妹控
ずいぶん前になるが、タイトルがツッコミどころ満載で話題になったゲームがある。
『お兄ちゃん 右手の使用を禁止します』
純粋な妹萌えゲーで、主人公には名前があるのに存在感が異常に薄い。妹たちが何人も主人公の周りを囲んで回る、OPがやたらと耳に残る作品だ。
要はキャッチーなネタがあったから成功したわけだ。
菊桜は美しい少女で、ピンクの髪に白い肌、そして甘い笑顔を持っている。
菊桜は自分の元の姓を覚えていない。両親が誰なのかさえ知らず、長い間祖母と一緒に暮らしてきた。
祖母と言っても、実は彼女を引き取っただけで、本当の血のつながった祖母ではない。菊桜は何度も祖母に尋ねた:
「私のパパとママはどこにいるの?」
祖母はいつも笑って菊桜の頭を撫でながら、ゆっくりと言う:
「まだ子供だからね、大きくなったら教えてあげるよ」
時は流れ、月日は矢のように過ぎ、気づけば菊桜は成人し、十八歳になっていた。
十八歳の誕生日、ケーキを食べ終えた後、祖母は菊桜に誕生日プレゼントをくれた。小さな箱は重く、何が入っているのか分からない。
菊桜は早く開けて見たくてたまらなかったが、祖母に止められた。
「ケーキを食べたら、夜に、自分の部屋でゆっくり見なさい」
祖母の表情にはある種のやるせなさが……何か言えないことがあるかのようだった。
菊桜はうなずいた……
…………
秋の夜、涼しい風が吹く中、菊桜は窓辺の机に座り、このパンドラの箱を開けた。
中には一冊のノートが……紙の層は少し黄ばんでいるが、表紙は厚く、中身は影響を受けていないようだ。
最初のページをめくると、写真が挟まっていた。写真にはピンクの髪の女性が赤ん坊を抱き、カメラに向かって微笑んでいる。
菊桜は悟った。ここに両親の情報があり、写真の人物が自分の母親なのだと。
さらに読み進めると、これは日記だと分かる……過去の物語が日記とともに菊桜の目の前に現れた。
去年の十月、北京で瘋牛居士竹牛逼が東四民芳レストランで灌腸をご馳走してくれた時、彼がこんな質問をしてきた。
「お前のブログ、今かなりイケてるよな?」 「イケてるも何もないわ。俺のブログでイケてるのは一箇所だけだ。」 「どこだ?」 「Googleで「妹ぱらだいす2」って検索してみろ。一番上に何が出るか見てみろ。」 「何を検索するって?一摩托……何だ?」 「日本語だよ!」
それから竹牛逼に「妹ぱらだいす2」を検索するよう指示して、一番上の結果を見た竹牛逼も思わずこう唸った。
「すげえすげえすげえ、マジすげえ。」 「だろ?俺のブログの唯一すごいところはこれだけだ。まあ、どう説明していいかはわからんがな。」
かつて神ゲーと呼ばれた作品がある。それが『お兄ちゃん 右手の使用を禁止します』だ。このゲームは、話題性、宣伝、売り文句、そしてシナリオや画風のいずれを取っても光るものがあった。日本語が分からない人でも、このタイトルを見ればいろいろ想像が膨らむというもの。あの魔性のOPも相まって、当時としては一つの高みに達していた。見た目はどう見ても抜きゲーなのだが……
実は抜きゲーじゃなくて純愛ものだと思う。しかも各ヒロインにルートと専用EDまで用意されてる。抜きゲーにそんな待遇はない……
『お兄ちゃん 右手の使用を禁止します』を作ったのは Galette。妹控げー専門の会社の子ブランドなのだが、この会社は……なんというか、わりと不運だ。
まず分かるのは Galette と GLace という二つのブランドだ。Galette は妹ゲーを出すための専門ブランドで、GLace はシナリオ重視のゲームを出すためのブランド。ゲームの内容から見ると、会社の重心はどうやら後者にあるらしい。何しろ抜きゲーを作るのは、金を稼ぐために仕方なくやっている苦肉の策にすぎないんだから。誰だって高尚なのがやりたいだろ……
でもこの GLace が出したゲーム、ちょっと悲惨なんだよな……
前に出た「恋神」とかいうやつはやってないから知らん。俺がやってみた『Timepiece Ensemble』は、ひと言でいうとクソだった。その後 GLace が新作『天ノ空レトロスペクト』を大々的に宣伝してたんで、やってみた感想は……まあ悪くない。序盤の設定はなかなか面白いんだが、ゲーム後半は問題だらけ。もっと悲惨なのは、俺はまだマシだと思ってるのに日本人はそう思わなかったらしく、批評空間でボロクソに叩かれて地雷扱い。その後このブランドは完全に終わったらしく、別名義で細々と続けるしかなくなって、『甘夏アドゥレセンス』を出した。このゲームも……多少は取り柄があるものの、全体的にはやっぱりクソだった……
つまり、GLaceというブランドは評判を築くことに注力したシナリオ重視の作品を作っているはずなのに、最初から今に至るまで、たとえ看板を変えても、出したゲームはすべて地雷と叩かれている。まったく評判なんてものはない。
では GLace は名作を出したことがあるのか? ある! 『1/2 summer』だ!
だが残念なことに、この『1/2 summer』の発売は Alcot のブランドに割り当てられてしまった。後に GLace に戻されたものの、もう誰もこれが GLace 作品だと覚えていない。
だから業界の大半の評判では、GLace のゲーム=地雷……
エロゲーはそんなにたくさんやってないけど、それなりには触れてきた。価値があるなと思う作品もあれば、ただのゴミだと思う作品もかなりある。
でもそのゴミの大半には法則性があって、たいていは企画かシナリオが大きな話題を狙って、ワケのわからない展開を入れて虎の威を借る狐状態になってるパターンだ。本当にある嗜好を救おうとして作られた作品は、だいたい「くそったれ(坑爹)」な内容にはならない。たとえば妹控向けの作品とか。
妹控向けの作品は立ち位置が純粋で、テンポもシンプル明了。ほとんどは主人公を兄、ヒロインを妹、あるいは「妹たち」に設定して、いい感じにイチャイチャさせておけばそれで終わり。たまに濃いめのやつがあっても宗旨から外れない。つまり「妹の兄への愛」を表現する。どんなに歪んでても、それは愛じゃん?兄の首を切って解剖するのも愛の表現じゃん?ヤンデレだってデレの一種だし。
だから昔は「妹控作品をやる」のに地雷を踏むなんて絶対ありえないと思ってた。せいぜい頭が弱いか、バカっぽく見えるか、少なくとも不快にはならないでしょ?システムがクソでも、展開がアホでも、妹に罪はない。制作者が可愛い妹を届けたいという気持ちは間違ってないでしょ?
俺は妹控じゃないけど、妹控作品には慰めと温かさを見つけられる。なにせ向こうは真面目に飴を配ってくれている。妹控同士は世俗への抵抗と相互理解で満ちていて、毎日お互いを傷つけ合う一部のオタクとは全然違う。愛にあふれている。有名ネットインフルエンサー「疯牛居士(狂牛居士)」の言葉を借りれば、
「妹控なやつは、みんな友達。」
もちろん、この世に永遠の友達なんていない。『ちっちゃな花嫁』に出会うまでは。
雪碧は王という姓で、家の一人息子だ。
ここでいう「一人息子」というのは別に他の意味ではなく、この家には……男の子が彼しかいないということだ。
王雪碧の母親は骨董雑貨店を営んでいるが、とにかくよく産む人で、王雪碧という男の子を産んだ後も、さらに四人の女の子を続けて産んだ。王朝日、王沙夜、王真昼、王弥生。四人の娘の性格はそれぞれ違うが、一つだけ共通点がある。それは母親の遺伝子を受け継いでいること、そして一人として可愛くない子がいないことだ。
もちろん王雪碧は唯一の男の子、つまり家族の中で唯一の兄として、見た目はね、ちょっと残念な感じだ。母親の過度な甘やかしのせいか、最近の王雪碧のウエストはまた一回り太くなって、もうすぐベルトを特注しなければならなくなりそうだ。
クラスメイトはみんな王雪碧を「デブ」と呼ぶが、王雪碧は全く気にしていない。彼は家の長男で唯一の男性、さらにもっと重要なことに、四人の美しい妹がいて、もっともっともっと重要なことに、四人の美しい妹たちはみんな彼のことが好きなのだ。
王雪碧は他の女性と接したことがない。家に四人の大美人がいるのに、わざわざ外に出て気を揉む必要があるか?だから女子クラスメイトの軽蔑の視線には、王雪碧は蔑むような目つきで応えるのだった。
「デブ、脂ぎってて気持ち悪い」 「妹コンの噂があるらしいよ、毎日妹たちとべったりしてるって」 「この前、このデブの隣に住む林賢ってやつが、このデブが妹たちと交代でキスしてるのを見たって言ってたよ!考えただけで吐きそう」 「うわマジで!」
ぺちゃくちゃと喋る女性たちも、この爆弾発言には耐えきれず、黄色い声がさらに耳障りに響いた。
ちょっと前、気分が落ち込んでたから、気分が上がるゲームでもやろうと思って、YouTubeで「春季限定ポコ・ア・ポコ!」のOPを見たんだよ。正確に言うと、このOPにはめちゃくちゃ聞き覚えがあって、買ったAngle Noteの音楽集CDにこの曲が入ってたから何度も聞いてたんだけど、まさかこのゲームのOPだとは知らなかった。
ゲームのOPはめっちゃ切ない。主人公の大事な人が死んで、立ち直れないってのが見て取れる。でも評価を調べたら、みんな揃って「これは楽しい作品だ」って大盛り上がりしてる。
まあいいや、ちょうど笑いが欲しかったところだし、妹のCVの名前を見てやることにした。
で、どうだったかっていうと……
このゲームはOPみたいに切ないのか、それともネットの評価通り楽しいのか。
どっちも間違いじゃないんだよな。
お兄ちゃんティーチャー ~秘密の授業を希望します!はお兄ちゃん 右手の使用を禁止します!の最新作で、相変わらず兄一人に妹がわんさかという設定だ。もちろん同じ妹控作品とはいえ、今作のキャラはまったく別物で、せいぜい精神的続編ってところか……
世界は豊かで彩りに満ちている。どんな闇や不条理があろうとも、人間性の美しさを讃える気持ちは止められない。
蕭煌奇に『你是我的眼』という歌がある。盲目の男が恋人の支えのもと、恋人の目を通して世界を見つめるという歌だ。自分は見えなくても、恋人がそばにいてくれれば、色とりどりの世界は今なお瞳に映り込む。
君は僕の目、季節の移ろいを教えてくれる。
君は僕の目、混み合う人波を抜けさせてくれる。
君は僕の目、広大な書物の海を読ませてくれる。
君が僕の目だから、この世界がすぐ目の前にあると分かる。
歌詞は胸を打ち、涙がこぼれる……
似たような話はよくある。今日語るのは、また別の心温まる物語だ。