『空に刻んだパラレログラム』レビュー
ギャルゲーといえばエロゲー、エロゲーといえば印象に残る作品、印象に残る作品といえば『紙の上の魔法使い』、そしてその背後のシナリオライターといえばルクルだ。ルクルといえば2018年末に桐葉と共に送り出した新作『空に刻んだパラレログラム』、文学畑からスポーツ背景へと跨ぎ、まさに文と体の二刀流、注目すべき作品である。
俺はルクルについて何度も語ってきたし、彼の作品も何度も勧めてきた。物語の面白さが最大の理由だが、ルクルは話がうまく、文章も幼稚じゃない。読んでいて心地いい。これが彼の最大の個性であり魅力だ。誤字が多いと叩く人もいるが、毎日のように文章を書く人間に誤字の一つや二つあるだろう(自分のことではない)。だから今回の『空に刻んだパラレログラム』の発表で、俺は板挟みになった。
板挟みはすぐに分かる。一方でルクル新作への期待、あの酸っぱ気持ちいいシナリオへの期待がある。一方で……この新作……『空に刻んだパラレログラム』、パクリ臭が強すぎないか?
言うまでもなく、目がある人なら分かる。この『空に刻んだパラレログラム』は、背景設定もキャラ設定も、とっくに潰れたあの会社のあの作品に極めて似ている。そう、Spriteの『蒼の彼方のフォーリズム』、通称あおかなだ。同じ空中スポーツ、同じ主人公コーチ役、同じ4色のヒロイン。一時期このゲームの評価は諸説紛々で、大半はあおかなの「精神的続編」と見ていた。設定が似すぎているからだ。さらにルクルの過去作の傾向から、この『空に刻んだパラレログラム』も人がバタバタ死んだり障害を負ったりするんじゃないかと推測する声もあった……彼の過去作はどれも鬱展開だったからな。
だから心配で、板挟みで、しかしどうであれクリアしないと分からない。2018年の終わり、米中合作の西遊記がクランクインする前に、俺はようやくこのゲームを終えた。だがもっと困惑する境地に陥った。
「このゲームは過去作と比べて、進歩したのか、後退したのか?」
この問いに答える前に、ゲーム全体を振り返った方が答えを出しやすいだろう。

『空に刻んだパラレログラム』は冒頭でこう語る。彼杵柚という少女が、日本で流行中のテレプシコーラという競技に興味を持ち、テレプシコーラ専門の学校へ転校してきた、と。

テレプシコーラとは、空中飛行で展開される3対3の対抗競技だ。簡単に言えば、特殊装備と衣装を身にまとい、自身のクオリア因子を使って魔法エネルギーを生成、選手本人を空中で飛行させる。飛行しながらヘイローと呼ばれる宝珠を奪い合い、奪った側が相手の陣地のクリスタルまで運んで破壊すれば得点となる。
要するに、空飛ぶ3on3のバスケ(サッカー)だ。宝珠がボールで、6人で奪い合い、相手陣地のクリスタルに投げ込めばいい。
ちなみに、相手の飛行魔法粒子で攻撃し合うのもアリだ。

違うのは、テレプシコーラでは飛行に必要なのは体力ではなく、選手自身の「クオリア体質」だ。クオリア因子が多ければ多いほど、長く飛べる……つまり飛行の持続力は才能次第ということ。
彼杵柚は元の学校で強大なクオリア体質を見出され、この学校へ転校して飛行競技に飛び込むことを決めた。彼女自身も青空を飛ぶことに強く憧れている。
しかし転校早々に差別を味わう。この学校には学年以外にもっと重要な階級分けがあり、「一組」と「二組」に分かれている。「一組」は選手の中でもトップレベルのクラス、「二組」は劣等クラス。「一組」の選手は専門的な訓練、飛行器具の使用や専用グラウンドの使用まで許されるが、「二組」には何もない……
柚は転校早々に一組の生徒に挑発され、地面で「遊ぼう」と誘われる。柚はまだ飛行経験がほとんどない。

柚は自分そこそこやれると思っていたが、地面での模擬戦で相手に完全に猿扱い……相手は「下手なら来なきゃいい、恥かくだけだ」とまで言った。
柚はそれでへこたれず、深夜に訓練を始める。まずヘイローの操作から学び、少しずつ努力を積み重ねる……
そんな転校生の姿を、先輩の藍住ほたるが見ていた。彼女は何かを思い出す。隣にいたのは一組の常盤木蓮。二人はかつて同じチームで試合に出ていた。そしてもう一人を思い出す。同じチームだった宝生歩(本作主人公)。歩は優秀な選手だったが、ある試合で重傷を負い、もう飛べなくなった。ほたるは蓮と共に、主人公に新入生の「監督」(コーチに近いが完全に同じではない気がする)をやらせ、彼女を導こうと提案する。

ほたるは言った。
「ある程度の実力があって努力すれば高みに届く人間は、永遠に物語の主人公。私みたいな天才は、主人公を導ける主人公級の人間が必要。宝生歩、期待を裏切らないでね。」
では、なぜ主人公が「主人公」になれるのか。
宝生歩はかつてテレプシコーラの選手だった。彼がこの競技を始めたのは、初恋の紡木紅のためだ。
紡木紅は幼馴染であり初恋の相手。幼い頃から一緒に遊んでいたが、紅がテレプシコーラの試合を一度見て、競技に憧れを抱いた。特に全国大会の舞台に立ちたいと。

しかし残念ながら、紅には飛行体質がない。飛行魔法粒子を生成できない。歩は紅を想い、密かに彼女の夢を代わりに叶えようと決意する。
歩は競技を始めた。3対3なので一人では無理だ。もう一人の遊び仲間の有佐里亜、そして妹の宝生玻璃(そう、名前は玻璃で「はり」と読む)を呼び、三人でチームを組み奮闘する。

だが残念なことに、チームで才能があったのは歩だけ。すぐに歩一人が高レベルになり、妹の玻璃と里亜が足を引っ張る。
妹は単に才能がない。里亜は飛行魔法粒子の体質問題で粒子が少なく、飛行の持久力が足りず長時間の競技を維持できない……
歩は夢を追うため、妹と里亜のチームを離れ、より強い仲間を求める。
そして常盤木蓮、藍住ほたるを見つけ、二人と新チームを組む。
順調に全国大会へ進出。しかし試合中にアクシデントが起きる。相手との対抗中に重傷を負い、空中から海へ落下。医師の診断は脊椎損傷、回復不能。歩行と立ちは可能だが、もう飛べない……
さらに追い討ち。試合の日、紅が歩の試合を見に車で来る途中、交通事故で亡くなった。

初恋の死、そして飛行と競技能力の喪失。歩は一瞬で頂点から転落する……
その後は立ち直れず、柚のコーチ兼監督を頼まれた時も迷った。しかし柚に会って……承諾する。
彼杵柚が紡木紅にそっくりだったから。

歩は過去への想いから承諾した。
チーム結成とコーチ就任を承諾した歩はすぐに気づく。妹の宝生玻璃がずっと黙々と練習していたことを。才能はないが、狂ったような練習で強い戦闘力に達していた。

新たな全国大会が近づく。妹は自分が試合に出て紅の夢を叶えると宣言し、新チームを組む。メンバーは彼杵柚、宝生玻璃、有佐里亜。チーム名はEmpty Owl。
歩は監督を引き受け、再び全国大会への道を歩み始める。
全国大会に出るには、まず校内戦で成績を残し、学校代表に推薦されなければならない。校内戦のレベルはすでに高い。
歩は二組の人間で、Empty Owlも二組のチーム。つまり二組内の他チームを倒し、さらに一組のチームも倒さなければ全国への切符は得られない。
さらに悲しい事実。二組と一組には巨大な実力差がある……

二組最強のチームが一組のチームと対戦すると、犬のように虐殺され、反撃すらできない。
歩のチームの道は長い。

だが幸い、妹の玻璃はすでに鬼のような鍛錬で一組レベルの実力を持っていた。特長はスピード。柚は運動センスが良く、反応速度が持ち味。里亜は飛行持続時間は短いが、地上運動が速く、守備で空中競技の弱点を多少補える。おかげで二組内のグループリーグで、歩のチームはなんとか勝ちを拾っていく。
一方、一組のグループリーグで藍住ほたるのパフォーマンスは芳しくない。
ほたるは幼い頃から飛行競技の才能を見出され、誰にもできない動きを軽々こなし、軽々と相手を倒す。多くの人が彼女を「天才」と呼び、本人もそう思い、ちょっと楽しんでもいた。しかしこの学校に来て、自分が井の中の蛙だと知る。

天才だが努力したくない。ただ飛びたいだけ。でも天才なので他チームに目をつけられ、試合に誘われる。しかし一組の環境では自分の実力は平均以下で、いつも虐められチームの穴になる。
同時にほたるは多くの批判と罵倒を浴びる。
「あの実力で天才?嘘でしょ」 「ミスするのいつもあいつじゃん、ポンコツかよ」 「天才天才って吠えてないで、さっさと辞めろよ」
ほたるは奮闘したいが闘志がない。ただ空を自由に飛びたいだけなのに、「天才」の肩書きが重すぎる。だから歩のような「努力者」が羨ましい。自分の努力で成功する方が、自分みたいな「囚われの天才」よりいい。

結局、新チームが連敗した後、ほたるは常盤木蓮の勧めで歩のチームの練習相手を志願。元のチームでの役割を辞し、「一組」から「二組」へ降格。歩のチームの練習相手兼アシスタントコーチになる。ほたるはもう試合がしたくない。「天才」の肩書きに押し潰されそうで、歩のチームで息抜きを選んだ。
しかし残念ながら、息抜きも束の間、歩のチームは壁にぶつかる。
二組の矢継才加のチームとの対戦で、相手は歩のチーム最大の弱点を見抜く。里亜の飛行耐久力の低さだ。そこを突かれ、歩は不意を食う。
前半終了時、里亜はもう力が残っていない。歩はほたるに里亜を交代させようとするが、ほたるは里亜を続投させる。里亜はまだ勝てると信じている。

そして里亜は覚醒。飛行耐久を使い果たしても、自分の命を消耗して飛び続け、相手の攻撃計画を崩し、逆転勝利を収める。
試合後、里亜はほたるに、自分に代わって試合に出てほしいと告げる。里亜の体はもうあのような「命を削る」飛行方法に耐えられない。

同時に里亜は衝撃の秘密を明かす。全国大会優勝には特別な報酬があり、専属選手の特権として専属医療資格が得られ、歩の「飛べない」怪我も治せるという。
だから妹の玻璃は、兄の怪我を治し、もう一度飛ばせるために、必死に試合と戦いに挑み、必死に自分を高めていた。
里亜は玻璃の奮闘を無駄にしたくない。自分が無理ならほたるにバトンを渡し、チームを導いてほしい。ほたるは承諾するしかない。

ほたるを加えた歩のチームは虎に翼。すぐに二組最大の敵、前回二組一位のチームを破り、優秀な成績で学校代表として全国大会出場が決まる。
同時に一組の二チームも選ばれる。
全国大会が始まり、8チームによるトーナメント。初戦は他校の雑魚チームに楽勝。次に当たったのは……最も会いたくないチーム、一組最強のチーム。
メンバーは常盤木蓮、境遼二、そしてドイツの小柄な妹イーリス。

常盤木蓮の実力は計り知れず、境遼二は歩が試合で負傷した原因そのもの。彼は歩に魔法電流を放って妨害しようとし、電流を歩の脊椎に当てて負傷させ、飛行能力を奪った。同時に自分も手を負傷し、一年の療養を経て復帰、優勝を狙う。

小柄なイーリスは昨年の歩に憧れて競技を始めたが、実力は低い。しかし巨大な飛行魔法粒子を持ち、遠距離への大規模な魔法粒子攻撃が可能。
だからこのチームの戦い方は、超強力な二人が前線で戦い、後方からイーリスが絶え間なく火力支援。ちなみにイーリスの攻撃は弾道が不可視。

試合開始、歩のチームは苦戦。常盤木蓮は速くて器用で追いつけない。境遼二は戦闘力が桁外れで反撃不能。さらに後方からイーリスが冷箭を放ち続け、歩のチームはあっという間に1対3で後半へ。

後半も厳しい展開。しかし最後の鍵となる場面で、ほたるは兄のために奮闘する玻璃、努力で成長する柚を見て、ようやく自分を見つけ、覚醒する。

ほたるは天才選手だが闘志がないために弱かった。今のほたるは闘志を取り戻し、真の戦闘形態に入る。
覚醒したほたるは瞬く間に大暴れし、試合を一気に逆転する。

境遼二が止めようと、再び反則で相手の体を壊そうとするが、自身の古傷が再発……戦闘不能に陥る。自業自得、歩のチームが勝利する。

優勝候補を破り士気は最高潮。特にほたるの覚醒でチーム戦力は大幅アップ。ついに決勝戦。相手はやはり一組のチーム、ほたるが以前いたチームで、相手キャプテンはかつてほたるを高く評価していた大姐の水ヶ原夜月。
試合開始、ほたるは勢い止まらず、柔軟かつ完璧な動きで歩の攻撃を連続得点に繋げる。しかしその後、ほたるは厳しくマークされ、再び苦戦。後半、ほたるはボール奪取で無理をし、負傷して空中から水中へ落下……

歩のチームは再び一人欠け、試合はまだ終わらない。ほたるはもう戦えない……どうする?

歩は最終的に、チームに元々いた……里亜を出す。
実は歩は準備していた。里亜は交代させられたが、歩はずっと里亜に一緒に練習させ、怠けさせなかった。ほたるに万が一のことがあった時、里亜を出せるように。
しかし里亜は弱点。出場後、歩のチームは優勢を保てず……守備に回る。
最後は想像通り、相手チームは里亜の戦闘力を過小評価し、里亜は死力を尽くして最後のThrough Passを決め、柚が受け取ってそのままドリブルで抜き、決勝点。歩のチームが最終勝利を収める!

勝利後、歩は自分にコーチとしての才能があると気づき、この競技でコーチとして活躍できるかもしれないと考える。奇跡を起こした少女たちは、それぞれの拍手と栄光を得る。
ゲームは数年後へ。医学の発展により、歩は新しい医療機器で再び飛行能力を手に入れ、かつての仲間たちと共に自由な空を飛ぶ。

そして物語は幕を閉じる。
全体として、『空に刻んだパラレログラム』と『蒼の彼方のフォーリズム』の違いは大きい。
まず『蒼の彼方のフォーリズム』は個人戦の要素が強く、競技も個人競技に近い。しかし『空に刻んだパラレログラム』は違う。これは3対3の団体競技だ。描写の重点も『空に刻んだパラレログラム』には独自の良さがある。個人競技は個人に関わることが多いが、団体競技は仲間との関係に多くの描写余地がある。

ルクルの流暢な筆のおかげだ。話は相変わらず引き込まれる。試合の細かい対抗と回想の切り替えがより熟練しているだけでなく、この「明らかな王道ルート」のゲームにさえある種のサスペンスを感じさせる。優勝候補が準決勝で敗退するなんて誰が思う?決勝で歩のチームの主力にアクシデントが起きるなんて?
キャラの心理描写に多くの筆が割かれている。これが主人公一人称視点を採用しなかった利点だ。ほとんどのキャラに思惑があり、弱い人は足を引っ張っていると感じ、強い人も自信があるとは限らない。誰もが試合に大きなプレッシャーと恐怖を抱えている。脚本はこの点を非常によく、リアルに書けている。ただ「芝居が多すぎる」と感じる人もいるかもしれない。「ただの試合だろ」と思う人もいるだろうが、これは女子が多い競技だ。女子同士の小競り合いは普通だと思う。

試合の対抗描写はよくできており、選手間の心理的駆け引きは深い。しかし問題もある。戦術面の描写が少なすぎる。これはあおかなに劣る。心理が多すぎて客観性に欠ける。そして忘れてはいけないのがCGだ。桐葉だと分かっている、いつもの桐葉だ。しかし桐葉先生、画風が……ワイルドすぎないか?
多くのキャラが空を飛ぶ必要があるが、今回のゲームの多くのキャラの飛行姿勢が非常に気まずい……特に妹の玻璃、あのケツを突き出した姿勢を見ると噴き出してしまう。ただ大部分のキャラのスタイルは前作より進歩している。誰もが模倣から始める。絵師の桐葉も自分のスタイルを見つけたようだ。ただ「安定」した絵を描いてほしい。この点はあおかなの方が良かった……惜しまれる、潰れたが。

ゲーム全体は最も伝統的な「王道」だ。多くの人を失望させるかもしれない。実は俺も最初は失望した。これまでのルクル作品は「絶妙な伏線」「超予想外の展開」だったのに、本作には全くない。(あ……少しはあるか、細かくは言わない)しかしこの作品が優れていないとは言えない。脚本が「キャラ造形」に大量の筆を割いているからだ。これまでの作品が「物語がキャラを作る」なら、本作は純粋に細部と会話と心理で積み上げたキャラ印象だ。

妹の玻璃はただのシスコンで、兄の願いを叶えるために自分から努力して突っ走る。一方、メインヒロインの柚は熱血漫画によくいる主人公属性で、熱血で楽観的、めげない。ゲーム内の他の敵役やチームのキャラもそれぞれ特徴がはっきりしていて、これだけ多く出しておきながら全員の個性を覚えさせられるのは、以前の「超展開シナリオ」と比べても描写の難易度は決して低くないと思う。
ゲームで一番うまく描けているキャラ、それが藍住ほたる、この「不器用な天才」だ。
「傷仲永」の話はみんな知ってるだろう。他の人はどうか知らないけど、大半の人は子供の頃、何かしらの分野で特技があって、同年代をはるかに超えて天才扱いされた経験があるんじゃないかな。
たとえば俺は子供の頃、走るのが得意で、特に長距離。楽々と一位になれた。後ろで息を切らしてる連中が理解できなかった。「なんでお前らそんな遅いの?? 別に頑張ってないのに一位なんだが……」

ほたるも同じだ。子供の頃のほたるは空中運動がとても得意で、周りがどれだけ努力しても太刀打ちできず、彼女もすっかり得意になって、自分は天才だと、他の人がどう頑張っても自分の高さには届かないと思い込んでいた。
でも彼女は忘れていた。上には上がいることを。
天才には限界がある。ほたるの限界は、この学校の一組の中で、超えられた。

ほたるが天才だと聞いた他の連中は勝負を挑んでくる。ところが実際に見てみると、ほたるのレベルは伝説ほど高くない……そこから様々な疑念が湧いてくる。
「天才? なんだ、その程度か」
ほたるの自信は打ち砕かれた。
努力する人が増え、関わる人が増えるにつれ、ほたるは「凡百と化し」、そして多くの人は彼女の「天才」を疑い嘲笑した。

ほたるは分かっている。良い才能があっても、努力しなければ追い越される。でもほたるには努力する動機が見つからない。ただ空を飛びたいだけ。戦いたくもないし、大会に出たいわけでもない。目標がないのに、なぜ努力するのか?
最後にほたるは仲間に心を動かされ、主人公の未来のために、優勝のために、仲間のために、自分が努力し戦わなければならない理由を持った。
妹の玻璃は兄のために絶えず奮闘し訓練し必死になる。仲間たちもそれぞれの事情で、自分が戦わねばならない理由を持っている。
ほたるにもある。自分のために、自分がもっと楽しくいられるために、彼女も戦うんだ。
そしてついに「天才」は「天才」という鎖から解き放たれ、自由を得た。
戦う意欲を得たほたるは、試合の土壇場で、覚醒のような再生を遂げる。
考えてみれば、俺たちの人生も似たようなものだ。子供の頃に様々な夢や栄光を抱えていたのに、最後には「凡百と化す」。才能がなかったのか? 違う……ただ目標と戦う勇気が欠けていただけだ。
目標と勇気さえあれば、君は最初の自分に戻れる。
ゲームの各キャラにそれぞれの物語があり、ここまでの「群像劇」級のシナリオ構成は簡単じゃない。あおかなと比べても、こっちのほうが難しいと思う。
ルクルは本作で、ある種の突破を果たしたと言える。過去の「暗黒童話」スタイルの作品に縛られず、熱血とキャラ造形に踏み出したのは、大きな進歩だと思う。
ここで最初の俺の問いに答えられるかもしれない。
「このゲームは以前の作品と比べて、進歩したのか、後退したのか?」
答えは間違いなく進歩だ。
以前のゲームは「死」と「暗黒」を売りにして人の注目を自分のシナリオに集める作品だった。この作品は純粋に文字の魅力で脚本の実力を見せてくれる。

別に「このゲームのシナリオに欠点がない」と言ってるわけじゃない。少なくとも全体の構成は以前の作品よりだいぶ整っているし、細部も決していい加減じゃない。多視点の切り替えに、キャラ同士に濃厚な「エロゲー臭」がない。もう小説として読めるレベルで、「恋愛シミュレーションゲーム」じゃなくなっている。
考えてみればそうだ。このゲーム自体、True End は一本だけ。後輩の告白があるくらいで、主人公は誰とも恋愛感情を持っていない。何しろ主人公の初恋はもう死んでいるから。それでもなぜか、彼女たちと主人公の間の絆を感じる。これがシナリオの魅力ってやつだろう。
さっき言った通り、ゲームは一本道だが、それでもヒロインを攻略できる分岐はある。ただ、すごく手抜きに感じる。シナリオは全国大会を諦めて女を選び、そのままパンパン……で終わり。
ゲーム音楽も相変わらずめとで、これまで通り安定している。CVは今回あまり知らない人ばかりだったけど、何人かはかなり光っていた。全体的には可もなく不可もなくってところか。

ゲームシステムにはバグが結構ある。一番目立つのは、ゲームがクラッシュするとセーブファイルが破損して二度と起動できなくなること……セーブデータを消して最初からやり直すしかない。これがギャルゲーだからまだしも、クリア型のゲームだったら中国語で悪態ついてるわ……
以前の作品があまりに暗すぎて売れなかったせいか、今回の『空に刻んだパラレログラム』は明るくて受け入れやすい王道スポーツものを選んだ……総合的に見て、これは突破と言っていいだろう…………バグと一部のCGを除けば。

ルクルはやはり俺を裏切らなかった。年末にこのゲームに出会えたことで、今年のエロゲー評価まとめもようやくランキングに足る数が揃うかな……
来年もまたルクル師匠の活躍が見られますように。
最後の最後に、ルクルが書いた後輩の主人公への告白シーンを一つ。ゲーム唯一の告白シーンでもある。
読んでいるととても……切ない。



届かない恋、まさにこれのことだろう。
コメントは中国語の本家サイトで受け付けています。このミラーは閲覧専用です。