人類は衰退しました

『和香様の座する世界』レビュー

何年前だったか、『人類は衰退しました』という小説原作アニメがあった。人類が理由不明で衰退したあと、世界を「妖精」が占め、人間であるヒロインが妖精たちと交流し「妖精を観察する」というエピソードを描いた作品だ。 原作は読んでないので、ここではアニメの話しかできないが、正直アニメもよくできていた。あのアニメを観終わったあとの感想は大体三つに集約される。面白い、SF、そして「よく分からんが凄い」。で、この「よく分からんが凄い」が一番印象に残る。あのアニメには何かを「暗示」したり「比喩」したりしているように感じるのだが、完全に対応する内容を見つけるのが難しく、作者が結局どの立場で何を言いたいのか、この物語が何を伝えたいのか……blah blah blah、しかしそれこそが『人類は衰退しました』の魅力なのだ。あまりに明確に立場を示すと、かえって詰め込み式の意見表明になってしまい、思考を誘いにくい。『人類は衰退しました』のように「琵琶を抱えて半ば顔を隠す」感じがちょうどいい。 そして注目すべきは、『人類は衰退しました』の作者、田中ロミオである。 これが初めてで、唯一の田中ロミオ作品との出会いだった。その後彼が書いたものにはあまり興味が持てず、詳しくも知らなかったが、先日『和香様の座する世界』というゲームが発売され、ゲームの脚本欄でまたこの懐かしい名前を見た。田中ロミオ。 そしてこのゲームは、かつての『人類は衰退しました』を思い出させた。