『サルテ』レビュー
サルテが目を覚ますと、そこは妙な場所だった。芝居の舞台のような空間で、ただ客席には誰もいない。
「こんにちは、サルテ。君はもう死んでいる」
仮面をつけた道化師が現れて、軽薄な声で残酷な事実を告げる。
「私が、死んだ?」
「そう、君はだいたい死んでいる。残念ながら、自分が死んでいることにも気づいていないし、どうやって死んだのかも分かっていないようだ。だからここを用意した」
道化師が指を鳴らすと、舞台の照明が灯る。
「君は生前、女優で、そして王国の王女だった。今から君に復活のチャンスを与えよう。条件は、この誰もいない舞台で君の一生を、死ぬところまで演じることだ。俺が満足したら、復活させてやる」
「でも、自分がどうやって死んだか思い出せない」
「演技が進むにつれて、俺がヒントをやる。そのうち思い出すかもしれないぞ? それとも、この死に戻りのチャンスを諦めるか?」
サルテは諦めたくなかった。頭の中の限られた記憶だけを頼りに、この舞台での独白と演技を始める。そして自分の人生を振り返り始めた。