『言の葉舞い散る夏の風鈴』レビュー

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『言の葉舞い散る夏の風鈴』は発売前からかなりの人気があった。別にこのゲームの設定がヤバいほどすごいわけじゃない……制作スタッフの面子のおかげだ。シナリオの範乃秋晴は以前『景の海のアペイリア』やロケット開発の話を書いていて、評価も悪くなかった。今回は絵師(より腕の立つ絵師を連れてきた)以外はほぼ同じ面子なので、期待するのも当然だろう。

ゲームが発表されてみると、特に目新しいものはなさそうだった。少なくとも前作『景の海のアペイリア』と比べると、今作はほとんど白湯みたいな設定だ……

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でもシナリオ担当のおかげで、大半の人はこの作品にかなり期待していたようだ。

しかし、俺たちはこの作品に何を期待していたんだろう?超展開?ハイテク?物理学の教科書?論理パズルのクイズ?

脚本が以前あんなすごいものを書いたんだから、この作品もすごいはずだ、たとえ「青春」で「普通」の設定を掲げていても、裏にはきっと深く考えさせられる内容があるに違いない——そう思っていた人も多いんじゃないか。

だが、俺たちはみんな間違っていた。これはただのこれ以上ないほどシンプルな白湯作品だ。

ああ、むしろ白湯としても不合格だ……

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ゲームの設定は、主人公がひょんなことから「声優部」の活動記録に加わるというもの。ゲーム序盤の展開も確かにその通りに進む。

主人公は声豚、つまり特定の声優の声に異常にこだわる気持ち悪いオタクだ。彼が一番好きな女性声優はこころ。ある日、学校でこころに似た声を耳にする。そこで彼は自身の非常に正確な「オタク音感」を頼りに、その声優こころの正体が学校の同級生・真額詞葉であることを見抜く。このことが二人だけの秘密になる。

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その後、主人公は同級生の野原ゆうから「声優部」への加入を誘われる。野原ゆうは声優好きで、声優を目指している。また主人公はこの「声優部」で先輩の菩提樹仰子とも出会う。彼女はこの「声優部」の創設者で、実家が鉱山の裕福なお嬢様。そのお嬢様が「声優部」を作った理由は……「演劇部」に入ろうとして落とされたから、復讐のために「声優部」を立ち上げた……そして「演劇部」と対抗するためだった。

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それから主人公は先輩の菩提樹仰子と野原ゆうに「声優部」へ引っ張り込まれる。しかし主人公は、二人が声優に大きな興味を持ちながらも、そのレベルはお世辞にも高いとは言えず、演技すらできていないことに気づく。そこで主人公は声優を学んだことのある真額詞葉も「声優部」に引き入れ、他のメンバーの訓練を始める。

同時に主人公は車椅子に乗った後輩・百花奏とも出会う。彼女は声優として大きな才能を持っているらしく、彼女もまた「声優部」に引き入れられる。

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こうしてゲームは始まる……物語は主人公と複数のヒロインが「声優部」でさまざまな台詞を朗読し、演技の訓練をする日常となっていく。

ヒロインは四人、ルートも四本。野原ゆう、菩提樹仰子、百花奏のルートは最初から選択可能。この三人を攻略し終えると、タイトル画面に「夏の卒業式」というTrue End、つまり真額詞葉のルートが出現する……

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このゲームは……実は語るほどのこともない。分岐選択肢は主人公が「声優部」の訓練台本を選ぶというもので、一つの台本が一人のヒロインに対応している。そして最終的な結末はどれも大同小異。攻略したヒロインはその台本の優れた演技によって、演技の中で声優賞(ものすごく、ものすごく、ものすごく初歩的なやつ)を獲得する。ただ各ヒロインの個別ルートには微妙な違いがある。例えば菩提樹仰子は「演劇部」の人々と和解し、最終的に一緒に公演する。百花奏のルートでは、彼女自身に才能があるが生まれつき障害があり、自分に自信が持てない。最後に真額詞葉の指導で大賞を取る。野原ゆうは少し普通で、声優に憧れながらも才能がなく(嘘だろ、この人のCV仙台エリだぞ)、最終公演の直前には咳をしてしまい、危うく諦めかけるが、主人公が彼女の声優アイドルを見つけてきて慰めてどうにかなる。

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そして最終True Endを解放すると、このいわゆる最終ルートにもこれといった驚きはないことが分かる。

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共通ルートと個別ルートで、ヒロインの真額詞葉は以前声優をしていたが引退すると語る。ただ理由は主人公に言わない。個別ルートで少し説明があり、要するに「声優は大変すぎて続けられない」といったところ。最終的に真額詞葉は「声優部」で他の愛好者たちを成功へ導く中で、自分ももう一度挑戦しようと決意し、オーディションに応募。努力の末にキャラクター出演の機会を得る……

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そして最終的な結末は、真額詞葉と声優部の他のメンバー全員が自分の夢を叶えるハッピーエンド。

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つまりこのゲームは、ただ「声優部」の愛好者たちが最終的に声優の夢を叶える物語。ハイテクも超展開も、まともな恋愛要素すらない……ほとんどは主人公が急に数言で告白を始め(あるいは告白され)、そのままパコパコ、そしてテンプレの結末。EDが流れてCGが一枚出てゲーム終了。

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「声優活動」を描くゲームとして、声優面にはかなり力を入れている。発声の基礎教程シリーズや、腹式呼吸と胸式呼吸の違いなども描写している。しかしこれではまだ全然足りない。同時に声優の苦労を表現するためか、ゲーム内では声優訓練の朗読パートにかなりの段落を割いている。現実に即しているとはいえ……

しかし……退屈でもある。国語の授業で先生に続いて音読したことを思い出す。非常に無味乾燥で眠くなる。唯一面白いのは、主人公もしばしば吹き替えに参加し、そこで極度に歪んだ声色を出す場面だ……まるで趙本山が乗り移ったかのようで、妙にちょっと笑える。

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全体としてゲームには何の波風もない。最低限の起伏すらない。「主人公たちは努力しさえすれば、すぐに成功する」。こんな書き方の物語はあまりにも手抜きに感じる。ゲーム内で唯一ちょっと面白いルートは……仙台エリの野原ゆうくらいだ。唯一「声優愛好者」が「素人」から「プロ」へと変化する様子を演じきれている。実は仙台エリも大変だっただろう。最初は演技で「演技ができない人」を表現しなければならない。この難易度はかなり高い。

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とはいえ、その役を仙台エリが演じるのはやはり少し妙だ。野原ゆうは「演技のできない愛好者」という設定なのに、仙台エリが野原ゆうの声を当てるだけでも難易度が高い。さらに難しい声質で不器用な演技を模倣するとなると、本当に……奇妙すぎる。

要するに、仙台エリの演技力が高すぎて、この「不器用な役」を演じるのはどうもしっくりこない。新人に演じさせた方が良かったかもしれない。

ゲーム内でCVが最も適切なのは、やはりヒロインの真額詞葉役の桜川未央だ。複数の声質を自在に切り替え、しかもその声で主人公を挑発できる。ギャルゲー界の実力派と言っていい。彼女は仙台エリより一歳年下なのに……


全体として、『言の葉舞い散る夏の風鈴』にこれといった見どころはない。声優を看板に掲げたごく普通のテンプレギャルゲーだ。しかも「声優」というテーマはギャルゲーに向いているとは言い難い。あるいは企画がこのテーマをうまく活かせなかったのか……もちろん、脚本が日常を書けず、主人公の発情シーンしか書けないだけかもしれない。これが世に言う限界というやつだろう。

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同時にゲームのBGMは相変わらずのSilkyplusスタイル——Low。耳障りな電子ピアノの音がとても安っぽく感じる。CGは一部のカットは悪くないが、中には絵が崩れているものもある。どう見ても、このゲームはすぐに歴史の波に埋もれる類のものだと思う。なぜこんなに多くの人がこの作品に期待していたのか分からない……

俺に言わせれば、範乃秋晴はSFや理系のハードな内容を書き続ければいい。日常恋愛は書くな、君には向いてない。

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そうそう、このゲームには大きなバグがある。後半で石原舞のキャラクターが声を失い、完全にボイスがなくなる状態になる。最後のTrue Endまで回復しない。石原舞がギャラを受け取れずストライキを起こしたのかもしれない。


最後に特筆すべきは、ゲームのHシーンCGのツッコミどころも多いことだ。一番顕著なのはある場面で、野原ゆうが吹き替えの練習で「喘ぎ声」を当てる。よりよく表現するため、衆人環視の中で野原ゆうはスカートの中の下着をずらし、自慰を始める……自慰をしながら喘ぎ声を当て、周りの人々がじっと見つめている。見物人は感嘆の声を上げ、吹き替えが終わると、全員が雷鳴のような拍手を送る……

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画面に向かって何と言っていいか分からない。発想が飛んでいるのか、それとも……精神病なのか?

まさか脚本は、エロゲーの喘ぎ声が本当にオバサンたちが股を開いて出す声だと思っているんじゃないだろうな?

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