乙女ゲー

『慰愛の詩』レビュー

去年、ある同人ゲームが俺の目を引いた。それがこの『慰愛の詩』だ。 惹かれた理由はただ一つ、ヒロイン視点のBLゲームだから…… もちろん俺はホモじゃない。このゲームをやったのはBLだけじゃなくBGもあるからだ。 BLゲームでGLをやるなんて、笑い話にもほどがある。だが出てしまった以上は現実で、ゲームとして俺の目の前に現れた。 同人作品ながら珍しく全ボイス付き。ただ残念なことに、このゲームには立ち絵がない。 まずは声優陣を褒めたい。とても良い。特にヒロインの造形が深くて魅力的だ。男二人には興味が持てないが、まあ無難な出来だ。それにしても立ち絵がないのはかなり痛い。絵師が見つからなかったのか、背景も実写写真をPSしただけのもので、予算が相当厳しかったのは間違いない。 では物語の話をしよう。

『断罪のマリア』レビュー

以前、乙女ゲーを遊ぶオタク女子のぼやきを見たことがある。「大抵のギャルゲーではヒロインがすぐ死ぬ。そして乙女ゲーでもヒロインがすぐ死ぬ。もう、男性向けでも女性向けでもヒロインは大概ろくな目に遭わないから慣れた」と。 確かにそうだなと思った。多くの物語で女性はひたすらか弱い存在として描かれ、男性に守られるものとされる。ギャルゲーの先輩ヒロインでさえ、後半になると実はそんなに強くなくて、内心は脆いんだよ、みたいな描写が入る。これ自体が性別で決まっているようなものだが、それを変えようとするゲームもあるにはある。 もちろん男性向けの作品でヒロインが男主を引っ張ってキャリーする展開は現実的じゃない。何せ男主は「最弱」設定なのがお約束で、実際は最後にはチートになるんだから。せめて女性向けゲームで、ヒロインが最強という設定に挑むものがないか見てみるしかない。 というわけで断罪のマリアは、まさにそういうゲーム……ではある。完全にそうではないが、かなり近い。少なくともヒロイン本人の戦闘力はゲーム中最強だ。

『クローバー図書館の住人たち/クローバー図書館の住人たち II』レビュー

小さい頃、誰もが童話を読んでいた。 面白いのは、童話では主人公がたいてい女の子だということ。内容も、弱い女の子と彼女を守る王子様の物語が多い。 男の子は読んだあと、王子様になって自分のお姫様を守りたいと思う。 女の子は読んだあと、お姫様になって自分を守ってくれる王子様を探したいと思う。 記憶に残っている童話を思い出してみたが、意外なことに性別による偏りはほとんどなかった。つまり、男の子も女の子も同じ物語を読み、異世界への探求をし、何世代にもわたり語り継がれる王子と姫の物語に触れていたのだ。 だが時は流れ、男の子も女の子も大人になった。かつて聴いた童話は嘘だと、暗黙のうちに受け入れているのかもしれない。ほとんどの男は守るべき姫など信じていなし、ほとんどの女も王子が助けに来る夢を見なくなった。 過去に読んだ童話を振り返ると、思わず苦笑してしまう。懐かしさなのか、それともかつてこんなものを信じていた自分がおかしいと思っているのか。 それでも童話は止まらない。王子と姫の物語を語り続け、聴きたいと思う人のために残っている。
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