『恋はもふもふ!ラブ・ミー・テディ』レビュー
神ゲーとクソゲーは紙一重
変わった設定のゲームを色々遊んできたけど、中でも一番印象に残っているのが主人公がアルパカにされるあのゲームだ。
あれはなかなかエモかった。大好きな萌えキャラがアルパカになっちゃうわけで、真愛が試される瞬間ってやつ。ついでに言うとあのゲームは普通におすすめ。
ヒロインの変身だけじゃなく、主人公が変わるパターンもある。最近有名なのだと、主人公が黒猫になる某ゲーム。あれはアニメ化までしてるから多くは語らない。
こういうゲームはだいたいコメディになる。何しろ設定自体がコメディ級の超展開だし、主人公が突然別の種族になるんだから、笑いが起きないわけがない。
で、このタイプに新たな刺客が加わった。有名音ゲー開発会社 More の子会社の子会社の子会社ブランドが改名した子会社ブランド、KATE が放つ最新作『恋はもふもふ!ラブ・ミー・テディ』だ。直訳すると「恋はもふもふ、love me teddy!」。
なんで Love my teddy じゃないんだというツッコミは置いといて、調べたら love me teddy ってのはどうやらネタらしい。設定は至ってシンプル。主人公がテディベアになって、女の子たちに拾われてこすられる話だ。

展開はシンプル極まりない。最初から主人公はテディベアのぬいぐるみになっている。そしてすぐに女の子に拾われる!
その子は主人公のクラスメイト、天童有鈴。拾ったテディベアを大喜びで抱きしめて寝たり、あれこれ弄んだり……主人公はたまったもんじゃない。

で、翌日主人公はテディベアのまま逃げ出す。すると別の女の子に拾われ、また連れ帰られ……また逃げて、また拾われ……のループ。
もちろん全員が全員テディベアの主人公を気に入るわけじゃない。草津芽衣という子は、見るなり一脚で蹴り飛ばしてくる。
紆余曲折あって、主人公は結局天童有鈴の元へ戻る。最初に拾ったのが彼女だからな。それに天童有鈴はこのクマが大好きで、クマに向かって色々話しかける。主人公のことが好きだってことも含めて。

天童有鈴は子供の頃から主人公と知り合いで、片思いしてるけどどう伝えていいかわからない、と打ち明ける。もちろん目の前のテディベアが主人公だとは知らない。聞いた主人公は顔が赤くなってドキドキ。そして天童有鈴がテディベアにキスをすると、なんと主人公は元に戻る! しかし一瞬だけで、すぐまたテディベアに逆戻り。

テディベアが主人公の変身した姿だと知って、天童有鈴は少し驚くが受け入れる。ここで主人公に選択肢が現れる。
天童有鈴のそばに残るか、外に出て別の相手を探すか。
天童有鈴を選ぶと、二人は相思相愛になる。告白後、なぜか主人公は二度とテディベアに戻らなくなり、そのままハッピーエンドへ。

このエンドはまあ悪くない。ただ短すぎるし、雑すぎるし、ショボすぎる。数枚のCGだけで大量の展開を脳内補完する必要がある。
ここで一つ疑問が残る。そもそも主人公はなぜテディベアになったのか?
それを知るには天童有鈴のもとを離れ、もう一人のルート――あの一脚で蹴り飛ばしてきた草津芽衣を選ぶ必要がある。
草津芽衣の家は銭湯を営んでいる。彼女を選ぶと、彼女に拾われ、しかも彼女はこのテディベアが主人公だと完全に理解している。聞くと、家の銭湯には「湯神」がいて、主人公がこの前ここで風呂に入った時に湯神の怒りを買い、罰としてテディベアにされたのだという。

主人公が思い返すと原因がわかる。
前にここで風呂に入った時、女湯を覗こうとして湯神に見つかり、罰としてテディベアイアになってしまったのだ。
そこで主人公は湯神に許しを乞う。湯神いわく「呪いを解くのは簡単だ。俺に『真愛』を見せれば、呪いは自然に解ける」。
これで別ルートで主人公が彼女を作った途端にクマに戻らなくなった理由も説明がつく。

このルートに来たからには、主人公は草津芽衣と仲を深め、二人は恋人同士になり、最後には呪いも解けて救済される。
要するにこの「主人公がテディベアになる」ゲームは、主人公が女湯を覗いて湯神に罰されテディベアにされ、解除方法はコーラのように相手を見つけること。そして主人公はテディベア冒険記のおかげで偶然にも相手を見つけ、幸福を手にする話だ。
よく考えると、これって罰なのか? ご褒美だろ。本当に好色な主人公を罰したいなら、テディベアじゃなくてラブドールにするとかだろう。テディベアとして女の子に抱き回される方が、ラブドールになって男にやられるよりよっぽどご褒美だ。
結局は「神様のアシスト」というお馴染みのパターン。天神乱漫の頃からあるやつだ!
とはいえ、パターンが古いからといってこのゲームが凡作とは限らない。逆だ。このゲームは基本的なお約束すらろくにこなせていない。
テディベア変身は本来、楽しいネタの宝庫のはず。なのにこのゲームではそれがほとんど活かされておらず、ただ福利サービスを垂れ流しているだけ。
「うわ、クマになって胸が見えた!」 「うわ、クマになってパンツが見えた!」 「うわ、クマになって乳首が見えた!」
バカ言え、こっちは神の視点でプレイしてるんだよ。お前がクマになるよりたくさん見えてるわ。胸もパンツも乳首も見えるし、ついでにお前のチンコだって見えてんだよ!
つまりこのゲームは「変身」要素をまったく活かせておらず、福利を無駄遣いしているだけ。
しかも設定上は純愛路線も可能だったはずだ。例のアルパカになるゲームみたいに、幸せがどれだけありがたいか主人公に噛みしめさせることもできた。なのにこのゲームはやらない。真愛を見つけてテディベアに戻らなくなったら、あとは普通のエロゲーのパコパコと変わらない……
しかもこのゲーム、相変わらず超省コスト!(なんで『相変わらず』なんだ)。
BGMは数えたら5曲くらいしかないし、OPは曲はいいけど演出が某倒産した会社のゲームのパクリっぽい。EDにアニメはなく字幕だけ。CGも独立したものが少なく、各種HCGの寄せ集め。一番許せないのは、せっかくのCVを無駄遣いしていることだ。
このゲームで一番いいCVは伊ヶ崎綾香のはずなのに、どもりキャラをやらせている……

一番クソなCVは唯香なのに、セリフが一番多い!

一番ポテンシャルのあるCVは蓬かすみなのに、男の子みたいな声をやらせている!

色々考えて、このゲームで唯一戦えるのは画風くらいか。前作『カサブランカの花蕊』と同じ絵師で、しかも前作よりかなり進歩している。ただ惜しい! せっかくの画風が台無しだ!

それに最初の幼馴染ルートは悪くなかった。ただ完全に予算不足な感じで、話の途中で慌てて終わる。正統派ルートっぽい銭湯の娘のルートでさえ、二人で銭湯を掃除して終わりという、異常に気まずい幕切れだ。
とはいえ、もはや童貞の冠ではないコーラを一口飲んで考えた。このゲームは設定を一つ変えるだけで神作にできる!
主人公を「テディベア」から「クマのプーさん」にすればいいんだよ。
神ゲーとクソゲーは時として紙一重なのだ。
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