ゲーム
ANIPLEX.exe が金をつぎ込んで Visual Novel Game を作るにあたり、《ATRI -My Dear Moments-》以外にも、かなり独特な絵柄の《徒花異譚》を世に送り出している。これは Liar-Soft とのタッグ作で、いかにも古株のやり方だ。マイナーどころの Liar-Soft を引っ張ってくるあたり、エロゲー好きからは「分かってる」と唸らせるものがある。
『徒花異譚』しかも大体想像がつく。ANIPLEX.exe が出したこの2作品は狙っている層が違う。『ATRI -My Dear Moments-』は明らかに「ライトな二次元萌え豚向け」で、『徒花異譚』のほうはなかなか硬派だ。
もちろんこの「ハードコア」も俺の勝手な思い込みでしかなくて、それほど長くもないこのゲームをクリアしたあとに言えるのは、この『徒花異譚』はゲームというより、むしろ本物の「短編ファンタジー小説」だということ。「小説」は人生の大いなる教訓なんて教えてくれない。もたらしてくれるのは、心にじんと響く何かだ。
『徒花異譚』が具体的に何を語っているのか、細かくは書かない。プレイするまでの手間はほとんどの人にとって大したことじゃない。脚本は『蝶を探す者』を書いた海原望だが、「恋愛ゲーム」の枠を外れたぶん、かえって物語は余裕をもって見える。
多くの創作で「世界の終わり」というテーマが好んで使われる。理由は自分でもよく分からないけど、たぶん「世界が滅んでもまだ君を愛してる」っていう感じがすごくロマンチックだから? あるいはみんな心のどこかに「廃土もの」への憧れがあるからかもしれない。
果てしなく続く荒野に、男女二人だけが残される。さまざまな廃墟の中をさまよいながら、人類が生き延びる意味を探す。たしかにこういうのはかなりクールに見える。
でも使いすぎるとクールじゃなくなる。
過去の記事をときどき後悔する。
後悔の主な理由はほかでもない、若い頃にさんざんディスって、当時クソゲーに見えたものを大量に叩いたことだ。真っ先に思い浮かぶのは Lump of Sugar、糖塊社のゲーム。
『運命線上でスイカを切る』はシナリオが知的障害レベルだと書いたし、『恋想関係』はシステムがクソだと書いた。覚えてる。
なのに今回の Lump of Sugar の新作『ねこツク、さくら。』を前にして……
涙が止まらない。俺は深く悟った。間違っていた、と。
日本人について少しでも知っているやつなら分かるはずだが、日本人は物語を語るとき「やたらと感傷的」だ。
この「センチメンタル気取り」は骨の髄まで染みついていて、たぶんスケールが小さくて視野も狭く、くだらないことでいちいち感傷に浸るレベルってことだ。実はこの手の特色には日本語にもピッタリな言葉があって、「もののあわれ」がそれ。中国語では「物哀」と書く。簡単に言えば、何を見てもわけもなく物悲しくなるってことだ。
文芸系の小僧っ子にはこれでもいいかもしれないが、ずっとこの一本調子じゃ、さすがに手詰まりって感じがする。
「物哀」の表れは、よくある筋書きの中だけにとどまらない。むしろ日本人の語りの作法そのものに染みついている。すぐに感傷的になり、憂いを帯び、話が百回も曲折して、百回りも遠回りしたあげく、元の地点にすら戻らない。読んでいるこちらは焦れてくるし、しかもその「遠回り」の果てに待っているのがこれといった特徴もない結末だと、かえって腹が立ってくる。
そう、また私は逆ギレした。王さん、私のイタリア炮を持ってきてくれ、砲撃を開始する。
言ってしまえば、このゲームもかなり前からHHDに放り込んでホコリをかぶってたやつだ。俺はずっとこのゲームに対して矛盾した状態だった。
やりたいと思ったのは、設定と絵柄がなかなか良かったから やりたくないと思ったのは、やる前から展開が分かってしまうから このゲームはすでに倒産して身売りされたブランド・Campusのものだ。このCampusってのはつまりlightの子ブランド。小品ゲーで金を巻き上げるために作られたようなもので、大体はそこそこの絵師を捕まえて、単線か二線の小品を出して、低予算でちまちま売ってlight本体の体力回復を狙う、という魂胆だった。
ていうか、Campusがこの手のゲームで回収しようとしてる意図はあまりにも露骨だった。信じられないなら見てみろ、どのゲームも「マルチプラットフォーム」で、iOSもAndroidも出せるものは全部出してた。しかも非18禁の無料版まであって、18禁の内容だけ課金だった。完全に「ゲームは儲けじゃねえ、友達付き合いだ」ってスタンスで、自分のゲームの質は硬いと信じてるから、プレイヤーかエロ目的のオタクが実物を買ってくれるはず、そしたら逆転ホームランで本社を救い、旧都を還して見せる……って算段だ。
しかし現実はそうならなかった。lightは死に、Campusも売られた。
ずいぶん長いこと引っ張っていた「9-nine-」シリーズもついに第4巻、最後の攻略ヒロインである結城希亜が登場し、ゲーム設定の様々な秘密がさらに明かされていく。タイトルは『ゆきいろゆきはなゆきのあと』、中国語だと『雪色雪華雪之跡』になる。
かんとくが原画を担当したゲームをプレイしたのは、確か何年も前のことだったはず。その時はそのゲームを散々disった記憶がある。実際、今になって振り返ってみても……
やっぱりdisる価値はある。
なぜかというと、かんとくはいつもCUBEと組んでいて、CUBEが出すゲームのヒロインは、なぜかみんなEasy Girlになってしまうからだ。大体、主人公に告白されて間もなく、自分から脚を開くような感じ。分かってる、分かってるよ、これはエロゲーだってことは。でもエロゲーだからって、そんなに雑にやられちゃ困るんだよ。みんなAVだってもう最初から脚を開くようなのは見たくないだろ? 多少はストーリー性のあるものを求めるからこそ、味が出るってもんだ。
そんなこんなで何年もの時を経て、かんとく原画の新作が出た。しかもタイトルからして格が高い。
神様のような君へ
実はどう訳すのか俺にもよく分からない。「君に対して神様のように」という意味にも取れるし、直訳すれば「神様のような君へ」にもなる。ちなみに英語のサブタイトルは「To you like goddess」だから、たぶん前者の意味なんだろう。
だがそんなことはどうでもいい。大事なのは今回のシナリオライター陣で、便所の紙……おっと、ライトノベル専門の連中を三人も呼んできたらしい。どうやらシナリオに本気で金をかけるつもりらしい。
で、実際どうなのか。
実は8BitDoのゲームパッドを買うのは初めてではないのだが、前に買ったものがなぜか見当たらなくなり、手触りの良くないやつだけが残っていた。
今回は「最適化がひどいUnity製のクソゲー」を遊ぶために、泣く泣く新しい8BitDoのパッドを買った。とはいえ時が経ち、この手のガジェットも進化していて、なんと振動が内蔵され、ジャイロも載っているらしい。
使い始めて大体2週間。感想を書いてみる。
「お見合いゲームメーカー」SMEEが「ハーレムゲーム」を作ると聞いた時はマジで驚いた。SMEEはずっと「純愛」を、しかも「現実寄りの恋愛」を推してきたメーカーで、俺もその路線を何度も褒めてきた。なのに褒めたそばからこれである。しかも面白いことに、親会社のHOOKSOFTと「キャラが入れ替わった」ような状態になっている。
つまり、設定をめちゃくちゃこねくり回すHOOKSOFTが純愛をやり始め 純愛一筋だったSMEEが設定をこねくり回し始めた
もちろんSMEEもHOOKSOFTも、これまで色々な設定やら「段階攻略」だの「友達の友達」だの「社畜のお見合い」だの「攻略する側とされる側」だの、見た目は盛りだくさんな要素を散々やってきた。だがそういうのは全部どうでもよくて、残る印象はいつも男主と女主の言い合いだけだ。
だからSMEEと、今や「SMEE化したHOOKSOFT」のゲームの核はもう「カップルの漫才」になったんだと思う。どんな話を語るかなんて誰も気にしてないし、ぶっ飛んだ展開なんて誰も期待してないし、「回想シーン」があるなんて誰も思ってない。核はいつだって「小競り合い」で、みんなが観たいのもその「小競り合い」なんだよ……いや、その「小競り合い」を舐めちゃいけない。上手くできるメーカーはそう多くない。これが俺がSMEEを褒め続ける理由の一つでもある。
もし俺がこのSMEEの社長だったら、男主と女主の名前を固定するね。毎回「モテない男主が突然モテ期に突入」みたいなテンプレをコピペするのも疲れるし、だったら一つの名前で通せばいい。たとえば「呉老二」とか。毎回ゲームに男主の名前を入れて、『呉老二の田舎大冒険』『呉老二のお見合い珍道中』『呉老二と王お嬢様の宇宙大冒険』『呉老二と異世界の王』とか……この路線で行けば、売上どころかSMEEが一躍有名になって劇場版まで作られて、国民的IPになる可能性だってある。
でもなんかこのパターンどこかで聞いたことある気がする……あ、そうだ。「異世界」と言えば、今回SMEEは確かに「異世界転生」の設定をぶち込んできた。タイトルも露骨そのもの、『ハーレムキングダム』。男主が突然異世界に飛ばされてそこの国王になり、しかもハーレムがついてくる話だ。
今になっても思う。この設定、SMEEすぎないだろ!と。
1980年代、日本は異常な繁栄を誇る「バブル経済」の真っただ中にあった。
当時の日本はどれくらい景気が良かったのか。だいたいみんなが外国為替をやって、円高をただ待っていれば手持ちの金がしばらくすると勝手に価値を増す。バカでさえなければ、金を突っ込む勇気さえあれば、適当に金融の真似事をやるだけで楽に大金を手にできた。
当時の日本人はもう「金持ち」の代名詞みたいなもので、国内での消費に飽き足らず、アメリカへと乗り込み、湯水のように金を使う海外遠征の日々を始めていた。日本人のアメリカでの「爆買い」ぶりに白人はあっけに取られた。気に入ったものがあれば迷わず買いまくり、ゴッホの名画まで買っていき、タイムズスクエアの各種看板の所有権まで買い取ってしまった。海外での狂乱だけでなく、日本国内の人々も最後の宴を始めていた。消費主義、享楽主義が横行し、若者たちは最新のポケベルや携帯電話を身につけ、資本家やヤクザは狂ったように外国為替をやり、土地を転がした。実体経済など誰も見ちゃいない。膨大な金が不動産市場に流れ込み、東京の地価はうなぎ上り。東京で家を一軒買う金があれば、アメリカのプロ野球球団を何球団も買えてしまうほどだった……
そんな狂った日本の環境へ、大量の貧しい人々がネオンきらめく東京へと押し寄せ、一攫千金の夢を追い始めた。
その中には日本の田舎から来た者もいれば、海外から、はては中国から来た者もいた。
『泡沫冬景』というゲームは、まさにそういう物語を描いている。
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