ゲーム

『海と雪のシアンブルー』レビュー

近年、ギャルゲーの宣伝が「不誠実」になっていく問題がどんどん深刻化してる。 要はこういうことだ。あるゲームが「純愛」だと名乗っていたら、警戒したほうがいい。90% の確率で純愛じゃない。 「すごく平淡な物語です」なんて言われたら、これまた警戒必須だ。絶対に平淡じゃない。 百合だと謳っておいて、実はヒロインが男ども専用の肉便器だった、なんてのもザラにある。 「好評発売中」と書いてあって、実はとっくに叩かれまくってる、なんてのもある。 今日はそんな中で、あらゆる面から見て正直すぎるほど正直なゲームの話をしよう。マジで、わしはゲームを何年もやってきたが、こんなに正直なゲームは初めてだ。 CUBE の『海と雪のシアンブルー』である。

『琉璃樱』レビュー

日本人は物語を語るのが好きだ。特に伝説の話が好き。中国の伝説がだいたい「一定の枠組みに沿う」のに対し、日本の伝説の多くはめちゃくちゃ自由奔放だ。これは日本の「八百万の神」の思想と関係していて、万物が神様、誰だって小さなカミサマなわけだ。しかも日本の神話には「仏教」の味がするものも多く、たいてい「輪廻」の思想を踏襲している。神様にまつわる伝説を語り、その伝説が輪廻にも関わり、話がどう転んでも最終的には始まりと終わりがつながった円になる。そうやって読者をハッとさせようという狙いだ。 でもこのパターンも何度もやられると飽きる。少なくとも俺は飽きた。俺はこういう筋書きをたいてい「人語を話さない日系の感傷的な物語」と呼んでいる。

『素敵な彼女の作り方』レビュー

俺が「ネタを振る」ゲームが好きなのは周知の通りだが、もちろん「俺」が世界の全部を代表するわけじゃない。俺の知る限り、ゲームをやる人間、特にギャルゲーをやる連中は、こういう「ネタ振り」作品があまり好きじゃない。 それはちょっとしたディテールにも表れる。たとえば俺があるフォーラムでよく見かけるのが、新作が出るたびに誰かがこう聞く光景だ。 「このゲーム、地雷ある?」 「これ純愛?」 この二言は、要するにこういう意味である。 「これ、ただの恋愛テンプレ?」 俺に理解できないのはむしろ、「ただの恋愛テンプレ」のほうだ。ギャルゲーというジャンルが生まれた瞬間から、それはもう固定されていて、少なくとも20年は経っている。20年間ぐるぐると繰り返し、繰り返し、また繰り返してきた筋書きを、いまさら必要とするのか? 最近、また「ネタを振った」ゲームが出た。しかもかなりデカいネタを振ったせいで、代理店まで関係を切った。世界中のプレイヤーが口々に罵っている……そのゲームこそ、中国語版が最初に出てSteam独占配信された百合もの、 『素敵な彼女の作り方』 だ。
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『日向千尋は仕事が続かない』レビュー

一、 先日、うちの職場でそこそこハードな残業があった。 内容自体は大したことじゃない。システムのアップグレードで、俺たちの仕事はメインシステムのアップグレードが終わった後に、それと連携するソフトやインターフェースの動作確認をするだけ。終わればもうお役御免だ。 見た目はすごく簡単そうなんだが、問題はメインシステムのアップグレードが必ず深夜に行われて、しかも何時間もかかること。 おおよその見込みでは午前2時にメインシステムのアップグレードが完了、俺たち連携側は午前2時以降にようやくテストを始められる。終わる頃にはだいたい午前3時か4時だ。 最初の計画は土曜にアップグレード、日曜に利用者が少ないのをいいことにテストして、問題を見つけて潰して、月曜を迎えるはずだった。 ところが問題はすぐに来た。土曜のアップグレードはめちゃくちゃ順調じゃなかった。

『ユキイロサイン』レビュー

以前大絶賛していた『アオナツライン』が、1年あまりの時を経て精神続編を出した。それが『ユキイロサイン』だ。 なぜ「精神続編」かというと、脚本も絵師も同じなのに制作会社が変わっていて、wonder foolという会社になっているからだ。クソみたいな戯画を捨てたことには百手を挙げて賛成だが、このwonder foolも決して良い鳥ではない。これまでに出したクソゲーを見てみろよ、どれも誰も欲しがらない端切れを適当に発売しているだけの感じがする。 ともあれ、このゲームには期待していた。『アオナツライン』がヤバかったから、これも当然ヤバいだろうと。オタク連中はこのゲームを通じて再び自分の青春を感じたいと切望していたのだ(実際には存在しないけれど)。 ところが、発売後にプレイしてみて、残念ながらこう言わざるを得ない。このゲームは大多数が求めていたものを提供してくれなかった、と。

『冥契のルペルカリア』レビュー

ルクルが2年ぶりに放った新作『冥契のルペルカリア』。設定が公開された当初から、正直めちゃくちゃ……嫌な予感しかしなかった。 まずタイトルからして人が死にそうな雰囲気満載だし、キャラクター設定には『紙の上の魔法使い』の要素がちらつく。これは過去作の食い扶持にあやかろうとしてるんじゃないかと疑わざるを得ない。とはいえ、ゲームの紹介文やら何やらを見ても、『冥契のルペルカリア』と『紙の上の魔法使い』の関係は明言されていない。あるのは「それっぽい」グレーゾーンの演出だけ。CVも合ってないし、前の魔女は小倉結衣だったはずで、メイ姉じゃない。あらすじを読むと舞台演劇がテーマらしく、興味はさらに削がれた。 でも脚本の腕は確かだし、去年はまともにシナリオが通るゲームがほとんどなかった。ルクルを信じてプレイしてみたものの、道中は波乱万丈。エロゲー機を一度失くし、一度壊し、ようやく最後まで辿り着いた。うーん……何というか、品質は想定内。ただ、がっかりした部分もある。まあ、ざっと語っていこう。

『蚕の贈り物』レビュー

『蚕の贈り物』は偶然見つけたゲームで、インディー系の小品…… 設定はすごくシンプル。妖精の森に蛾の妖怪がいて、蛾だから寿命がとても短い。だからその蛾の妖怪は死ぬ前に、自分が生きていた証を何か残したいと思っている…… このゲーム、「蛾の寿命は短い」という設定に忠実なのか、なんと制限時間を用意してくる。しかも……1分だけ。 そう、プレイ時間はたったの1分。

2020年に遊んだギャルゲーで一番好きだったもの

2020年はみんな本当に大変だった。エロゲーメーカーも例外じゃなくて、今年遊べる作品も減ったし、当たりも減った。で、俺が遊んだ本数はというと……相変わらず減らなかった。2020年に遊んだエロゲーは41本。2019年とほぼ同じ。つまり今年も全然進歩してない。そろそろフェードアウトするつもりだったのに。 ただ、今年は薦められる作品が増えた気がする。でも一つはっきり感じたのは……ギャルゲーの音楽がもうダメだ。正直に言うと、今年の「聴けるOPとED」をまとめようとしてみたけど、ろくに出てこなかった。あのレズビアンゲーのOPくらいなもんで、今年はゲームのOSTを買いたいとも思わなかった。だから音楽は省略。ゲームの話だけする。2020年に「俺個人が」いいと思った作品を見ていこう。

『ごほうしアクマとオシオキてんし』レビュー

2021年の年明け一発目の大作、いきなり盛大に吹かされた。「QUINCESOFT」の『ごほうしアクマとオシオキてんし』、漢字で書けば『ご奉仕悪魔とお仕置き天使』。つまり「メイドになる悪魔と、罰を受ける天使」だ。 この作品が俺に与えた衝撃があまりにもデカすぎるので、ゲーム本体の話は後にして、まずは「QUINCESOFT」というブランドがどうやって生まれたのか振り返ろう。
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『一途な(処女→)彼女と恋したい』レビュー

ここ数年のエロゲー市場はマジで縮む一方で、多くの会社が「シナリオもの」なんて作るのを諦めて、こぞって「短小精悍な売り肉抜きゲー」に転身してる。美名その名も「甘い恋愛を追求」だそうだが、実際は抜きゲー製作の低コストで回収してるだけ。みんなこの手の作品に中身なんてないって分かってるし、エロCG見たさに来てるんだってのも分かってるから、製作側も分かっててゲームにエロCGを詰め込む。小品作なら一巻じゃ足りないわけで、ヒロインをまとめて何人も描いておいて分割販売、薄利多売、これ最高じゃん? 今回語るのは『一途な(処女→)彼女と恋したい』、風車社ういんどみるの傘下ブランドCOSMOSから。ぶっちゃけこのゲームの最大の見どころは2つだけ。ひとつは原画の月杜尋、絵がマジで上手いしヒロインがマジで美しい。もうひとつが原案の保住圭。この保住圭は筋金入りのエロ野郎だが、「甘い恋愛」みたいなのを書かせると中々いい。かつての『俺もおまえもちょろすぎないか』なんか良かった。彼女がほしくてたまらないけど軽薄で、見る奴見る奴に告白しまくって、挙げ句の果てにひょんなことからヒロインに告白して、ヒロインがこれまたマジメに騙されてOKしちゃって、二人は先にやっちゃってから付き合い始める的な恋愛物語……