感想
今年はコロナのせいなのか、ギャルゲーの作品数が急減していて、しかも老舗ブランドが制作への熱意をどんどん失っていく。例を挙げるならHOOKSOFTだ。今年のHOOKSOFTとSMEEは新作の企画をかなり出してきたけど……その新作は正直一言では言い表せない出来だった。
例えばHookの『ゆびさき』は完全にSMEEの作品って感じで、SMEEの新作はむしろMoonstone Cherryっぽい。ただこの2本(まだ発売してないHookのアレも含めて)は、宣伝のスタイルから公式サイトの紹介文まで、驚くほど似通っている。はっきり言えば、この3本は「ものすごく露骨に量産ラインの痕跡がある」。
俺は昔ゆずソフトの作品を批判した時から「量産品」に強い嫌悪感を示してきた。そりゃ「量産ライン」は作業効率を上げ、コストを下げ、発売速度を速め、収益を伸ばせるだろう。でもゲームは冷たい供給品じゃない。物語性と文化を伝える媒体なんだよ。そんなものを量産ラインで作れば、コストは下がり、速度は上がり、収益も伸びるかもしれないが、ゲームそのものが当然つまらなくなる。
日系のアニメ・ゲーム作品でよく見るパターンといえば、主人公の出自が不明で、異端者扱いされて叩かれ、最後には実は救世主だったと明かされる展開だ。もちろん日本のアニメ・ゲームでは「救世主」なんて呼び方はあまりしなくて、たいていは「神様」と言う。正直に言うと、最初に日本のアニメ・ゲームを見たとき、「神様」という呼び方を聞くたびに敬意のようなものを感じていた。だって神様だぞ、全知全能の。きっと極めて優秀な頭脳と、十分なカリスマと、我々凡人が足元にも及ばない長所を備えていて、高みの見物でこちらを「凡人」と呼び、Die Mortal!と叫んで熱い深呼吸をかますんだろうな、と。
でもその後、アニメ・ゲームに「神様」が溢れかえっているのを見て、ようやく悟った。なるほど、いわゆる「神様」は日本ではシェアサイクル並みに価値がなく、神を祀る神社は日本人自身のツッコミによれば公衆トイレ並みにありふれているらしい(実際、日本の公衆トイレは全然ありふれてなんかいなくて、俺はよく駅のトイレに行く羽目になるけどな)。物語に設定された「神様」に至っては、まったく相手にする必要がない。だって大半のアニメ・ゲームの「神様」は普通の人間よりポンコツだもの。
そうしてまた「神様」を冠したゲームが登場した。おなじみ Lump of Sugar から。
FAVORITE のゲームと聞いてまず浮かぶ印象は、文芸的で、幻想的で、そしてやたら長い、というところだ。特に前作の『さくら、もゆ。』なんかは「全部が無駄話」とまでは言わないが、「くどくて長い」と言われても仕方ない出来だった。文章そのものに問題があるわけじゃないんだが、あの「日系」の「堂々巡り」がとにかく多すぎる。真剣に二人の会話を30分も眺めているのに話がこれっぽっちも進まない、なんてことがざらにあって、すぐ眠気に襲われる。以前の FAVORITE のゲームにもそういう特徴はあったけど、ここまで酷くはなかった。だからこそ俺は『いろとりどりのセカイ』や『アストラエアの白き永遠』シリーズはクリアできたのに、『さくら、もゆ。』だけはどうしても攻略を終えられなかったのだ。
しかも FAVORITE という会社はどこかミステリアスで、ゲームのリリースペースはめちゃくちゃ遅い。ただ、後になって分かったんだが、この会社の傘下には ωstar という「分社会社」があって、その ωstar がどんな「大作」を出しているかは、分かる人には分かるだろう。ああいう「大作」の人気と売上を考えれば、FAVORITE の収入も悪くはないはずで、少なくとも倒産まではまだ distance がある。だがどうやら FAVORITE はそんな座して食うだけの状況に満足できず、さらなる発展を目指したらしい。2021年にひっそりと長年使ってきた旧ロゴを捨て、より分かりやすい新商標に変更。さらにその下にこれまた分かりやすいスローガン「The Next Generation」を掲げ、同時に新作『ハッピーライヴ ショウアップ!』を発表した。この新作には従来の「F社」ファンの多くが困惑した。司田はメイン絵師じゃなくなったし、シナリオも企画も漆原雪人の名前がない。設定もあらすじもどう見ても「普通」で、女の子たちが舞台でパフォーマンスをしたいというだけの話なのだ。
こんな変化に失望した古参ファンも多いだろうが、同時に好奇の目も向けられた。新世代を掲げる FAVORITE は、本当にこのまま凡庸になっていくのか?
最近のKeyはどうかしてるのか、急にいろんな企画を放出し始めた。ほとんどが「短くて手軽」な小品作で、しかも不思議なことにKeyの「看板娘」こと麻枝准の姿がどこにも見えない。アニメでまた爆死してから本当にケツが裂けて引退したのか知らないが、ともかくKeyにとってはいいことだ。俺は前から麻枝准に腹を立てていたんだからな。あいつの書く話はどう見てもワンパターンで、まず滅茶苦茶惹きつける展開と面白い設定を用意して、設定が広がったところで日常パートに水を注入し始め、最後に時間が足りなくなって堪えきれず、ジェットコースターみたいに急に超展開して雑に終わらせる。尻切れトンボを見て発狂するKeyファンが無能に怒り狂う、あの感じはAngelBeatsやシャーロットを見たことのある諸氏ならきっと分かるはずだ。
幸いなことに最近のKeyの企画にクソ野郎の麻枝准はもういない~最高だぜ。今月は最初の作品も発表されて、見た瞬間にイッた。タイトルは『Loopers』、脚本は龍騎士07。俺も龍騎士はそんなに好きじゃないが、それでもクソ野郎の麻枝准よりはマシだろ!しかもこのゲームの絵師がマジで気合入ってて、俺は即行った。
で、このゲームなんだが……プレイした後、喉に小骨が刺さったみたいで、言わずにはいられない。
このタイトルを見て、まずは各種掲示板の喧嘩ルールに倣って「失敗」の定義から始めよう。
周知の通り、ギャルゲーの開発は「企画」から「制作」までの過程を経る。つまり「企画」こそがギャルゲーの目標であり、そのゲームの方向性を決めるものだ。
この理解に従えば、制作が「企画」と完全に逆行していたり、制作そのものが「企画」の当初の目標を達成できていなかったりするなら、そのゲームは「失敗」と見なせる。
というわけで今日は、そんな「失敗」したゲームの話をしよう。
近年、ギャルゲーの宣伝が「不誠実」になっていく問題がどんどん深刻化してる。
要はこういうことだ。あるゲームが「純愛」だと名乗っていたら、警戒したほうがいい。90% の確率で純愛じゃない。
「すごく平淡な物語です」なんて言われたら、これまた警戒必須だ。絶対に平淡じゃない。
百合だと謳っておいて、実はヒロインが男ども専用の肉便器だった、なんてのもザラにある。
「好評発売中」と書いてあって、実はとっくに叩かれまくってる、なんてのもある。
今日はそんな中で、あらゆる面から見て正直すぎるほど正直なゲームの話をしよう。マジで、わしはゲームを何年もやってきたが、こんなに正直なゲームは初めてだ。
CUBE の『海と雪のシアンブルー』である。
日本人は物語を語るのが好きだ。特に伝説の話が好き。中国の伝説がだいたい「一定の枠組みに沿う」のに対し、日本の伝説の多くはめちゃくちゃ自由奔放だ。これは日本の「八百万の神」の思想と関係していて、万物が神様、誰だって小さなカミサマなわけだ。しかも日本の神話には「仏教」の味がするものも多く、たいてい「輪廻」の思想を踏襲している。神様にまつわる伝説を語り、その伝説が輪廻にも関わり、話がどう転んでも最終的には始まりと終わりがつながった円になる。そうやって読者をハッとさせようという狙いだ。
でもこのパターンも何度もやられると飽きる。少なくとも俺は飽きた。俺はこういう筋書きをたいてい「人語を話さない日系の感傷的な物語」と呼んでいる。
一、
先日、うちの職場でそこそこハードな残業があった。
内容自体は大したことじゃない。システムのアップグレードで、俺たちの仕事はメインシステムのアップグレードが終わった後に、それと連携するソフトやインターフェースの動作確認をするだけ。終わればもうお役御免だ。
見た目はすごく簡単そうなんだが、問題はメインシステムのアップグレードが必ず深夜に行われて、しかも何時間もかかること。
おおよその見込みでは午前2時にメインシステムのアップグレードが完了、俺たち連携側は午前2時以降にようやくテストを始められる。終わる頃にはだいたい午前3時か4時だ。
最初の計画は土曜にアップグレード、日曜に利用者が少ないのをいいことにテストして、問題を見つけて潰して、月曜を迎えるはずだった。
ところが問題はすぐに来た。土曜のアップグレードはめちゃくちゃ順調じゃなかった。
以前大絶賛していた『アオナツライン』が、1年あまりの時を経て精神続編を出した。それが『ユキイロサイン』だ。
なぜ「精神続編」かというと、脚本も絵師も同じなのに制作会社が変わっていて、wonder foolという会社になっているからだ。クソみたいな戯画を捨てたことには百手を挙げて賛成だが、このwonder foolも決して良い鳥ではない。これまでに出したクソゲーを見てみろよ、どれも誰も欲しがらない端切れを適当に発売しているだけの感じがする。
ともあれ、このゲームには期待していた。『アオナツライン』がヤバかったから、これも当然ヤバいだろうと。オタク連中はこのゲームを通じて再び自分の青春を感じたいと切望していたのだ(実際には存在しないけれど)。
ところが、発売後にプレイしてみて、残念ながらこう言わざるを得ない。このゲームは大多数が求めていたものを提供してくれなかった、と。
ルクルが2年ぶりに放った新作『冥契のルペルカリア』。設定が公開された当初から、正直めちゃくちゃ……嫌な予感しかしなかった。
まずタイトルからして人が死にそうな雰囲気満載だし、キャラクター設定には『紙の上の魔法使い』の要素がちらつく。これは過去作の食い扶持にあやかろうとしてるんじゃないかと疑わざるを得ない。とはいえ、ゲームの紹介文やら何やらを見ても、『冥契のルペルカリア』と『紙の上の魔法使い』の関係は明言されていない。あるのは「それっぽい」グレーゾーンの演出だけ。CVも合ってないし、前の魔女は小倉結衣だったはずで、メイ姉じゃない。あらすじを読むと舞台演劇がテーマらしく、興味はさらに削がれた。
でも脚本の腕は確かだし、去年はまともにシナリオが通るゲームがほとんどなかった。ルクルを信じてプレイしてみたものの、道中は波乱万丈。エロゲー機を一度失くし、一度壊し、ようやく最後まで辿り着いた。うーん……何というか、品質は想定内。ただ、がっかりした部分もある。まあ、ざっと語っていこう。
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