しらたま
多くのギャルゲーは話題性を狙って、ゲームを妙に「ギャップ」に作る。もちろんこの「ギャップ」は大阪の黒シャークオタクがX(旧Twitter)で見るようなものとは違うが、まあ似たようなものだ。要するに、表向きは「萌えゲー」なのに中身が異常に暗かったり、表向きは「中身のない抜きゲー」なのに深い道理を語っていたりする。
もちろん今日話すゲームは表面的な「ギャップ」だけでは済まないが、それでも十分に「ギャップ」だ。
それがこの『あまいろショコラータ2』。前作は中国語版が出てSteamにも上がっていて、タイトルは『巧克甜恋』。じゃあこのゲームの中国語名は『巧克甜恋2』になるんだろうけど、中国語化の話はまだ聞いていない。
主人公は平凡な社畜絵師。ひょんなことから夜の蒸気機関車に乗り込み、どこへ向かうかもわからない旅に出る。
車内にいるのは主人公だけじゃない。スウェーデンから来た外国人、糸目のお兄さん、美人のお姉さん、それに黒猫ロリータ。もちろん、何を聞いても要領を得ない車掌もいる。
旅はいろんな場所を通る。北欧の黒い森、日本の南の島、北海道の函館天文館、そして主人公がかつて暮らしていた場所。
そう、この列車は時間と空間を越えた存在で、乗客たちをそれぞれがかつて最も憧れた場所へ連れて行く。外国人にとっては故郷の黒い森、糸目のお兄さんにとっては島が故郷、美人のお姉さんの故郷は北海道、そして主人公の故郷は当然、あの住まいだ。
新しく知り合った人に「Galgame やってる」と言うと、決まってこう返ってくる。
「あー、あれでしょ? やったやった、ネコぱらでしょ、なんかすごいアレなやつ、へへへ」
ネコぱらも確かに Galgame ではあるけれど、Galgame と「ネコぱら」をイコールで結ばれるたびに、内心かなりムカつく。理由は単純、俺はネコぱらが嫌いだからだ。
同じく「ネコぱら」を嫌う某政治厨のオタクとは違い、俺が嫌いな理由は原画家の右往左往でもなければ、制作陣が Steam で荒稼ぎしているからでもない。このゲーム自体が大したことないからだ!
まず、「ネコぱら」は抜きゲーであり、しかもかなり凡庸な抜きゲーだ。日常会話や設定にもこれといった光るものはなく、DLsite に放り込めば似たようなものが掃いて捨てるほどある。唯一の利点は Emote を採用していて見た目がちょっと高級なこと、そして最大のヒット理由の一つが「公式の非日本語対応」をいち早く打ち出したことだ。世界中にオタクは山ほどいて、日本語が読めずに意味不明な文字列を眺め、毎日掲示板を巡回して漢化を待つしかないという地獄を味わっていた。そこに突然、Steam で和風テイスト、日本語ボイス、ローカライズ対応、しかも安い。おまけにSteam で Galgame を遊ぶ唯一の選択肢だったわけだから、爆売れするのは当然だ。
そう、記憶が正しければ、ネコぱらが Steam に登場した当時、Willplus の英語版しかないクソゲー以外に、お前の選択肢はこれしかなかった。
つまり「ネコぱら」の成功はただの天時地利人和、時代が作った成功であって、作品そのものの質を証明するものではない。
みんな知ってると思うけど、俺は萌え豚じゃない。
とはいえ、それでも俺は萌え豚に憧れていた。もう何年も前の話だが、当時は本気で萌え豚を目指していた。
その頃はまだアニメを見ていたんだよ。当時話題になった作品といえば、やっぱり『K-On』だろ。あの頃のニコニコのトップは筋肉兄貴だらけで、動画見るなら Acfun しかなかった。でも Acfun の MAD コーナーはどこもけいおん!の MAD ばかりで、『Cagayake!GIRLS』の MAD だけでもう溢れ返ってて、全然追いつけなかったわ……聞きすぎて歌えるようになったし、あの曲に「我が Kon!」って書き込んでる連中を見てると、なんかよく分からなかった……
分からないのには理由がある。俺は『K-On』をちゃんと見たんだよ。でも最後まで見られなかった。