ゲーム
かつてAsa Projectは中国語圏のコミュニティで「顔芸社」と呼ばれていた。理由はキャラのあの話題になった顔芸表情。そして節操のないお笑い恋愛劇、その頂点が『恋愛0キロメートル』だ。
だがAsa Project自身はどうやらその評価に満足していなかったらしく、以降の作品ではあの『間接恋愛』を除いて、少しずつ「顔芸」の比率を下げていった。最初は全キャラにあったのが、次は一人だけになり、その後は……ほとんど顔芸を見かけなくなった。俺個人としては、Asa Projectは「恋愛」をいろんな定義で表現する純愛会社という自己認識なんだと思う。
たとえば一作ごとに新しい「恋愛」の形を考えて、それをタイトルにそのまま書いてくる。間接恋愛、劈腿恋愛、三角恋愛、恋愛争奪、バイト恋愛、脇役恋愛……などなど。もうタイトルに「恋愛」の二文字を先に書いて、後から中身を補ってるんじゃないかとすら思う。
一年ちょっとぶりにAsa Projectの新作が出た。今回のテーマは「王様恋愛」。公式紹介は「主人公は裕福な御曹司で、毎日王様のような生活を送っている」。本作の特徴は「男方から主動的に仕掛ける恋愛」——パッと見は「俺様社長に愛されて」な脚本かと思いきや、ゲームを終えてみると……どうやら全然そういう話じゃなかった。
このゲームはかなり前から注目していたが、買わなかった。理由は例のアレな国産クラウドファンディング騒動のせいだ。摩点のトップページを開けば、半分以上が「感動的な国産ギャルゲー大作」の鋭意開発中で埋め尽くされている。そんなの、完成するかどうか分かったもんじゃない。もしかしたらもう逃げ出してるかもしれないだろ?
その後、このゲームが発売されて、しかも冬セールで値引きまでされた。なら買って遊んでみるか、と。ゲームのボリュームは思っていたよりずっと長く、遊び終えてみると、さすがは日本に留学したことのある制作チームだなと感慨深い。あらゆる面で従来の国産ギャルゲーよりずっと良く出来ていて、かなり優秀な部分も多い。少なくとも「正しい」方向には進んでいる。主に以下の点について個別に語っていく。本作はネタバレすると楽しさが半分失われるので、できるだけネタバレしない前提で書いていく:
2年ぶり、年始からの一連の予熱を経て、日本のギャルゲー界の雄・ゆずソフトがついに今年のフルプライスR18正統派新作『ライムライト・レモネードジャム』を世に出した。Jamはジャムにもバンドのライブにもかかる言葉で、中国語名はだいたい「スポットライトとレモネードの演出」といったところ。全員ちょっと予想外だったのが、今回まさかのガールズバンドものだということだ。
発表から発売までゆずらしさ全開で、間隔も空かず、しかも今どきの「超大作」ならまず出さないオンライン無料体験版のダウンロードまで先行公開してくれた。ここはゆずに感謝したい。オフライン体験会もやらなければ、KOLを飛行機とホテル付きで呼んで事前にヨイショさせることもせず、淡々と伝統的な宣伝を進め、発売も当然延期なし。成熟したプロジェクト管理の香りがぷんぷんする。
単刀直入に言うと、このゲームを買ったのも、プレイしたのも、ゲームそのものとは……それほど関係ない?
まず前作はプレイ済みだ。はっきり言えば、1作目の『存在しない夏』だけはちゃんと理解できた。物語の語り口はかなり奇妙で、非常に作為的な「トリック描写」があり、「二次元臭」たっぷりの言葉遣いもあって、オタク歴の長い俺でも「においがすごい」と叫びたくなるほどだった。だが、このゲームは珍しく後半で、今でも印象に残っている美しい文章を書いていた。だからこのゲームはなかなか良いと思っている。
ところが2作目で、物語はおかしくなり始める。1作目が高評価だったせいか、作者が調子に乗って、1作目にあった「かす」も正しいと思い込んだのか、さらに力を入れてきた。だから2作目は俺からすると非常に奇妙に見えるものになっている。内面には中国式の要素がたくさんあるのに、言葉遣いは中国人によくあるパターンではない。だから読んでいてすごく変で、純中国式の楽器で西海岸のギャングラップを演奏しているような感じだ。さまざまな大侠が股間からピストルを取り出して撃ち合い、普段は謎の薬を売っている……そんな雰囲気。
日オタ文化に触れたばかりの若い子たちは、よく勘違いして妙なフィルターをかけてしまいがちだ。日本人は仕事が丁寧で、専門的で、信頼できて、地に足がついている、と。
その理由の大半は、日本のあの融通の利かなさや、巷に溢れる「仙人」たち、そしてそこら中にいるマイナー趣味集団の健全な発展にある。確かにレトロなサブカルチャーの愛好家集団は日本で見つかるし、そういう連中が作った考証ガチな資料もある……
だが物事には必ず裏がある。日本人は金を巻き上げるのも平気でやる、節操もへったくれもない。
Amusecraft の下には大量のブランドがあるが、その大半はトイレットペーパーのように使ったら捨てられる。中の CRYSTALiA というブランドも、設立当初から KATANA という新企画を立ち上げるためだけに存在していて、テーマは未来感のある世界で「刀」と「武士」の物語を描くこと。テクノロジー感を強調するため、「武士刀」はスマホみたいな設定にされていて、独自の OS を積み、hack すらできるハイテク産物になっている。ゲーム内ではこの設定を補完するために金髪女のルートまで追加されていて、そのルートには「武士」も「決闘」もない。あるのは「おりかみ」なる内蔵チップ搭載のハイテク武士刀の開発と制御の話だけだ。
久しぶりのブログ更新。主な理由はやる気が出ないから。書いても時間の無駄だし。あと一度「あまり書かない」状態に入ると慣性が働いて、書かないほど書きたくなくなる。そのまま怠惰な犬としてダラダラしていた。
商業記事を書き終えた直後、何かまた書こうかなと思ってスクショを整理していたら、自分がまだ感想を書いていないギャルゲーがあることに気づいた。そこで不思議なことが起きた。自分がそのゲームを遊んだことすらほとんど覚えていないのだ。話の内容も思い出せない。先月の紫社のあの異世界転生小品の主人公みたいに、過去に起きたことを完全に忘れている……
そのゲームは『ジュエリー・ナイツ・アルカディア -The ends of the world-』。以前そこそこ良い大作だと思った『ジュエリー・ハーツ・アカデミア』の続編……?
当時依頼してくれた編集者とのチャット履歴やら何やらのスクショのおかげで、ようやくどんな内容だったか思い出してきた。思い出したらちょっと笑えてきた。
六歳で母親を亡くした日本人女子中学生・美玲(みすず)は、もうすぐ十六歳の誕生日を迎えようとしていた。そして誕生日の夜、年齢の近い女の子が窓を叩く。彼女は「陽子」と名乗り、美玲の母親だと言う。十六歳の頃からタイムスリップしてきたのだ。美玲は母親にもう一度会いたいと願ってはいたが、目の前にいる十六歳の少女を「母親」という言葉と結びつけるのはやはり難しい。
この「母親」と一緒に家の周りを一周して懐かしさに浸ったあと、陽子は美玲を誘う。一緒に冒険に出かけよう、と。
美玲はなぜか、自分は行くべきなのだろうと感じ、わけもわからないまま陽子について家を出る。二人は長い洞窟を抜け、なんと再び時空を超えて十数年後の世界へやってくる。陽子が電話をかけると、まるで約束していたかのように、夫婦と同い年くらいの女の子が現れる。少女の名は小紬(ツムギ)。この小紬は、美玲が未来で産んだ娘なのだ。つまり小紬を連れて美玲に会いに来たのは……何年も後に家庭を持ち結婚した、自分自身だった。
昔、自分で「これはイケてるだろ」と思ったアイデアがある。今をときめく「フェミナチ」をヒロインに据えたギャルゲーを作る、というものだ。これなら話題性も抜群だし、衝突も十分すぎるほどある。
俺は女性の平等には反対しない人間だが、「フェミニズム」と「フェミナチ」は別物だと思っている。前者は平等な権利を求める声で、後者は過激派による前者の破壊活動だ。ネット環境がますます分断される今、後者の台頭と声量は前者を追い越しつつある。
はっきり言えば、前者はまともな人間、後者はただのバカだ。バカをギャルゲーに入れて、できれば抜きゲーにして、思う存分犯す。これくらい過激な妄想、別にいいだろ?
その妄想は去年、あっさり満たされた。『オトメ世界の歩き方』というゲームが「フェミニズム」を看板に掲げてプレイヤーを釣っている。未来の世界では女性が完全に権力を握り、「性別隔離法」なる特例法を制定。女性は特権階級、男性は家畜以下の扱いで、両性は物理的に隔離される。社会の上流を象徴する「新東京市」にはほぼ女性しかおらず、男は辺境で兵士として、最前線の敵勢力の侵略と戦う消耗品にされている。
物語の冒頭、主人公は社畜として生活と上司の重圧に毎日押しつぶされ、死にたいという思いを抱く。日本人が大好きな駅のホームで、やってくる電車を前に飛び降りようとする。
ふわりと飛べば、人生から完全に解放される。
もちろん、主人公にそんな度胸はなく、結局は惨めに生き続ける。そんな彼の心が極限まで沈んでいたとき、一人の少女に出会う。彼女は混浴の銭湯に入りたいから手伝ってほしいと頼んでくる。理由は単純で、入ったことがないから入ってみたい、というものだった。
少女はナギサと名乗り、とても明るく見えた。混浴の銭湯に入るだけでなく、主人公をあちこちへ引っ張り、美食を味わい、新しいことに挑戦する。海辺へ景色を見に行ったり、島へリゾートに行ったり。何か不思議な魔力でもあるのか、主人公は彼女に引っ張られるままだった。他人なのに、二人はまるで恋人のようにデートのようなことを重ね、最後には本当に恋人のように、愛し合うことまでしてしまう。
ところが、ナギサと一発やって眠りから覚めると、彼女はいつの間にか起き上がってベランダへ出ていた。主人公に感謝を告げ、自分は十悪不赦の殺人犯だと明かし、最後の願いは叶ったと言い残して、そのまま飛び降りる。下の階に激しく落下し、血の海に倒れた。
このゲームが発表されたとき、自分は期待で胸がいっぱいだった。何しろまどそふと制作、品質は保証済み。柚子奈の原画は目に優しい。そしてシナリオも自分がめちゃくちゃ興味ある「逆襲もの」だ。脚本家は以前エロゲーで調教・凌辱ものを書いていた人らしく、その匂いがまたたまらない。最初の宣伝で流れたあの燃えまくりのOPも相まって、期待値はもう振り切れていた。
そしてゲームが発売。期待に胸を膨らませてすぐにプレイしたのだが、進めていくうちにどうも様子がおかしい。「能ある鷹は爪を隠す」的な、貧乏人が上流階級に成り上がる爽快なストーリーはどこにもなく、むしろゲーム全体が「音符社」によくあるパターンと化していた。主人公がまたしても学園のサキュバスと化し、女全員が夢中になり、挙げ句の果てには生徒会に直で招待される始末。
そこから物語は自分が一番よく知る、しかし全く期待していなかった方向へ進んでいく。主人公は逆襲したいと言うが、階級を飛び越える方法が上流社会のお嬢様と交尾すること。血統的にも婿入り的にも最適らしい。しかも妄想まで始める。また妄想かよ。学園の種馬になって、女全員が自分の嫁で、産む子どもの数まで考えている……。
何だその山東人ロジック……。
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