水増し

『こいのす☆イチャコライズ』レビュー

子供の頃、父は俺の宿題を厳しくチェックしていた。中でも一番厳しかったのが作文だ。 「チェック」って何かというと、俺が作文を書いたらまず父に見せて、ダメ出しをもらい、父が納得して、まあまあ直ったなという状態になってからじゃないと提出できなかった。 理不尽だろ? めちゃくちゃ家長的なやり方だろ? でも物事には両面あって、父自身が文章を書くのが割と上手かったおかげで、もらった意見の多くは役に立った。 一番印象に残っているのは记叙文についてで、父はよく俺の書いたものを「つまらない」とバッサリ言った。つまり読者が続きを読みたいと思わないってことだ。「話には起伏があるべきだし、場合によってはサスペンスも必要だ。そうじゃないと読んでもらえないぞ」と。 「でも俺が覚えてる出来事自体が退屈なんだよ」——確かおばあさんに席を譲る話を書いたんだったと思う。『記一件有意义的事』ってやつ。 「話を組み立てればいいじゃないか。たとえばおばあさんに席を譲るんだけど、最初は頑なに座ろうとしない。後になって、自分は年寄り扱いされるのが嫌だったと説明する、とか……」 「でもそれって完全に作り話じゃん……」 「お前が書いてる席譲りの話自体、作り話じゃないのか? お前、席なんて譲ったことあるのか?」 「………………」