恋する気持ちのかさねかた

『恋する気持ちのかさねかた ~かさねた想いをずっと~』レビュー

去年の11月ごろだったか、音符社こと ensemble が『恋する気持ちのかさねかた』を出した。当時、俺もこのゲームはなかなかいいと思った。話はまあアレだが、とにかくキャラが多い。その中に一人くらいは好みのやつがいるだろ、そいつで一本やるのも悪くない。 で、周知の通り日本のメーカーは搾取の天才で、評判が良ければ即座に続編だの FD だのを出してまた金を巻き上げる。Galgame だろうが素人図鑑7 だろうが、売れると分かればすぐさま売り続ける。この点にかけては日本メーカーの節操は Google よりも低い。なので音符社 ensemble は発売から二ヶ月も経たないうちに『恋する気持ちのかさねかた』の FD を出すと発表した。FD のタイトルもいかにも FD で、『恋する気持ちのかさねかた ~かさねた想いをずっと~』、永遠に重なる想い、みたいな……先月ようやく発売された。 ゲームは大きくない、2G 程度だ。実は最初、FD ってのは前日談だの後日談だの、あるいは伏線を掘るだのがあるもんだと思ってた。多分俺がやってきたのが車輪の国や灰色の果実シリーズだったからだろう。だが実際のところ FD の本質は AfterStory で、過去の話に無理やり息を吹き込むだけのものだ。キャラ売りのゲームにとって FD なんてのはパコパコの飾りにすぎない。俺も覚悟を決めて適当に見るつもりだった。だが、思いの外この FD には予想外のものがあった。

『恋する気持ちのかさねかた』レビュー

ギャルゲーをたくさんやっていると、いつしか法則めいたものが見えてくる。 たとえば多くのギャルゲーの恋愛描写はだいたい同じだ。ヒロインが主人公に好意を抱いても、それは心の内に溜め込まれるだけ。言い出そうとするたびに主人公はとぼけ、ヒロインは奥ゆかしく構え、主人公は相変わらずうろちょろする。そして特定のイベントが訪れて、主人公は自分がヒロインを愛していることに気づき、告白し、デートし、エッチして、END。 この流れはかなり王道だし、別に悪くもない。だが塩味の豆腐脳がうまくても、五仁入り月餅が美味くても、毎年毎月毎日食っていればさすがに飽きる。そこで一部のエロゲーメーカーは、いろんな奇抜な仕掛けを始めた。ヒロインが人間じゃなくて神様だったり、ヒロインが虐殺されたり、設定が未来だったり過去だったり、こうタイムスリップしたり、ああ未来を変えたり。 そんなことを繰り返すうち、Girl and Love Game の略であるギャルゲーという言葉も、だんだん名前負けするようになった。海外勢がいつもこれを Visual Novel と呼ぶのも無理はない。実際、物語そのものが小説と化している作品もある。なのにそういう作品でさえ、パッケージには18禁ゲームのシールが貼られ、ただ集客のために、いかにも場違いな「恋愛要素」を無理やり詰め込み、詰め込みながらエロシーンも入れて、少しでも多くのプレイヤー、少なくともシナリオなんか気にせず抜きたいだけの連中に、売上をちょっとでも貢献してもらおうと願っている。