『保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手』というゲームは、2020年末に発売された。当時の感想はただただ惜しいという一言に尽きる。内容に明らかな欠落があるのが一目でわかるからだ。共通ルートはあれだけ長く、引っ張り出したキャラもあれだけ多いのに、最終的なシナリオはヒロイン一人分しか用意されていない。他のキャラはまるでモブ同然だ……。
このゲームは半端な作りで端材を寄せ集めただけの状態で慌てて売り出したんじゃないか、と思っていたら、なんと2022年になって続編が出た。
『保健室のセンセーとゴスロリの校医』
そこでようやく気づいた。なんだ、このゲームも分巻発売だったのか。ただ会社が金欠すぎて、第二巻がまるまる二年近くも延びていただけだったのだ。
Navelという会社はかつて「Navel Honeybell」という別ブランドを立ち上げていた。設定だけはやたら壮大で、ちょっとロマンチックな雰囲気のゲームを専門に出すブランドだ。しかも一番アホらしいのは、そのゲームを全部俺が遊んでいたことだ。『飛翔する羊と真夏の花』だの、『Magical Dear』だの。で、これらのゲームには共通点がある。
設定がやたら面白くて、設定を見ただけで遊びたくなる 絵柄はそこそこ。萌え系路線で、とにかく人を惹きつける 序盤のシナリオが妙にスケール大きくて、この先の展開も絶対面白いと感じさせる 音楽がやたら良い。しかもどれも西又葵が関わっている 中盤から物語が崩壊し、最後は打ち切り そう、この二本とも打ち切りなのだ。最初はあんなに設定が魅力的だったのに、最後には見事なまでの打ち切りエンドをくらわされる。意味不明すぎて、人生を疑いたくなるレベルで。
ところが面白いことに、Navel Honeybellというブランドはすぐに消えた。潰れたのだ。だがNavel本体は潰れず、ロボット設定のゲームを一本売ったあと、Citrusという名前のブランドがひょっこり現れた。正直このブランドには最初気づかなかったが、そのデビュー作を見れば親会社がどこかは誰だって分かる。
で、今回の『保健室のセンセーとシャボン玉中毒の助手』はこのCitrusの第二作目にあたる。価格から見ると短そうなのに、遊んでみるとやたら長く感じる。そしてクリアしたあとに残ったのは、消えにくい後悔の念だった。
その「後悔」が何なのか、順を追って話していこう。