲームに恋愛もなければ、近親相姦の禁忌もない。あるのはハーレムから妃を選ぶように抱擁で牌をめくる方式だけで、楽しさは感じられない。設定ひとつとっても、最初の「右手禁止」の方が面白かった。

もちろん、このゲームにもネタが全くないわけじゃない。ただ少なすぎるし、水増しが多すぎる。それとも俺が妹萌えじゃないから楽しさが分からないのか?
正直、このゲームの終わりのないワンパターンにはもう飽きた。
- 名前のない主人公
- 全員同じ顔の妹
- 毎回何かしらの口実でインタラクション。キスか、頭なでか、頭なでか、抱擁。次は何だ、飯の食わせか?
- 起伏のないストーリー、特徴のない声優
それでもこのゲームはそこそこ売れているらしい。どんだけ暇なやつが買うんだよ?
中国にこういうゲームのシナリオを書く制作チームはないのか? こんなシナリオ、いくらでも量産できるぞ。

このゲームをやって最後に印象に残ったのは、声優・御子柴こよりが演じた妹……もちろん名前は知らなくても、声を聞けば分かる。
藤咲ウサの新しい馬甲だ。
藤咲ウサは声優をやめたくなったのか、最近よく台湾でDJをやっている。
「もし私がDJだったら、私を愛してくれる?」

悪いが愛さない。ただこの退屈な流れ作業ゲームの中で、自分が見つけられる唯一の楽しみを探して、退屈さを少しでも減らそうとしているだけだ。
Tinkle Positionが次にどんなゲームを出すのかは知らないが、何を出してもだいたい想像はつく。

要は鉄壁の妹、流れゆくオニイチャンってわけだ。
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