『シャムロックの花言葉』レビュー
日系作品はよく「四葉のクローバー」をネタにする。たいていは、主人公とヒロインが草むらの中から「幸運」の象徴である四つ葉のクローバーを見つける、という話だ。
この手のクリシェは一度やれば十分なのに、残念ながらどこでも使い倒され、もはや氾濫している。2003年にはすでに Clover Hearts みたいなゲーム があったし、その後も今に至るまで四つ葉のクローバーにまつわる伝説は後を絶たない。思うんだが、日本ってそこら中に四つ葉のクローバーが生えてるんじゃないか? 四つ葉は希少だからこそ幸運の象徴なのに、なんで男女はいつもこんなレア物をサクッと見つけられるんだ?
昔、このネタで記事を書いてツッコんだこともある。四つ葉が幸運なら、平凡な三つ葉は何なんだ? 四つ葉に比べたら三つ葉は不幸ってことか?
もちろん三つ葉が不幸なわけじゃない。ただ、三つ葉と四つ葉で人を例えるなら、四つ葉が手にする幸福は確かに誰もが持てるものじゃない。俺の中では「三つ葉は平凡と凡庸を表す」という理解だ。
昨年 More が子ブランド DOLCE を立ち上げ、第一弾『カサブランカの蕾』を発売した。俺の評価はかなり高かった。欲望と真実の愛について「リアル派」の描写で、ラストは旧曲の新歌と相まってマジで光ってた。
今年も DOLCE が新作を出した。More の気まぐれブランド乱立の傾向からして、このブランドは同じ路線を続けるんだろう。新作のタイトルは『シャムロックの花言葉』。そして予想通り、前作同様にリアルでややダークな路線だ。少なくとも俺が偶然見たおすすめ CG は、でかい 3P 画像だったしな……
このゲームに触れるまで、「Shamrock」が「三つ葉」を指す専門用語だなんて知らなかった。ずっと Clover だけだと思ってた。三つ葉の花言葉も調べた。見て、なんで四つ葉が幸運の象徴なのか納得したよ。
三つ葉の花言葉: 一片は祈り、 一片は希望、 一片は愛、 最後の一片は幸福。 四つ葉のクローバーを見つけられたら、あなたは幸福を見つける。
つまり、四枚目の葉が見つからなければ……すべてを持っていても、幸福だけはない。
そう、このゲームは四人の少女がすべてを持ちながら、幸福だけを持たない物語だ。

序盤の雰囲気は『小時代』にかなり似ている。佐倉恋子、唯空まつり、茅野亜季、雪宮七華の四人が卒業進学を控えて集まり、進学しても友達でいよう、それぞれの幸福を一緒に探そうと誓い合う。
まあ、最初に立てたフラグがろくな結末にならないのはお約束。本編は四人それぞれの視点で語られる。まずはヒロイン一号の佐倉恋子から。
佐倉恋子:精神分裂のトラウマ女
進学後の恋子は普通の生活を送っているが、人と話すのは苦手。親しいのは昔からの友人だけ。そんな中、街で奇妙な噂を耳にする。
1,雨の夜に女の子が不可解に失踪する。 2,学校のキラキラした女子が実は援助交際をしている。
援交の噂の中に、恋子にとって馴染み深い名前があった。雪宮七華。恋子の友人の一人だ。

雪宮七華が援交しているらしいと聞いた恋子。しかし実際に見たわけでもなく、本人の前で聞くのも憚られる。二人きりになった時を見計らってそっと尋ねようとした……
だが口を開く前に、雪宮七華の方が先に切り出した。
「恋子、私たちの値段って、いくらくらいだと思う?」

恋子は答えられなかった。なぜ雪宮七華がそんなことを聞くのかもわからないまま、彼女は夜の闇に消えていった。
それ以来、恋子は雪宮七華を見ていない。失踪したらしく、学校にも来なくなった。
その後、クラスメートにも援交している者がいること、街でも失踪者が続出していること、その多くが援交に関係していることを知る。恋子自身にもおかしな点が現れる。悪夢を見る。レイプされる夢、薬を盛られてレイプされる夢。前の夜の記憶がないこともある。朝、机の上に見覚えのない金が置かれていることも……

恋子には何もわからない。だがゲームの視点はある雨の夜に切り替わる。
雨の日、恋子はココに変身し、繁華街の歓楽街をさまよい、何かを探す。探しているのは雪宮七華だが、見つからない。
このココと恋子は性格が全く違う。つまり恋子とココは二重人格で、同じ体に宿りながら記憶は共有していない。

ココが援交することもあり、稼いだ金が翌日、恋子の机の上に現れるのだ。
なぜ恋子は二重人格なのか。なぜココの人格は雨の夜に現れるのか。なぜ恋子はいつも悪夢を見るのか。
この章の最後、恋子は突然すべてを悟る。だがそこで章は終わり、謎を残して次の章へ。
唯空まつり:清楚から転落へ
唯空まつりは四人の中で一番清楚で、一番楽天家。
進学して間もなく、最初に彼氏ができたのも彼女だった。街で学生が援交していること、雨の夜に人が消えることも聞いていたが、自分には関係ないと思っていた。彼氏が大好きで、自分の小さな暮らしが上手く回ればいいと。

ところがある日、彼氏が「ちょっとトラブルがあって(仕事かローンか忘れたが)、すぐに50万円が必要だ。でないと大変なことになる」と告げる。

まつりは「そんなお金ないよ」と答える。すると彼氏がとんでもないことを言い出す。
「なあ……体、売ってみない? すぐ用意できるって」
まつりは最初拒否した。だが彼氏があまりにみっともなく泣くので、渋々試すことに。
体を売るといっても、要は援交だ。
初めての相手はとてもジェントルな人で、何万円もくれた。終わった後、彼氏から電話が来た。まつりの具合を聞くでもなく、第一声は「いくら? いつ俺にくれるの?」。

まつりはその後もこっそり援交を続け、彼氏の借金を返そうとする。だが彼氏が自分を気にかけておらず、金のことしか考えていないことも薄々感じていた。
まつりの援交はすぐに広まり、学校で噂され、肩身が狭くなる。挙げ句、他の男子に弱みを握られ、関係を続けるよう迫られる。まつりは友人を頼ろうとするが、恋子は見つからず、一番の親友・茅野亜季もいない。

孤立無援のまつりは援交の泥沼でどんどん深みにはまる。援交がバレて評判を落とし、彼氏は金のことしか気にしない。物語の終盤、彼氏は「自分が借金返済のために彼女を売ったんだ。でないと命が危なかった」と白状する。
まつりは彼氏に秘密の風俗店へ売られていく。表向きはバー、実態は風俗。毎日のように客を取らされ、自由を奪われ、学校にも行けなくなる。

学校では「まつりは援交して失踪した」と噂される。
最後、まつりは絶望し、すべてを失い、親友に別れの電話をしようと地下鉄の駅に立つ。電話が終われば飛び降りるつもりだった。

物語はそこで終わる。
茅野亜季:欲望に溺れる百合女
茅野亜季は百合気味の女の子。唯空まつりが好きで、まつりに彼氏ができたと聞いた時は嫉妬すらした。
まつりはもう自分のものではなく、別の男のものになったから。
その後、偶然道端でまつりが別の男と街角で野戦をしているのを目撃する。激しいピストン。なのに亜季はなぜか見ているうちに興奮し、自慰を始めてしまう。

自慰中、野戦していた連中に見つかる。そこへ一人のイケメンが現れて亜季を救う。サクと名乗る彼は中性的な見た目で金髪だが、確かに男だった。
会話の中でサクは、自分も亜季と同じ悩みを抱えていると打ち明ける。男なのに自分の性別がわからない。亜季が女なのに女が好きなのと同じだ、と。
意気投合した二人。最後にサクが提案する。
「まつりがセックスしてるの、羨ましいでしょ? 試してみない? 実は俺もセックスってどんな感じかよくわからないんだ。やってみれば自分の本当の性別がわかるかもよ」
そして二人はセックスする。亜季は激しい快感を得て、自分に潜在的性依存があることに気づく。

それから亜季はセックスにハマる。サクが「同類」をたくさん連れてくる。みんな童貞の中年男だが、サク曰く「彼らは自分の性別を受け入れられないから童貞なんだ。亜季、助けてやってくれ」と。
亜季は断ることもなく、次々と相手をする。親友のまつりのことなどすっかり忘れていた。
そして終盤、亜季はまつりが援交の泥沼に沈んでいることを知る。助けに行こうとするが、その時サクが手のひらを返す。
「お前も援交してるじゃん」
亜季は悟る。サクが連れてきた「性別違和」のデブオタク連中はそんな病気じゃなく、ただの童貞デブオタク。金を取ってセックスしていた、つまり援交だったのだ。

しかも自分も抜け出せない。弱みを握られ、亜季は家に閉じこもり、外のノック音に怯えながら神に祈るしかない。
物語はここで一旦区切られる。
雪宮七華:すべての始まりと終わり
最後の章は雪宮七華。最も長く、前述の三人の物語を繋げる。
七華は幼い頃から両親と折り合いが悪く、親に振り回されるのが嫌で、進学を機に一人暮らしを決める。
しかし学生の一人暮らしは金がかかる。バイトでどうにか足りていたが、次第に苦しくなる。
七華は金のない自分が嫌いだった。もっと稼ぎたい。そんな時、コウキという男が現れて道を示す。

「援交しろよ。援交すれば金が手に入る」
七華は自分が嫌いだった。要するに自己愛がなく、自分に愛が訪れるとも思っていなかった。ええいままよと援交を始める。
初めての相手は大金をくれた(まつりの時と同じだ)。七華は一気に金持ちになり、生活も快適になる。悪くないじゃん、援交くらい。金があれば何でも買える!

しかし街では七華が援交しているという噂が流れ始める。
親友の恋子が状況を聞こうと七華を訪ねる。だが七華はこう返す。
「恋子、私たちの値段って、いくらくらいだと思う?」
その後、七華は援交をやめようとする。だが一方では簡単に手に入る金が離せず、もう一方では援交を仕切る「風俗店」のコウキに幻覚剤「Bluerain」を盛られる。

この薬は一度飲むと依存性があり、麻薬のように切らすと辛い。しかも飲むと発情し、使うほど淫乱になる。
コウキは七華に言う。「この薬、めちゃくちゃ高いんだぜ。毎月やるからには、しっかり援交して稼がないと払えないぞ」
結局七華は薬への依存から、風俗店のコウキの奴隷になり、金のために毎日援交する身になる。
そんな中、コウキが新たな要求を出す。
「お前、唯空まつりって親友がいるだろ? あいつを援交に引っ張ってこい」 「無理! 彼氏だっているし!」 「彼氏? あいつは愛してるのか?」 「当然でしょ!」 「どうだかな……」
その日、まつりの彼氏が七華の援交客となる。しかもまつりの親友だと聞いて、さらに激しくやる。
行為中に七華は薬を飲み、二人は一日中やりまくる。
最後にコウキが現れ、まつりの彼氏に凄む。
「おいおい、援交させてやったのにこんな長時間? しかも俺らの薬まで使って? うちの嬢を壊したら弁償だぞ。薬も高いんだ。合計75万円、さっさと払え!」

まつりの彼氏はここでようやく嵌められたと気づく。七華も同情しない。彼女は自分の彼女を裏切った、ろくでもない男だから。
「でもそんな金ない!」 「じゃあまけてやる。一週間で50万、これ以上は無理だ」 「50万もない!」 「なければ命だ」 「!!!………………」 「道を教えてやろうか?」 「何?」 「お前の可愛い彼女に犠牲になってもらえば、金はできるだろ……」 「…………」
そしてまつりの彼氏はコウキに唆され、まつりを援交に誘い込む。後の話は前述の通り。
その後、七華は新たな任務を与えられる。茅野亜季を監視し、まつりが援交する場面を見せること……
さらに七華は童貞の中年男を探して連れてこさせられ、その男たちは欲求不満の亜季に次々と押し付けられる。
亜季の末路も前述の通り……繰り返さない。
つまりすべては、七華が一時の迷いから援交を始め、脅され、親友たちを一人また一人と引きずり込んだ結果だ。七華は時々、自分は彼女たちを助けているのだと思う。自分がやらなくても、コウキがもっと残酷な方法で彼女たちを陥れるのだから。
この連中は女を援交に引きずり込むプロで、街の失踪伝説もすべて彼らの仕業だった。
七華は風俗店の責任者コウキから、すべては恋子が関係していると聞かされる。風俗店の背後には大物がいて、その大物が恋子を必死に探しているらしい。見つからないから、部下に命じて恋子の親友を全員援交女に堕とし、恋子をおびき出そうとしているのだ。

「恋子はその大物の親戚らしい」と七華は責任者から聞く。
ある日、七華は風俗バーから逃げ出し、街で恋子を見つける……泣いた後、恋子は七華に真実を明かす。
恋子には二重人格があり、雨の時の人格こそが本当の自分。もう一人の清楚な恋子は、心の影から逃れるために作り出した人格だった。
恋子は子供の頃、従兄にレイプされた。従兄はあの Bluerain を飲ませた。その後、恋子は暗黒の時期を過ごす。従兄は権力と財力があり、親戚でもあったため、両親は事を大きくしたくなかった。結局、この件はもみ消された。

恋子は従兄を恨み、両親も恨み、一人で家を出た。そして自力で薬の依存から脱した。
だがその後、恋子の精神は二つに分裂した。本当の恋子は雨の時だけ現れ、偽りの恋子が普段の自分。
恋子はうまく逃げていたが、あの狂った従兄は彼女を追い続けていた。従兄は権力と財力を持ち、裏でバーやキャバクラなどの資産も持っていた。だから部下を使って恋子を探させ、見つからなければ親友から、あの「必ず幸せになろう」と誓った仲間たちから、一人ずつ堕としていったのだ……
七華は真実を知り、自分もまた巨大な罠の駒の一つだったと悟る……

最後の結末は少し無理やりすぎる。恋子が一人で親友たちを次々と救い出す。こっそり連れ去って隠すか、単身ボスに理論するか。さらに地下鉄に飛び込もうとした子を走って引き戻すという、瞬間移動でもしたのかという展開。前に伏線があった。街のボサボサ頭の老人(精神病)が恋子を「聖女」と呼び、「聖女」の命に従うと言っていた。その老人が風俗バーの連中を刺した……大事件になり警察も介入し、すべてが終わる。
最後は当然、少女たちが再び集まる。あれだけのことを経験しても、とりあえず自由は手に入れた。ヒロインの多重人格も自分に別れを告げ、すべてが平穏に戻る。

自由は自由。でもこの結末は、幸福と言えるのか?
三つ葉の花言葉: 一片は祈り、 一片は希望、 一片は愛、 最後の一片は幸福。 四つ葉のクローバーを見つけられたら、あなたは幸福を見つける。
この少女たちは祈り、希望、そして愛さえ手に入れるかもしれない。だがこの経験の後では、もう幸福なんてないだろう。

このゲームのタイトルを見ると、なぜか妙に皮肉に思える。
全体として、『シャムロックの花言葉』は俺の期待より少し低い。主に最後の展開が「ご都合」すぎる。恋子のような弱い女子が単身で黒社会と渡り合うのはさすがに無理がある。だが理解もできる。ここまで徹底して暗く、全員が肉便器に堕ちる展開ではあまりに……だし。
物語は多視点だが、全体としては非常にシンプル。ヒロイン一号に執着する権力と財力を持った変態が、彼女の親友を全員堕とすことで苦しめようとするだけ。ただ多視点の描写には亮点もあり、細部の対応など、通して読むと「ああ、そういうことか」となる。
全体的に声優の演技はまあまあ。CV はあまり知らないが、絵柄はどこかで見たような気がする。MORE の看板絵師ではない。パクリか?
BGM はなぜか悪くない。従来のような安っぽい電子音ではない。ただゲーム全体から「予算不足」の匂いが漂う。

まず OP がない。俺がスキップしたのかもしれないが……ED も簡素で、タイトル画像に字幕だけ。一番の節約は、ゲームの背景がほぼすべて別のゲーム『ゴールデンアワー』の流用だということ。ゲームショップ、交差点、橋のたもと、屋上、すべてあのゲームからそのまま。MME がライブで金を使い果たしたのか、ブランドを増やしすぎて人手が足りないのか。このゲームと比較しても違和感はないが、この節約感はやはり気分が悪い。しかも安くない。唯一のオリジナルは HCG だけだ……
ともあれ、亮点と欠点は同じくらいはっきりしている。
亮点:
- 男主角がいない。純粋に女方視点の叙事
- 多キャラ多視点で語り、最後に繋がる。謎があり新規性がある
- 音楽が雰囲気に合っている
- テンポが良く、無駄な時間が少ない
- 馬鹿げた「愛」「友情」「倒れ込み」要素がなく、内容はリアル。ミニ映画にしてもいい
- HCG はなかなか
欠点:
- 結末が甘すぎる。暗い結末の方がリアル
- 悪役の動機が馬鹿すぎる。従兄が従妹をレイプするためにそこまで執着するか?
- 最後の女主の救出は超人。地下鉄に飛び込むのすら引き戻す
- 節約しすぎ。OP/ED アニメなし、背景は全部過去作の流用
- 『カサブランカの蕾』ほどの衝撃はない。単なる文芸的な抜きゲーという感じ

MME の社長が新しい MAC PRO を手に入れたそうだ。作曲面でせめてボーカルと伴奏をちゃんと統合してほしい。それ以上に、今後はエロゲー制作でもっと頑張って、「リアル系」の社会派ギャルゲーをたくさん作ってほしい。もう退屈で馬鹿げた学園ものには飽きたんだ。
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