萌え豚
ギャルゲーをそれなりにやってきたけど、前から一つ腑に落ちないことがある。
ギャルゲーで一番多いのはエロゲー、つまり18禁ゲーで、中に性行為の描写があることを売りにしている以上、本来は成人向けゲームという枠に位置するはずだ。
成人向けゲームを買う人間なんて、せいぜい成人ってだけ(少なくとも建前はそう)なんだから、ゲーム内容の提示においてもっと「成人要素」を前面に出すべきだろう。
ところがめちゃくちゃ矛盾してるのは、ギャルゲー市場では、本当に「成人向けゲーム」を体現している一部のメーカーを除いて、主流のプレイヤー連中が妙な要求をしてくることだ:
1、シナリオが鬱だとダメ、刀を送りつけるぞ 2、えっちシーンがないとダメ、ないなら刀を送りつけるぞ
理屈から言えば「成人向け」の面白い話にはどうしても鬱な要素がつきもので、面白ければ面白いほど「鬱」要素は不可欠なのに、ギャルゲーの受け手はそれを受け入れない。
「鬱」な話を受け入れないってことは、純愛ものが好きってことだよな。なのにえっちシーンは必須で、しかもあれこれプレイしないと満足できない……
だからお前ら18禁ギャルゲーをやってる連中はいったいどういう歪んだ集団なんだよ……
みんな知ってると思うけど、俺は萌え豚じゃない。
とはいえ、それでも俺は萌え豚に憧れていた。もう何年も前の話だが、当時は本気で萌え豚を目指していた。
その頃はまだアニメを見ていたんだよ。当時話題になった作品といえば、やっぱり『K-On』だろ。あの頃のニコニコのトップは筋肉兄貴だらけで、動画見るなら Acfun しかなかった。でも Acfun の MAD コーナーはどこもけいおん!の MAD ばかりで、『Cagayake!GIRLS』の MAD だけでもう溢れ返ってて、全然追いつけなかったわ……聞きすぎて歌えるようになったし、あの曲に「我が Kon!」って書き込んでる連中を見てると、なんかよく分からなかった……
分からないのには理由がある。俺は『K-On』をちゃんと見たんだよ。でも最後まで見られなかった。
正直な話、俺はもうほとんどただの萌え豚になりかけている。
萌え豚って何かっていうと、もう物語とか筋書きとかどうでもよくなってて、女の子が可愛くて声が良ければ、俺はもうこのゲームはアリだと思う。他の奴がダメって言っても、俺は無理やり理由をこじつけてでもアリだって言う、そういう感じの……
まあそれも仕方ないよな。何せこの世界は顔で決まるんだから。
自分は「キャラ設定」ってやつにあまり食いつかない方だと思ってた。
つまり、キャラが可愛いかどうかは外見の設定だけで決まるもんじゃないし、絵師だけでも決まらない。CVとシナリオ、物語での経験が積み重なってこそ、その人物が具体化するんだと思う。
だから、一枚絵の女の子を見て「俺、いける(抜ける)」と叫ぶような醜い行為は基本的にしない。
それに「萌え豚」という集団がずっとよく分からなかった。理由は前述の通りで、作品の女の子が可愛いかどうかは見た目だけじゃなく、彼女の経験や話し方、全部ひっくるめて初めて血の通った女の子になるんだから。
顔で判断される世界だけど、顔だけじゃダメでしょ……
そう思ってた。
毎月、大々的にプッシュされるギャルゲーが一作はある。かつての『ノラと皇女と野良猫ハート』、先月の『ワガママハイスペック』なんかがまさに「金で売上を積み上げる」タイプのゲームだ。ただ、野良猫は素の出来が良かったし、ワガママは海陸空全方位の宣伝のおかげで先月は ISLAND や Chaos;Child を抑えて売上トップになった。ギャルゲー市場ってのは、推そうと思えばちゃんとそれなりの売上には届くらしい。
今月最も推されているゲームといえば『聖鍵遣いの命題』だろう。電撃姫でしばらくするとこのゲームのニュースや動きを目にする。だが妙なことに、体験版が公開されてから日本人の好評価はほとんど見かけない……。興味本位で設定を眺めてみたら、どうにも RPG っぽい。とはいえ地雷の気配はそれほどしないし、OP もかなりアツくて、しかも真のアニメーション付き。制作側がかなり気合を入れて金をかけているのは明らかだ。
本来なら、気合を入れて作られたゲームは、よほどの大事故的展開がない限り、そこまで酷評されることはない。だから俺はこのゲームの質を信じることにして、プレイしに行った。