『Deep One』レビュー
Fate/Deep One
Type Moon 傘下の作品群に興味がない俺のような人間でも、これだけは認めざるを得ない。
Type Moon の Fate シリーズは、史上最も成功したギャルゲーだ。
成功とは何か? 一つの製品が生み出すファン効果で、彼らはただ焼き増しを繰り返すだけで金を稼ぎ続けられる。適当にでっち上げた外伝ですら金を吸い上げる機械だ。これが成功でなくて何が成功なのか。
2004年から今の2018年まで、Fate シリーズは二度のアニメ化、一度の前日譚小説のアニメ化、数え切れない劇場版、そして様々な派生ゲーム、派生漫画、派生アニメなどを経て、今ではスマホゲーの Fate/Grand Order まで大量のオタクが大金を突っ込んでいる。Fate の看板はあらゆる領域に広がっているが、多くの人は覚えているだろうか、Fate シリーズの起源は一つのゲーム、ギャルゲー、しかも18禁のギャルゲーだということを。このゲームは元々シナリオライターの奈須きのこが書いた小説で、市場に出すためにギャルゲーにしたという話も知っている。だが初登場がギャルゲーの形だったのは確かだ。
一つのギャルゲーから広がった世界がここまでの規模になった。これが巨大な成功でなくて何なのか。
だが前言った通り、俺は Fate シリーズにはあまり興味がない。
Fate シリーズが悪いと言っているわけではない。2004年当時、この世界観とシナリオ展開、燃えるバトル、闇の中の絶望的な展開を備えた作品は、ギャルゲーとして既に上質だった。当時 Type Moon は条件が限られていて声優を用意できず、最初の Fate/Stay Night は見た目もやや粗末で、制作レベルは一年早い Alcot の Clover Hearts にも劣っていた。だが売りはシナリオだ。Fate/Stay Night はその時代、確かに王者の地位にふさわしかった。
だが少年よ、今はもう2018年だ。Fate/Stay Night のアニメ化以降のブーム、ネット上のファン増加、そして Fate/Zero のアニメ放送を経て、ネット上の Fate への賛辞はどんどん高まり、俺には理解できないレベルにまで達している。
Fate/Stay Night はクリアしていないが、アニメと Fate/Zero は見た。はっきり感じるのは、Fate シリーズは時間の経過と業界の進歩とともに、もはや大した優位性を失っているということだ。残っているのは言葉だけの「思い入れ」の販売だ。
そう、思い入れ。2004年のゲームを新旧様々なプラットフォームに移植し、焼き直して売り続け、まともな新作を出していない。これが思い入れでなくて何なのか。(『魔法使いの夜』は知っているが、Fate の看板は掲げていないし、「新作」でもない。)
振り返れば、Fate シリーズが語ってきた「正義とは何か」「歴史人物の使命感」「魔法回路の戦い」「家族の魔法戦争」は、後の優れた作品にほとんど吸収された。今日、Type Moon が Fate/Grand Order という課金スマホゲー一つで大金を稼いでいる状況で、「Type Moon 制作なら間違いなし」と言われても、苦笑いするしかない。Blizzard だってスマホゲーを作ったんだ。Type Moon なんてそんなものだ。
今の「月の住民」がどれだけ最初のギャルゲー版 Fate/Stay Night を遊んだのか、それとも退屈や社交や「すごい人たちがやってるから」という理由で流行に乗っただけなのか、俺には分からない。彼らがシナリオや設定で Fate/Stay Night を超えるゲームが既にたくさんあることを本当に知っているのかも分からない。Type Moon の Fate スマホゲーや派生アニメの新作が優れているかどうかも、結局は「月の住民」たちの一方的な過剰解釈に過ぎない。ファン層が大きければ、エサを少し与えるだけで喜んで飛びつく。好き嫌いなんて存在しない。
ともあれ、Type Moon の Fate シリーズは多くの人に影響を与えた。最初のギャルゲー版のことだ。その中には多くのギャルゲーシナリオライターも含まれる。
多くのライターが「魔法家族の闘争と召喚バトル」的な設定の作品を書き始めた。成功したものも失敗したものもあり、どれも時間の流れとともに歴史の長河に消えていった。
今は2018年、ギャルゲー市場は廃萌が主流だ。ギャルゲーを続ける古参はキャラが可愛くてエロ要素があれば十分で、シナリオなんて気にしない。それでも「シナリオ重視」のギャルゲーを作って自分を証明しようとする会社はまだある……

10月に Nameless という会社が Deep One というシナリオ重視のゲームを発表した。宣伝当初から「新本格バトル系ビジュアルノベル」だと謳い、Type Moon の会長である武内崇から絶賛された。

「新本格バトル系ビジュアルノベル」とは、新方式でパッケージされた「伝統的なバトル系 AVG」のことで、シナリオ重視という意味だ。もちろん18禁で HCG もある。
発売前の盛り上がりは凄まじく、演出が炸裂する体験版、ヤバいオープニングアニメ、誇張された2枚組 DVD の容量など、大作への期待は高まるばかりだった。発売後、俺はようやく13G のギャルゲーを手に入れてプレイを始めた……
プレイした感想は……ネット上の評価も踏まえると、何とも微妙な気持ちだ。シナリオから順に話していこう。
(ゲーム中盤以降頻繁にクラッシュしたので、シナリオはうろ覚え。全体の印象で語る)
ゲームは最初から多視点で各キャラの登場を導入する。魔女の佑姫カスミがロンドンの魔法学院を卒業して日本に帰国するシーン、主人公の斎野尚哉と双子の妹・斎野九花が日本の田舎で普通の学生生活を送るシーンなど。

だが第三章から矛盾が描かれる。
主人公と妹は双子だが、主人公には両親の記憶がほとんどない。妹の九花もあまり覚えていない。
主人公が覚えているのは、幼い頃自分と妹が V1 変異体の犠牲者だったこと。どうやら二人は V1 変異体(ゾンビみたいなものだと思ってくれ)に襲われ、妹は重傷を負った。主人公もよく夢を見る。妹が血まみれで、自分は手を伸ばすが守れない夢だ。両親の死もこの襲撃と関係があるかもしれない。

唯一の妹を守るため、主人公は毎日勉強し、体を鍛え、妹がいじめられないようにしていた。
学校では謎の同級生・柚原亜希や、もう一人の生徒会代表・文示宮篤とも顔を合わせ、それなりの交流があった。特に柚原亜希は主人公に特別な感情を抱いているようで、主人公は恋かと思ったが、亜希はそれとなく告白めいたことを聞いてきた。
「あなたは自分の妹がそんなに好きなら、私と妹のどちらか一人しか選べないとしたら、どっちを選ぶ?」

主人公は少し考えて妹を選んだ。守りたいのは妹だけだ。

だが平穏な日々は長く続かない。ある夜、銀髪の魔女が空から飛んできて主人公と戦う。主人公は敵わず、魔女は「魔導書」を差し出せと言う。主人公は何のことか分からない。
魔女は最初の佑姫カスミだった。彼女は驚く。「もう始まるのに、『魔導書』のことを知らないの?」

主人公は知らないと答える……
魔女は首を振って去った。数日後、主人公たちが街を歩いているとチンピラに絡まれる。追い払った直後、巨大な怪物が現れ、チンピラを粉砕した。主人公はその怪物を見て……頭が混乱する。
主人公はその姿を知っていた。夢で見た V1 変異体(カタカナが長くて覚える気にならない。とにかくゲーム内では V1 と呼ぶ)。かつて自分と妹を襲い、傷つけた怪物だ……

主人公は怪物と戦おうとするが、格闘技しか使えず全く敵わない。土壇場で長刀を持った巫女が現れ、V1 変異体を斬り退け、主人公を撤退させる。
長刀の巫女は戦闘の末に怪物を倒した。その怪物の背後、高層ビルの上には学校の学生代表・文示宮篤と生徒会長が立っていた。文示宮篤は奸笑を浮かべる。怪物は彼が作り出したもので、あの巫女をおびき出すためだったらしい。

主人公が家に逃げ帰ると、長刀の巫女が訪ねてくる。礼を言う前に、巫女が先に跪いた。巫女は比奈森沙耶と名乗り、主人公を守るために来たと言い、主人公の家系の由来を話す。

主人公・斎野尚哉は斎野家の者で、「魔導書」を司る権利を持ち、さらに「魔導書」の「元典」もあるという。歴史ある家系だが、今は主人公と妹しか残っていない。
長刀の巫女・比奈森沙耶は「比奈森」家の出身。「比奈森」家は「斎野」家から分離した一族で、刀術を鍛え、代々「斎野」家を守るのが使命だ。『千恋万花』の忍者みたいなものだ。だからこそ、巫女の沙耶が肝心な時に現れ、主人公を守ったのだ。
主人公の家系から分離した一族は比奈森だけではない。魔法修練に特化した「佑姫」家、あの銀髪の魔女もそうだ。文示宮家、つまり学校の文示宮篤の家系もあり、他にもいくつかの一族がいる。その子供たちは主人公と従兄弟の関係になる。

そこへ銀髪の魔女・佑姫カスミもやってくる。主人公と再び戦い、護衛が増えたのを見てカスミは戦うのをやめ、主人公の家系構成を説明し始める。
主人公の斎野家は魔導書の元典を司る。魔導書には多くの種類がある。「従者型」は召喚ペットのようなもの。カスミの黒猫がそうだ。「孕育型」は魔導書が人間の体内にあるもの。「寄生型」「休眠型」「傀儡型」「静止型」など色々あるが、字面から推測すれば当たる。

カスミは今回、魔導書を集めて「元典」を探すために戻ってきた。主人公と協力したいらしいが、魔導書の力を持ちながらそのことを知らない主人公を不思議に思う。
主人公は過去に怪物に襲われたと言うが、他の二人もその詳細は知らない。ただ、V1 怪物は魔導書から生み出されるもので、特別なことではないらしい。カスミは数日前の夜、別の女に魔導書で攻撃されたと言う。

「あの人は狡猾で、遠くから攻撃してきた。方向を探って見つけたけど、逃げられた。」
カスミは主人公に警告する。魔導書で悪事を働く者がいて、命を狙われるかもしれないと。隣の沙耶は護衛として自分が守ると言う。
そして間もなく戦いが始まる。
ある日、学校でカスミが「魔導書」の力を感知したと言う。主人公が追いかけると、カスミと文示宮篤が対峙していた。
文示宮篤が魔法を放つと、学校全体が赤い結界に包まれ、その中で戦いが始まる。

文示宮篤が自分の魔導書を取り出す。確かに本で、無限に魔物、つまり V1 変異体を生み出せる。文示宮篤は巨大な怪物を創造し、主人公とカスミと戦わせる。二人は苦戦する。そこへ沙耶が護衛に駆けつけるが、一人の男に阻まれる。学校の生徒会長・朱鷺谷衆逸だ。生徒会長と沙耶は知り合いで、剣術は沙耶に教わった。幼い頃は主人公とも剣を交えていた。

沙耶はなぜ彼が立ちはだかるのか分からない。生徒会長は、自分は文示宮家側で働いていると説明する。沙耶も理解し、二人は戦い始める。
激闘の末、カスミは召喚された魔物に敗れ、沙耶も生徒会長を退けただけに終わり、逆に殺されかける。
主人公は実力不足で逃走。学校の廊下で、妹の九花に似た少女に出会う。だがその少女は全身黒い服をまとい、どこか精神異常めいていて、主人公を見て笑う。
「お兄ちゃん……私……やっと会えた!」
誰かと聞くと、妹の九花かと言うと、少女は妙なことだけ言って去った。

赤い結界が消え、双方が疲弊したところで、文示宮篤が主人公に宣戦布告する。「屋形倒し」、つまり家の地位を覆すという意味だ……造反だな。
文示宮篤は、主人公の家が「魔導書元典」を持つ本家として現在の地位にふさわしくない、文示宮家が取って代わると宣言する。
主人公は当然不快で、勝負を受けて立つ。日時を決め、次の対面で決戦だ。
決戦と言っても、主人公の実力では全く戦えない。喧嘩はできるが、沙耶に剣術を少し教わった程度で、怪物と戦えるレベルではない。
帰宅して休む間、カスミが主人公に告げる。主人公は魔導書の本家として体内に強大な力を持ち、沙耶の魔導書も主人公の家系を補助するもので、主人公が支配できる。沙耶の魔導書は本来剣の形で、主人公が沙耶の魔導書を支配すれば、沙耶を強力な武器として使えるかもしれない。それなら怪物と戦えるかもしれない。

使用方法は、沙耶の目を見て、胸に手を伸ばし、中の剣を掴み出す。(ここで『ギルティクラウン』の抜剣神曲を流そう)
案の定、休養も二日と経たないうちに、文示宮篤の家から女魔法使いが派遣された。以前カスミを襲った女だ。偵察に来たようだが、主人公は迷わずチートを発動。沙耶を抱き、体内から大剣を抜く。剣の沙耶は魔剣に変わり、主人公はその魔剣で女魔法使いを半死半生に切り伏せた……
これで主人公はほぼチートを手に入れた。あとは修練すればボスに挑める。

その後のシナリオは大戦前の描写だ。主人公は力の覚醒とともに様々な夢を見る。赤い結界で見た、自分を兄と呼んだ少女の夢……その姿が幼い頃の記憶の「妹」と重なっていく。同時に、記憶の中の妹と今隣にいる妹「九花」は別人ではないかと感じ始める……
一方、文示宮家の物語も描かれる。文示宮篤は当主として、なぜ一族内で造反を企むのか。

彼は元々斎野家の魔導書継承者として育てられたが、様々な理由で失敗。虐げられ、本家から追い出され、文示宮家に来た。耐え忍んで再起し、文示宮家の当主となった。さらに、現在の斎野家当主(主人公)には実力がなく現在の地位にふさわしくないこと、そして主人公が過去に罪を犯したことを知り、復讐の信念を固めた。主人公の家系を倒し、失ったものを取り戻そうとする。

最終決戦は早めに訪れる。主人公たちは文示宮篤の前に現れ、口論の末に戦闘开始。主人公の口論能力と沙耶のチートで、魔剣を抜いて文示宮の召喚した怪物を斬り伏せる。文示宮篤は怒り、切り札があると叫んで手持ちの魔導書と合体し、巨大な怪物となる。もちろん主人公は無敵だ……怪物を斬り倒す。主人公が文示宮篤を説得しようとした瞬間、空から黒い魔女が現れ、文示宮篤を握り潰す。

主人公が見ると、それはあの赤い結界で兄と呼んだ少女だった。
少女はまた言う。「また会えたね、お兄ちゃん。」
主人公は彼女を認識する。学校の柚原亜希だ。亜希は笑う。
「柚原亜希……うん、そう呼ばれたこともあったわね。でも私は本名が好き。斎野十花。」
主人公は驚く。九花という妹がいながら、十花という妹もいたのか? 夢で見たことは本当だったのか?
直後、十花が九花を連れ去る。主人公は守ろうとするが全く敵わない。十花が強すぎる。撤退するしかない。
撤退後、主人公は昏睡の中で回想シーンに入る。
回想とともに、この物語が明らかになる。
主人公が夢で見た自分と九花が怪物に襲われる記憶は偽りだった。主人公には妹が二人いた。九花と十花。真実は、幼い頃に主人公の体内の魔導書が暴走し、主人公自身が V1 変異体となって十花を傷つけた(性暴力や撕裂など)。十花は精神を病み、幼馴染の文示宮篤は密かに十花を想い、ぼろぼろの十花を連れ去って「もう傷つけない」と誓った。十花を匿ったことで家系の反発を買い、自分も後継者の座を失った。だが文示宮篤は気にしない。十花が主人公の変身に傷つけられたことを知っているのは彼だけであり、だからこそ最初から主人公の家系を倒そうとした。主人公の家系の力は獣のようなものだと考えている。

主人公は自分の罪を悟る。十花があの柚原亜希だったことにも驚く。亜希はこう聞いていた。
「私と九花、どちらか一人しか選べないなら、どっちを選ぶ?」
主人公は九花を選んだ。つまり九花と十花の間で、十花を捨てたのだ。
最後に主人公は十花と向き合うことを選ぶ。だが十花はもう狂っている。闇の魔導書の力「パンドラの箱」を手に入れ、誰でも KO できる。今は九花を死ぬまで苦しめたいだけだ。同じ兄の妹なのに、なぜ九花は幸せで自分はこんなに惨めなのか。しかも兄は九花を選んで自分を捨てた。

主人公は沙耶とカスミを連れて十花と対峙する(決戦?)。そこへもう一人が立ちはだかる。生徒会長の朱鷺谷衆逸だ。朱鷺谷は文示宮家の者で、文示宮家と現在の十花に忠誠を誓っている。忠誠を示すため、主人公を阻むのが自分の義務だと言う。
主人公もこの男を知っている。幼い頃、何度もこの神社に来て剣を交えた。師のような存在だった。まさか師と戦うことになるとは。

激闘の末、この男は十花から与えられた力を吸収し、人間の体を捨てて悪魔のような体を得る。主人公も土壇場で覚醒し、V1 変異体に変身。怪物同士の PK の末、主人公が勝つ。

同時に別の場所で、十花が九花を苦しめていると、九花が口論の力で覚醒し、聖光のようなエネルギーを獲得。十花の闇の力を吸収し、十花を浄化する。同時に遠くで戦う主人公にも力を与え、二人とも勝利する。

ゲームの最後、主人公と九花、十花は再会を果たす。長く離れ離れだった兄妹がようやく再び会える。だが同時に、街の別の場所の黒い夜、別の者たちが蠢き、主人公の決闘を見て「すべては始まったばかりだ」と呟く。

全体として、Deep One の物語はまあまあだ。最初から最後まで明確に語られ、サブシナリオもなく一本道。本質は家族内の闘争の物語で、主人公が体内の力の暴走で幼い頃に妹を虐待し、その妹が親戚に引き取られ、親戚の子がその妹を好きになり、主人公に反感を抱いて成長後に復讐を決意する話だ。
演出:
このゲームの最大の見どころは物語ではなく演出効果だ。最初の魔法使いの対決、二番目の長刀の巫女・沙耶と生徒会長の戦いを見て、初めて感じた。
「うわ、エロゲーのバトルにも打撃感があるのか!?」

特に剣戟の応酬にリズミカルなBGMが合わさって、雰囲気の盛り上げ方は本当に上手い。ただ、このゲームの演出の良さには限界もある。
最初の2つの戦闘演出以外は、後の効果が……やや手抜き感がある。Deep Oneは容量が13Gもあって、その大部分は会話でもCGでもなく動画だ。これらの動画が雑に背景として使われているから、動的な背景がたくさん見られる。心臓の鼓動、刀光剣影、火花、魔法使いの大火球なんかもそうだ。ただ、これらの素材は最初の何戦かで使い切ったらしく、後の戦闘は繰り返し繰り返しの連続になる。いくつかのモーションを拡大縮小しているだけって感じで、最初の剣戟にあった「近づいて離れる」ようなカット割りの効果もなく、一気に戦闘の迫力が「普通」レベルまで落ちてしまった。

後半の開発が急ピッチだったのかは知らないが、ラストのボス戦は激しいぶつかり合いがなく、ただ長々とした描写テキストがあって、それに主人公の雄叫びが加わって相手を倒すだけ。これにはとてもクールじゃないと思った。
それに、このゲームのテキストの見せ方がとてもオールドスクールに感じる。すぐに対話を捨てて、画面いっぱいの文字で見せるんだ。予算不足の同人サークルが作った同人ゲームのレベルに似ている。お金がなくて立ち絵やCGを描けず、仕方なくそうしているような。でもこのゲームはお金がないようには見えない。なんでこうするんだ、つらい。(もちろん、後で理由を知ったのだが。)
音楽:
ゲームの音楽は可もなく不可もなく、長所と短所がある。長所は戦闘時の緊張感がしっかり出ていること。短所は日常パートで、BGMが気まずいものがいくつかある。ああいう「突発イベント」っぽい軽いBGMも、もっと穏やかでしっとりしていれば問題ない気がする。音楽担当と制作陣のコミュニケーション不足が原因なのかは分からない。

OPとEDも別に悪くはないが、印象に残りにくい。
原画:
ゲームの原画は実にすごい。キャラクターの特徴を見事に引き出している。妖艶さと狡賢さ、純粋さと冷徹さ。しかもこの原画は本当に大変だった……比較して初めて原画の素晴らしさが分かる……(なぜそう言うのかは後で話す)
ゲームのHCGは少なく、満打ちで4シーン程度。うち1つは主人公が妹をレイプする(おそらく主人公が制御を失ってレイププレイをする)シーンで、もう2つは沙耶とのシーン。主人公が沙耶を武器として使うため、沙耶の魔力が不足し、パコパコで補魔する必要があるという設定。この設定はみんなよく知っているので説明は省く。

ただ、ゲームのHCGは実はストーリーと密接に結びついている。すべてに一定の理由があって起きていて、「プレイヤーへのご奉仕シーン」は存在しない(これが後にこのゲームが被る災難の原因でもある)。
声優:
ゲームのCV陣は非常に豪華で、福圓美里、桐谷華、浅川悠が再び集結。しかも桐谷華は今回また敵役の病み声線(十花)を演じている。前回はSocery Jokersのルルだったから、とても嬉しい驚きだ。桐谷華は「正義役も悪役も」きっちり演じ分けられる数少ないCVだと思う。仙台のオバサンよりよっぽど上手い。石原舞もこの作品で長刀の巫女・沙耶を演じている。戦闘系の役は初めて見たが、迫力のある声が多く、しかも声線を変えていて、石原舞が女戦士を演じられるとは思わなかった……

もちろん浅川悠はいつも通り安定している。11eyesでも似た役をやっていた。ちなみにゲームには清水愛が演じる浅川悠の使い魔もいて、これも普通の出来だ。不満なのは主人公のCVがいるのに出番が非常に少ないこと。似た例では11eyesがあるが、あのゲームでは三人称視点の時だけ主人公のCVが出る。このゲームではほぼ全編三人称の描写で、主人公は大半が無口。これが理解できない……
もう一点不満なのは、立ち絵のないキャラクターにはボイスがないこと。予算の問題かは分からないが、これだけの大容量で宣伝もすごいゲームなら、さすがにやるべきではない。
シナリオ:
Deep Oneのシナリオは一言では言い表せない。プレイ後、どこかで見たような気がした……もちろん、ゲーム自体のストーリーに大きな問題はない。言うべきことはちゃんと言っている。
でも……何かが違う。
ゲーム中盤から、設定に既視感を覚える。どこかで見た気がする。そして、X(旧Twitter)でガチャを回す「月の民」の投稿を目にして、ようやく分かった……
このゲームの多くの設定がFateシリーズにあまりにも似ている……

主人公を助けるツンデレ女魔法使いカスミは、つまり遠坂凛……長刀で主人公を護衛する巫女の沙耶は、別バージョンのSaber。主人公が沙耶の魔剣を抜けば、「約束された勝利の剣」のような技も使える。
そして別の家庭に落ちた十花は、間桐桜ではないか。十花のために復讐し、最後に十花に捨てられる可哀想な人は、間桐雁夜と間桐慎二の影が見える。ゲームに登場する「魔導書」の種類は全部で七つ。これも「七つのクラス」に対応しているのでは?
特に沙耶と敵の二度目の剣術対決は、Saber対佐々木小次郎の影を感じた……
純粋無垢で巨大な魔力を持つヒロインは、別バージョンのイリヤだろう……もちろん、九花と十花の遠坂凛と間桐桜のような姉妹関係は、別のキャラクターに移されている。
残念ながら、主人公は「無限の剣製」など使えない。使うのはゲーム内の沙耶で、詳細は語られない。主人公はむしろバーサーカーのようで、変身して斬るだけだ。
もちろんそれは重要じゃない。Fateは成功した作品で、ファンがシナリオを書く際に影響を受けるのは普通だ。ただ、このゲームのシナリオには他の問題もある。
まず、無駄話と形容詞が多すぎる。

ゲームのシナリオは、キャラクターの状態を長々と描写するのが好きで、できるだけ会話させようとしない。ギャルゲーなら会話が本質なのに、このゲームでは「長時間会話がなく、キャラ同士のやり取りが地の文だけで描写される」という気まずい状況によく陥る。しかもその地の文が何画面も続くので、読んでいてとても退屈。小説を読んでいるようで、「ギャルゲーを遊ぶ」インタラクティブ感がまったくない。
シナリオの中二度もかなり高い。意味不明な四字熟語がたくさん出てくる。私は中国人だから意味は分かるが、日本人にあれが理解できるのか疑問だ。四字熟語にはルビも振られていない。しかもシナリオはイキった語彙を使いたがる。例えば「不」ではなく「否」を使う。日本人が「否」を使うのを初めて見た。何かの口調の真似だろうか。

あと、シナリオはよく画面を文字で埋め尽くして雰囲気を作ろうとする。そして賢ぶって欠けた不明な文を入れて「混乱」を表現する。ただ、その画面埋め尽くしは小学生が作文の文字数稼ぎをしているように見えるし、欠けた不明な文はあまりにも馬鹿らしい。混乱を感じるまでもなく、中身が予想できてしまう。無意味だ……

これらの問題から分かるのは、シナリオが「会話」やCGで表現すべき内容を、ずっとテキストで表現しようとしていることだ。会話一つ、CVの演技とCGの描写で表現できるものを、このシナリオは延々と文字で説明する。非常に浮いている。だったら文字だけ抜き出して小説にすればいい。なんでギャルゲーにする必要がある?(もちろん、後で理由を知った。)
システム:
ゲームのシステムはごく普通。一般的なKirikiriと同じようなシステムで、文字Tip解説など小機能はあるが、ほとんど役に立たない。横からスライドして出てくるのはカッコよく見えるが、バグが多い。前述したように、ゲームは演出効果を上げるために「動画背景」を多く追加している。そのせいで背景が動的すぎてゲームがよくクラッシュする。中盤から後半にかけて頻発する。デバッグ不足かは分からないが、体験に大きく影響する。特に中盤以降、画面いっぱいの文字を出されて、読み終わる前にクラッシュ。再ローディングするとまたあの退屈な動画背景を見せられ、カクカクで位置も特定しづらく、バックログに戻れない。結局めくっているうちに前の内容を忘れてしまい、以降の物語も途切れ途切れに読むことになった。もともと中盤のシナリオが中二すぎて興味も薄れ、クラッシュした部分は飛ばした……まあ、影響はないようだったが。

ただ、面白い設定もある。選択を間違えてバッドエンドに入ると「地獄」に連れて行かれ、二人のNPCがどこで間違えたかを示唆し、再選択を促してくれる。この方式はなかなか面白い。

だから、特別な事情がなければ、このゲームは「合格」「良好」の部類だと思う。長所も短所も際立っている。シナリオにはFateの痕跡があり、バグも多く、中二度も高い(年齢のせいで受け入れられないのかも)。それでも、今年初めてこれほど緊張感のある対決演出を見たことを考慮すれば、一見の価値はある……
しかもゲームの最後には続編の伏線が残されている。シナリオにまだ書き続けたい意思があるのは明らかだ。まだ数人のキャラの話が語られていないからね。
残念ながら、私が言った前提は「特別な事情がなければ」だ。このゲームには「特別な事情」が起きた。
Deep Oneが発売されたその日のうちに、ゲームは批評空間でスコアが付いた。開いてみると、なんと20点。
しかもX(旧Twitter)はこのゲームへの罵倒で溢れ、プレイヤーは口を揃えて「このゲームに騙された、ゴミだ」と言っている。
事情を調べて、プレイヤーが怒る理由が分かった……
Deep One発売時、シナリオの堀ノ内遊女が雑誌インタビューで「このゲームはシナリオがすごいのはもちろん、HCGを見たいプレイヤーにも配慮している。濃厚なHCGがある。ぜひ応援してほしい」と語った。しかし買ってみると、HCGシーンはたった4つで、しかも質素。様々なプレイもなく、レイプもある。エロ目当てで買ったプレイヤーが怒った。
Deep Oneの最後に続編のロゴが出て、このゲームは始まりに過ぎず続編があると示された。プレイヤーはこれを分割商法だと考え、発売時の宣伝ではまったく触れられていなかったので、騙されたと感じた。
Deep Oneのストーリーは一本道。話の都合で沙耶と九花妹とヤる以外、他のキャラにルートはない。プレイヤーは騙され侮辱されたと感じた。
Deep Oneは雑誌インタビューで「十年磨一剑」と謳っていたが、後にこのゲームが昔「nanastar」という同人サークルが作った同人ゲーム「Deep onE」から来ていることが暴かれた。しかもゲームのテキストやキャラクターデザインのスタイルはまったく同じ。そのnanastar同人サークルのゲームのシナリオはアヤノソウジ。つまりこの「堀ノ内遊女」だろう。要するに古いゲームのリメイクであり、発売時の宣伝では一切触れられていなかった。
この4つの理由で、多くの購入者が騙されたと感じ、最初からこのゲームの評判は急落した。
発売当日、X(旧Twitter)で大勢がこのゲームを罵倒する中、別のギャルゲー会社の社長も参戦した。Deep Oneを批判する投稿をひたすらリツイートし、かなり他人の不幸を喜んでいる様子だった。

その社長は『こいのす☆イチャコライズ』の会社eRONDOの社長だ。この社長はなかなかすごい。普段の趣味は:
- 海賊版ユーザーを罵る。
- ストーリー重視のゲームを批判する。
- 自社を褒める。
この会長はソフトウェア会社の代表だけあって、海賊版ソフトを深く憎んでいる。同時にプレイヤーをよく嘲笑し、「エロゲームはエロくなければ存在意義がない。ストーリーを追求してエロを追求しないゲーム会社は無駄だ」とよくからかう。だから今回Deep Oneが発売初日にコケたのを見て、この社長は最も喜んで飛び跳ねた。この社長は普段からX(旧Twitter)で異常に活発だが、あの日は確かに多くの流れを生み、多くの傍観者をDeep Oneや彼の会社、シナリオの堀ノ内遊女への批判に走らせた。

その結果、Deep Oneの批評空間でのスコアは下がり続けた。
しかし、本当にそうなのか?Deep Oneは本当にそんなに酷いのか?
プレイした者として、このゲームは決して優秀とは言えないが、光るところもあると思う。Deep Oneを神作とは言えないが、批評空間で20点台というのはさすがに酷すぎる。
この時、eRONDOの社長も一言公道を言った:
「Deep Oneが悪評を受けた理由は、シナリオが良いか悪いか、HCGが多いか少ないか、分割発売かどうかではない。発売時にプレイヤーを騙したことだ。ちゃんと説明しなかった。人を騙すのは良くない。」
結局、このゲームが初日に叩かれ、これほど悲惨な結果になったのは、本質的にマーケティングの失敗だ。
「もし発売前に、このゲームは分巻販売で、HCGは少なく、10年前の同人サークル時代の同名ゲームの復刻であることをプレイヤーに伝えていたら、これほど酷い評価は受けなかっただろう。」
その答えは正しいかもしれないし、間違っているかもしれない……
好奇心から、私はDeep Oneの経緯を調べ、いくつかの情報を得た。いくつかの疑問は解けるかもしれない。
Q:Deep Oneには濃厚なHCGがある? A:HCGはある。しかもハードコアで、レイプも一度ある。回数もそんなに少なくないと思う。ただ女性脇役のHCGが欠けている。
Q:Deep Oneは分割商法の作品? A:厳密には違うと思う。ゲーム自体のボリュームはすでに短くなく、ちゃんとした物語も語られている。黒幕も死んでいる。ただ最後に謎を残し、続編があることを示している。『パシフィック・リム』の最後のオマージュのようなもので、続編はあってもなくてもいい。しかも今に至るまでNamelessは続編の開発計画を発表していない。
Q:Deep Oneは明らかに昔の同人ゲームサークルの復刻版なのに、なぜ「十年磨一剑」と言える? A:当時Deep onEを開発した同人サークルNanastarを調べた。なんと当時の体験版ダウンロードも見つかった。ウェブアーカイブ技術で見た当時のページには、開発の経緯が詳しく載っている:

2008年に開発を開始し、断続的に2010年まで続き、最後の体験版をリリースした後、サークルはそれきりになった。
サークルの更新Staffを見るとメンバーは多く、唯一活動を続けているのは、名前を変えたシナリオと、作曲家の丸山剛くらいだ。

この丸山剛も面白い。ネットで調べられるが、彼は後に「地雷ソフト」という会社を立ち上げ、いくつかのゲームを開発した。これらも評価は良くなく、会社は倒産。丸山剛は他のブランドでプロデューサーをしている。

しかも今でもネットでダウンロードできるDeep onEの初期同人版最終体験版を実行すると、タイトルに大きく「Prototype Editon」と表示される。内容と演出方法は現在の最終版と質は違うが、大枠は同じ。CGキャラのポーズもまったく同じ。だからこの新しい絵師には頭が下がる。元の立ち絵を完璧にトレースしている……しかもキャラの性格がよりよく出ている。元の最初のキャラはみんなバカに見えたから。


私の一方的な弁護かもしれないが、このゲームの10年前のバージョンは「原型版」という位置づけだ。つまり2008年に制作が始まり、雛形ができ、10年の沈黙を経て、2018年に正式発売された。考えると結構感動的だ。
一人のシナリオライターが物語を書き、自分でも良いと思ったからゲームを作ろうとし、サークルを立ち上げ、やがてサークルは倒れた。10年後、ようやくお金ができ、当時のシナリオを持ち出して、10年前に果たせなかった夢を叶えた。ようやく思いを遂げた。
そういう意味では「十年磨一剑」も嘘ではない。
Q:そんなにDeep Oneを擁護するなら、Deep Oneは何も悪くない? A:擁護ではない。Deep Oneが今の結果になったのは、純粋にマーケティングが愚かだったからだ。本来なら多くの売り文句があった。「十年磨一剑」、同人から商業へ、など。しかし愚かなマーケティングは隠し、しかも偽情報を流してターゲット外の層を騙し、お金を払ったユーザーを激怒させ、アレルギー反応を引き起こし、今の混乱を招いた。
結局、Deep Oneというゲームは、シナリオライターが若い頃に書いた物語を、ずっと完成させたくて、ついに商業作品にしたものだ。しかし当時一緒に戦った仲間は、丸山剛を除いてほとんどが消えてしまった。私も似た経験があるので、なんとなく物悲しくなる。
しかもDeep Oneの事件を通じて、日本のエロゲーの現状も見えた。私はゲームを買う人は真面目にプレイするものだと思っていたが、こんなに多くの人が「ゲームはせず、手に入れたらCtrlで飛ばしてHCGだけ見て抜いて寝る」層だとは思わなかった。Deep Oneはボリュームが短くないのに、批評空間には初日から多くの批判コメントがあった。彼らが本当にプレイしたのか疑わしい。最初の一週間後、Deep Oneの批評空間のスコアは20から55に上がった。これはプレイした人がこの作品をそれほど悪くないと感じたことを裏付ける……
同時に、ゲーム発売後の影響で何人かがX(旧Twitter)やX(旧Twitter)で流れを作り、真実を知らない大衆がそれに乗って叩き、追い打ちをかけるようにNamelessは急いで謝罪声明を出した。手遅れでなければいいが。

実はDeep Oneの歴史を調べていて、このゲームの最初の原型版には専用のEDがあったことも分かった。これも丸山剛の作曲だ:

重要なのはここではなく、このゲームの名前:
DeeponE~1stContact(仮)~
もしかするとこのゲームは2008年の制作開始時から分巻販売するつもりだったのか?あるいは作者が考えて、後ろの退屈な接尾辞を削除したのか。
今になってこのゲームを振り返ると、前述の疑問の答えも分かる:
なぜゲーム内のテキストが多く、立ち絵のインタラクションが少ないのか?元が同人ゲームの改変だからだ。 なぜこのゲームが武内崇の推薦を得たのか?このゲームの作者がまさにFateをパクっているからだ。
このゲームの全体構造を考えると、やはり作者はFateにどっぷり浸かっている。Deep Oneの世界観でUnlimited Blade WorksやHeaven Feelルートを書き、続編にしたかったのかもしれない。ただ今の状況では難しそうだ。
日本人の評価で「Fateのパクリ版」と言われるが、私もずっとそう思っていた。このゲームもそんなに悪くはないが。
いっそ正直にゲーム名を「Fate/Deep One」に変えた方が、人気も出るんじゃないか?
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