飢えた子羊

『泣き叫ぶ雁』レビュー

制作元の前作への各種好評と信頼があったので、『泣き叫ぶ雁』はほぼ発売と同時に買った。ただ、いろいろあって最初のうちは遊べずにいた。 正直なところ、このゲームが「揚州十日」の背景を扱うと知った時点で、発売後にいろいろ言われるだろうなとは予想していた。何しろ『明末:淵虚之羽』の例が先にあるからね。プレイヤーやネット民、各種世論の流れについては、制作側も把握していないはずがない。それにネット上の「反対が徹底していないなら、それは徹底的な反対ではない」という白黒つけたがる主流の圧力の中で、このゲームは完全に一方的な偏った作品にはならないだろうし、だからこそ非難されたり、世論を誘導されたりする運命にある。切り取られたほんの一言が誇張されて、レッテルを貼られて、汚名を着せられる可能性だって十分にある。 もちろん、制作側、特にプロデューサー兼シナリオライターはあれだけ頭が切れるんだから、このリスクを理解していないはずがない。それを承知のうえでなおこのゲームを作り続けようというんだから、当然それ相応の覚悟もできているんだろう……要は、この題材に手を出す以上、その話題性を食う以上、この巨大なリスクを背負う覚悟がなきゃダメってことだ。 結果は思った通り、発売後に案の定大炎上した。ただ、燃え広がった方向は俺の予想とは違っていた。最終的な結論こそ、お決まりの「レッテル貼り」だの「立場が歪んでる」だのというおなじみの展開だったが、その引き金になったのは主に歴史的な敏感さや民族対立の感情ではなく、「いい子」だの「悪い子」だのといった“麻辣”寄りの口論だった。これはちょっと意外だったし、おそらくプロデューサーにとっても予想外だったんじゃないだろうか。