イキり
音楽から入ってゲームを探すのが自分の悪い癖だって、前にも一度ならず書いた気がする。で、今回もうっかり《Octave Rain》を耳にして、いいじゃんと思ったらゲームのOPだった……そんでそのゲームを探して遊んだわけだ。
ゲームの名前はPARA-SOL。英語がそこそこ分かる人ならピンとくるはずだが、PARASOLってのは日傘のことだ。つまりタイトルは「日傘」って意味になる。
実はダウンロードした時は中文版だなんて思ってなかった。で、起動してみたら、うわ、漢化されてるじゃん。予想外だった……
遊ぶ前に日本人の感想をいくつか見たんだが、大半が「序盤の展開はめちゃくちゃすごいのに、終盤の展開がクソすぎる」って言ってた。国内の界隈だと「老子には理解できねえ!」って説明の方が多かった。
分からんもんなんて山ほどあるし、自分は頭おかしい作品を見るのが得意な方だから、迷わずゲームを開いた……
それから数日かけてクリアした……ルートは一本だけ。で、二本目をやる気は完全に起きなかった……
理由は簡単:頭おかしすぎる!
正直、このゲームは最初やるつもりはなかった。体験版はずいぶん前に出ていたのにずっと手を出さなかったのには、ちゃんと理由がある。
一つ目は、OP がどうにも刺さらなかったこと。OP にやられてゲームを買ってしまうことが何度もある俺にとって、これはゲーム選びにおける弱点だと思う。
二つ目は、設定があまりにもラノベすぎること。冥界の皇女が地上に来て世界を滅ぼすとか、そんな話ラノベで見飽きてるだろ?異世界からヒロインが降ってきて主人公と出会うなんて、いくらでもあるんだよ!
三つ目は画風。正直あまりにも…妖艶すぎる。キャラデザがどうしても好きになれなくて、どの娘も欲求不満の女性レイパーみたいに見える。俺はやっぱり純粋な萌え豚でいたほうがいいのかもしれない。もっと可愛い絵柄のほうが口に合う。
そんな、どう考えてもくだらない理由でずっとこのゲームを無視していたのに、向こうはやたらと動きが多かった。アニメ化を発表したり、広告を打ったり、セールをやったり。裏の会社がよっぽど太いパイプを持ってるんじゃないかと疑ったくらいだ。最終的には Twitter での怒涛の攻めに耐えきれず、体験版だけでも覗いてみるか…と思った。
そしたらもう止まらなくなった…
どう言えばいいのか、このゲームは想像していたよりずっとずっとずっとずっと面白かった。むしろ佳作だ。
誰だってイキりたいものだが、目の前で他人にイキられるのは基本的に誰も好きじゃない。
「実力イキり」という言葉がある。ニュアンスとしては冷やかしに近いが、要はイキるに足る本钱さえあれば、いくらイキっても他人は文句を言えないということだ。
「実力」という言葉で、以前友人と料理の話をしたのを思い出した。
当時の俺はマジでアホで、「一流シェフなら、作る料理は全部派手でクソかっこいいものじゃなきゃダメだ」と思い込んでいた。友人はそうは思わないと言った。
昔から、ある種の文体がとにかく嫌いだった。でも、それがどんな文体なのかうまく説明できなかった。
端的に言えば、何かあったときに決してストレートに言わず、必ず一度内容をラッピングして、こっちにちょっと読みにくい思いをさせる。学食のおばちゃんが飯をよそうとき、そのままよそわず、大きなおたまでご飯をすくい上げて、目の前で仙女のポーズでも決めてからどんぶりに放り込む、あの感じだ。
もしそのおばちゃんが自分より若くて、しかもセクシーな黒タイツ姿だったり、よそってくれる飯がタダでしかも豚カツが3枚も入っていたりするならまだしも、そうでなければ「このおばちゃん頭おかしいんじゃないか」と思うだけだし、長い目で見れば気持ち悪いとすら思うようになる…………
…………たとえ豚カツが5枚入っていても。
つまり、物語を語るときに言葉や過程を少しラッピングするのは構わない。そのラッピングに見合う中身が最後に展開されるならまだしも、屁みたいな話を世界の終わり級の深い恨みでもあるかのようにラッピングされたら……もう嫌いになるしかない。