遠野そよぎ

『かりぐらし恋愛』レビュー

Asa Project。かつて俺が一番愛していたブランドだ。 初めてその会社の作品に触れたとき、俺はASa Projectこそギャルゲー界の王晶と周星馳だと思っていた。 その後のAsa Projectも、どうやら自分の進むべき方向を見つけたようで、それが顔芸+ギャグだった。しばらくは良い作品も出て、『ひとつ飛ばし恋愛』の頃にはパロディと悪ノリが絶頂に達していた。最初に遊んだときは正直「ビビった」し、力みすぎだとも思った。ところが数年後にあのゲームを再び触ってみて、あれこそがAsa Projectの頂点だったと気づいた。 頂点と言えば、つまりその後の作品はどれも前作以下ということで……。 『プラマイウォーズ』はかろうじてスタイルとテンポを保っていた。だが、あの意味不明な『スキとスキとでサンカク恋愛』を経て、俺は痛感した。Asa Projectは迷走している、と。 どうやら元の悪ノリ路線を捨てて、純愛路線に走り始めたらしい。同時に女の子の恥じらいや可愛さを前面に出そうとする。でも、あの「悪ノリネタ」を完全に捨てる気もない。 その結果が妙なことになっていて、純愛をやるなら徹底的に純にして、ヒロインに下ネタを吐かせるのはやめるべきだ。悪ノリをやるなら、ボケとツッコミの設定を用意して、キャラ同士に化学反応を起こさせるべきだ。 だが残念ながら、Asa Projectはゲーム内の「劇のエンジン」を一人、いや半分にまで削ってしまった。しかもだんだん端に追いやって、プレイヤーに「これはAsa Projectのゲームだぞ」と思い出させるマスコットに成り下がらせている。それ以外は何の役にも立たない……。 ゲームにはツンデレで恥ずかしがる萌えキャラがどんどん増えていく。しかも分かるだろ、Asa Projectの絵師の実力はあんなものだ。一目見て勃起するレベルには全然届かない。だからゲームはどんどんおかしくなり、どんどんつまらなくなる。ギャグもなければ恋愛の感じもない。皮肉なことに、同じHOOKSOFT傘下のブランドなのに、Asa Projectの出来はsmeeにも劣る。向こうはネタがどんどん良くなり、雰囲気もどんどん軽くなり、恋愛パートもちゃんとある。なのにAsa Projectは四不像、居心地の悪さが半端ない……。 そんな気まずい気持ちのまま、俺たちはAsa Projectの新作『かりぐらし恋愛』を目にした。