種まきの唄

『たねつみの歌』レビュー

六歳で母親を亡くした日本人女子中学生・美玲(みすず)は、もうすぐ十六歳の誕生日を迎えようとしていた。そして誕生日の夜、年齢の近い女の子が窓を叩く。彼女は「陽子」と名乗り、美玲の母親だと言う。十六歳の頃からタイムスリップしてきたのだ。美玲は母親にもう一度会いたいと願ってはいたが、目の前にいる十六歳の少女を「母親」という言葉と結びつけるのはやはり難しい。 この「母親」と一緒に家の周りを一周して懐かしさに浸ったあと、陽子は美玲を誘う。一緒に冒険に出かけよう、と。 美玲はなぜか、自分は行くべきなのだろうと感じ、わけもわからないまま陽子について家を出る。二人は長い洞窟を抜け、なんと再び時空を超えて十数年後の世界へやってくる。陽子が電話をかけると、まるで約束していたかのように、夫婦と同い年くらいの女の子が現れる。少女の名は小紬(ツムギ)。この小紬は、美玲が未来で産んだ娘なのだ。つまり小紬を連れて美玲に会いに来たのは……何年も後に家庭を持ち結婚した、自分自身だった。