アニメ
最近のギャルゲー原作アニメはどれもこれも気まずい。気まずすぎて新作がほぼ出てこないレベルで、前に蒼の彼方のフォーリズムがギャルゲー原作と言えたくらいで、その後はワガママ high specがひとつあっただけ。しかもそっちはショートアニメだ。何年も前から噂されていた Island のアニメ化も音沙汰なし。そんな中、ようやく新しいギャルゲー原作アニメが来た。
ノラと皇女と野良猫ハート
『失われた未来を求めて』はTrumpleが開発し2010年に発売したギャルゲーだ。このゲームの最大の売りは美麗な画風だが、シナリオやその他の部分に致命的な欠陥が多すぎて、結局Trumpleは活動を停止した。要するに倒産である。まあ一作出して消えるギャルゲーメーカーは珍しくないし、Trumple一人がどうこうという話でもない。ゲームは後に中国語化版も出て、結構な人数が遊んだはずだ。大半は画風目当てだろうけど。
その後、『失われた未来を求めて』のアニメ化が発表されて……この知らせを聞いて私はわけがわからなかった。なぜか? すでに潰れた会社の作品をアニメ化して、いったい何がしたいんだ? 続編の販売で会社の魂でも呼び戻すつもりか? それとも別の理由があるのか?
『グリザイアの果実』という作品は、原作の時点でかなりヤバい存在だ。強烈な黒歴史、十分に詳細な心理描写、そしてふざけてない軍人要素。単純にゲームをクリアした後かなり衝撃を受けた。設定には色々と厳密でない部分もあるが、同系統の作品と比べればはるかにマシだし、キャラクターの性格づけもしっかりしている。主人公も十分に強気で、軟弱な男ではない。アニメ化と聞いて、プレイ済みの自分としては嬉しかった。もっと多くの人にこの作品を知ってもらうのは悪いことじゃない。
しかし『グリザイアの果実』は本質的にギャルゲーであり、ギャルゲー原作アニメは二つの難点に必ず直面する。一つは作画の再現、もう一つはシナリオの構成だ。前者については、アニメのスタッフを見てそれほど心配しなかった。総作画監督の渡辺明夫はそもそも『グリザイアの果実』の原画の一人で、ゲームのOPアニメにも参加している。自分で自分の絵を描くんだから、どこまで崩れるというのか? シナリオ構成はさらに壊れにくい。グリザイアの果実はヒロイン√同士の交錯点がまったくなく、衝突もない。むしろ無関係と言っていい。話は一人ずつ順番に語ればいい。一号を語ってから二号、二号から三号、せいぜい順番を決めるくらいだ。その後、iQIYIでアニメは全25話と確定したと聞いて、シナリオ構成については安心した。
「各ヒロインの個別√がどれも長いんだから、25話あれば十分描けるだろう」
実際、俺は甘すぎた。
まず、ゲームの話じゃない。ゲームについては前に書いた。今回はアニメの話だ。
近年の情勢を見ると、日本の深夜アニメ作品の中でギャルゲー原作ものはラノベや漫画原作の波にほぼ飲み込まれかけている。ギャルゲー制作会社の大半が金を持っていないからか、ギャルゲーは純粋なアニメのストーリーではなく18禁で売り上げを伸ばすものだからか、それとも……ギャルゲー原作アニメをうまく作るのが難しすぎるからか。
アニメ全体で大成功したギャルゲー原作は数えるほどしかなく、大半は尻切れトンボで終わって、視聴者は適当に見て次のクールにはもう忘れている、なんて程度。制作側がギャルゲー原作をうまく作れないというより、資金が限られた状況でギャルゲー原作を作るのがあまりにも難しいのだ。ギャルゲーをやったことのある人間なら分かるだろうが、ラノベや漫画との最大の違いは、分岐によって個別ルートのパラレルワールド的なストーリーに入れることだ。そしてあるヒロインの個別ルートでは、他のヒロインはほとんど存在しないに等しい。ギャルゲーには複数のヒロインがいて、それぞれにファンがいる。どのルートを走らせるか、どうルートを配置するか、これがもう大問題だ。おまけに作品によってはルート同士が衝突することもある。まず各ヒロインの物語をかき混ぜて筋を通すだけでも至難の業なのに、その混ぜた味のストーリーに合理性と論理性まで求めようものなら、なおさら難易度は跳ね上がる。ストーリーはゲームやアニメの一部分に過ぎないが、しかし確かに核だ。どんなに美麗な制作でも、ボケた脚本に当たれば興奮なんてできない。これが現段階のギャルゲー原作アニメの難しさなのである。
そこで党争を避けるため、脚本家たちは全力を尽くして、ゲームの共通ルートをアニメで長く長く、さらに長く引き伸ばす。最終話まで主人公が誰とくっつくのか明かさない。ゲームではとっくにやってるのに、だ。中にはもういっそ開き直って、タイムスリップを始め、複数の世界線を書き、主人公に各ヒロインと一発ずつやらせるものまである。おっと、ギャルゲー原作は本当の一発はやれない。際どいところが限界だ。抜きゲーからエロを取ったら、男からアレを取ったようなもので、戦闘力ゼロ。だからクールごとにギャルゲー原作が次々と爆死ラインに突っ伏し、前でお茶を飲んで萌えている作品を眺めてため息をつく。
だから……『大図書館の羊飼い』がアニメ化すると知った時、多くの人が思ったのは、これどうやって死ぬんだろう、だった。