『すみれ』レビュー
ネットには「寝たふりをする人間は起こせない」ってことわざがある。
この言葉は俺の嫌いな連中によく引用されるけど、言葉自体に間違いはない。
睡眠はただの休息で、正確に言えば自分が何時何分何秒に寝たかなんて誰にも分からない。コントロールできないからだ。コントロールできない睡眠から呼び覚まされれば、自然と目を開ける。だが寝たふりをする人間は、本当に寝たいわけじゃなく、周りに自分が寝ていると思わせたいだけ。
起きているのに寝ていると思わせるのはなぜか。簡単だ。見て見ぬふりをしたいだけ。起きた後に向き合わなきゃいけないことから逃げたいだけ。
簡単な例を挙げれば、嫌いなやつが話しかけてきたとき、そいつと向き合いたくないし、どう向き合えばいいかも分からないし、断りたくもないし、話したくもない……
机に突っ伏してぐーぐー寝たふりをする。友達が起こそうとするけど、元々起きているんだから、起きたフリをしないように自分をコントロールする。
「寝たふりをする人間は起こせない」の意味はここにある。寝たふりを選ぶ人間は、そもそも起きたくないから選んでいる。だから起こせないんだ。
ねこねこソフトの15周年記念作品『すみれ』(紫罗兰)は、まさにこの「装睡」をテーマに選んだ。ゲームのOP名がSleeping Pretendなのと同じく、これは3人の女の子がいろんなことに向き合うために寝たふりをする物語だ。