桐谷華
正直、最初はHARUKAZEって会社もう終わったのかと思ってた。これからは全部TokyoToonの全年齢作品に転換するんだろうな、と。まさかまた生き返って、しかも新作を引っさげて戻ってくるとは思わなかった。
タイトルは「Monkeys!¡」。しかも後ろに意味深な「二重逆感嘆符」が付いてる。加えてゲームの背景設定もあって、今回は女装ネタをやるんだな、とピンと来た。
女装作品にはあまり触れてこなかった。たいていのパターンは同じで、花を咲かせられるものは本当に少ない。印象に残っているのは昔の「まりあ†ほりっく」くらいだし、それも女装とはあんまり関係ないような気がする。
俺は昔からHARUKAZEの「ネタを振る」力には感心していた。今回も期待でいっぱいだ。新しいサプライズを期待したい。
ただ、実際にやってみた感想を言うと、この作品がもたらした「サプライズ」は多かった。でも「失望」の方がもっと多かった。
去年の今頃だったか……あるゲームが発売された……『9-nine- ここのつここのかここのいろ』だ。このゲーム、正直当時は評価してなかった。そもそも評価する要素が少ない。物語はほぼ進展せず、設定を説明しただけだったからだ。
実を言うとあれはシリーズの始まりに過ぎない。この「9nine」というゲームは分冊販売の企画で、ざっと推測するにヒロインが三人いて、各ヒロインごとに一巻、最低三巻はあるはずだ。
第一巻の話はここで書いたとおり、主人公が能力者同士の戦いに巻き込まれるというもの。悪役の能力者もいれば、主人公やヒロインのような正義の能力者もいる。人が人を殺せば、それを止める者もいる……
しかし第一巻では能力者連続殺人犯が誰なのか全く分からず、尻切れトンボで終わった。だから一年ぶりに第二巻がまた来たわけだ。
第二巻のメインヒロインは主人公の妹、新海天。だからゲームタイトルも彼女の名前にちなんだ『そらいろそらうたそらのおと』になっている。
『枯れない世界と終わる花』は、最初はすごく矛盾した印象を受けた作品だった。期待もあり、少し怖さもあった。
期待したのは設定が面白いからだ。何の話なのかほとんど見えてこないのに、作画もキャラデザも、CVまで心地よく感じられた。
少し怖かったのは企画とシナリオが雪仁だから。この雪仁って誰か? 彼の他の作品は知らなくても、一つだけ確実に知ってるやつがある……
ネコぱら、英語名は Neko Para。中国語名は知らないが、あだ名なら知ってる。「艹猫」、Steamでバカ売れしてるやつだ。
しかも彼は中国出身の絵師さよりと一緒に抜きゲーを二本も作ってる。そんなシナリオライターが突然、自分の新作を出して、設定もなんか意識高い系っぽいとなれば、簡単に地雷じゃないと信じられるわけがない。
でも先月このゲームの体験版を遊んで、疑問はさらに深まった。体験版でもほとんど何も説明されてなくて、このゲームが何を言いたいのか、テーマは何なのか、やっぱりわからなかった……世界観は架空っぽい。こういう架空の話はゲームではそんなに多くないけど、日本のアニメには毎回ある。最近だと『壊れた世界とガラスの花』。偶然このゲームのタイトルもフォーマットが似ていて、余計に疑念が深まった。最後までイキり倒して、結局何も言えてないんじゃないかと……
もちろん遊んだ後は、そんな疑念も消えた。むしろ、このゲームを間違って捉えていた。単なる「文芸イキり」ゲーじゃなくて、むしろ童話に近い。
そう、童話。子供が寝る前に母親が読み聞かせる「Long Long Ago」「昔から」「むかしむかし」のあの話……
だからこのゲームの世界と風景がこんなに「童話」的なのも無理はない。
『嫁探しが捗りすぎてヤバい』のタイトル、どう訳したらいいのか全然わからない。中に「ヤバい」が入ってるからだ。とある大学の日本語学科の教授が書いた解説記事によると、やばいをカタカナで書くのは日本の若者のトレンドで、これには相反する意味があるらしい。やばい本来の意味は「まずい」なのに、ヤバいになると badass みたいに正反対の両方の意味を兼ねるようになって、「気持ちよすぎてまずい」って感じになる。実際、このやばいを「すげえ」と訳したほうが合ってると思う。いいことが起きても悪いことが起きても「これすげえわ」って言えるわけだから。
だから『嫁探しが捗りすぎてヤバい』は最初「嫁探しが順調すぎてすげえことになってる」くらいの意味だろうと思ってたんだけど、実際に遊んでみたら考えすぎだった。このやばいはそう簡単に結論づけないほうがいい。