Alcot
2020年の最後の月、妙な日付に妙なゲームが現れた。『さくら色 Dreamer』である。
このゲームの開発元は「Cover」、子会社は「Hololive」と書いてある。ご存知の通りVtuberを運営する会社で、ヒロインもそこの所属Vtuberの一人、さくらみこだ。この名前がまたとんでもなくダサい。翻訳すると「桜巫女」になるからだ。
もちろん、Vtuberがゲームを出すのは今の業界の流れに沿った良いことだ。Vtuberは資本の寵児で、売れてる連中は金に困ってない。エロゲー屋よりよほど金持ちだから、ゲーム作りも気合が入ってるに違いない。
で、そのゲームを見たんだが、マジで腹が立った。
ずっと前から予感はあった。Alcot という会社はもうダメなんじゃないかと。
考えてみれば Alcot の全盛期は Clover Days の前後の時期だろう。分社の Alcot Honeycomb も活気づいていたし、Clover Days 自体が絵柄で圧倒的に有利だった。それに「春季限定」や「未来無視」シリーズの妹ゲーも独自のスタイルを確立していて、どう見ても飛躍する勢いだった。
しかし現実は違った。理由は知らないが、聞くところによると Clover Days は売上が振るわず赤字だったらしい。その後 Alcot Honeycomb の作品も魂を失ったようで、一時は地雷請負人にシナリオを書かせ、看板絵師も辞めてしまった。LoveRec というゲームはまあ悪くないと思ったが、評価は平凡だった。
それからどんどん悲惨になっていった。Alcot が去年出したママ女神ゲーなんて見る気すら起きないし、レビューすら見つからない。完全に空気扱いだ……
Alcot の公式 Twitter も毎日のようにツイートしているが、どれも「会社倒産売り尽くし」の既視感しかない。売っているのは Clover Days のグッズやら、その他古臭いものばかり。この感じ、いつ倒産してもおかしくないと思わせる。
そして今年、Alcot は新作を出した。キャッチコピーは「Alcot シリーズ作品の正統続編」。見た瞬間、あ、これは本当に倒産する流れだなと悟った。
なぜなら、以前に「正統続編」なんて売り文句を出した会社は Lass だ。彼らも最後に「長らく発売延期していた正統続編」を出し、そして潰れた。
もっとも不思議なのは、Alcot に正統続編なんてあるのか?ということだ。LoveRec は即席で作ったのか?Clover Days も間に合わせだったのか?よく見れば分かる。おそらく彼らの元々の「パロディ穿越セミSF」路線のシリーズ作品の正統続編という意味だろう。『幼なじみは大統領』や『鬼ごっこ!』、『中の人などいない!』あたりがその路線だ。その後の作品は方向性がずれていったので、今回の「正統続編」は元の路線に戻るというだけのことだ。
そして新作のタイトルは『将軍様はお年頃』。
Alcot って会社はもうダメらしい。まず看板の仁村有志先生が辞めて、家に帰ってソシャゲやってる。だから今年の Alcot は、数枚の新規絵を追加しただけの LoveREC の詐欺 FD と、もっと詐欺な Clover Days Plus しか出してない。HCG を Emote に変えただけのやつで、おかげで中国語版が当日同時リリースできたほどだ。
とはいえ Alcot 本体は終わっても、子会社の Alcotハニカムがある。こっちの方が大胆なものを出すことが多くて、前にも春季限定とか、未来無視とか結構やった。で、今回がだいぶ雰囲気の違う『サツコイ ~悠久なる恋の歌~』ってわけ。
雰囲気が違うと言うのは、Alcot のゲームの多くが日常と笑いを主体にした空気を出していて、悲しいのはほとんどない(もちろん最初の死神のキスとかは悲しいに入るだろ)。だからこそ『サツコイ ~悠久なる恋の歌~』は「捕食者と被捕食者の恋」なんてキャッチを掲げて出てきた。
ここまでの前置きは全部俺のデタラメだ。もう嘘を続けられないから正直に言う。なんで2014年の古いゲームをやったかというと、Youtube で曲を聴いてて OP が面白そうだったから、暇つぶしにやってみただけだ。
ちょっと前、気分が落ち込んでたから、気分が上がるゲームでもやろうと思って、YouTubeで「春季限定ポコ・ア・ポコ!」のOPを見たんだよ。正確に言うと、このOPにはめちゃくちゃ聞き覚えがあって、買ったAngle Noteの音楽集CDにこの曲が入ってたから何度も聞いてたんだけど、まさかこのゲームのOPだとは知らなかった。
ゲームのOPはめっちゃ切ない。主人公の大事な人が死んで、立ち直れないってのが見て取れる。でも評価を調べたら、みんな揃って「これは楽しい作品だ」って大盛り上がりしてる。
まあいいや、ちょうど笑いが欲しかったところだし、妹のCVの名前を見てやることにした。
で、どうだったかっていうと……
このゲームはOPみたいに切ないのか、それともネットの評価通り楽しいのか。
どっちも間違いじゃないんだよな。
LOVEREC.-ミニシアターズはLoverecのファンディスクだ。
正直、LoveRec本体はなかなかの出来なのに、このファンディスクはもう……あまりにも寂しすぎる。
ゲーム容量はたったの1.95G。内容は原作のエンディング直後から始まり、卒業を控えた主人公と、白髪の妹が新しいC90で自分たちが撮った映画を売ろうと、みんなで奮闘するという話。
うん……でもこれって序章だけで、映画撮影の話は全然出てこないんだけど。
ALcotのゲームはあまりやっていないけど、大体の作風は同じ路線で、やや低次元(悪い意味ではなく)なツッコミと日常、可愛い萌えヒロイン、そしてそこそこの質の音楽って感じだ。『Clover Heart』の頃はまだそうじゃなかったと思うけど、『Clover Days』あたりでいつの間にかこうなっていて、Clover Daysに抱いた感想と同じで、どう見ても「大したことない」んだけど「悪くもない」。シナリオは少々陳腐だけど、クソ展開で殴ってくることもない。
LoveRec.の宣伝を見た時、キャラデザを眺めて……
「うわ、これ杏鈴じゃん」
そう、ヒトミというヒロインはClover Daysの鷹倉杏鈴とほぼ瓜二つ、髪色と瞳の色を変えただけ。仁村有志先生の画風がそうなんだと言えばそうなんだが、「完全に過去キャラを流用して売ってるだけ」感が出るのはなかなか微妙。ちなみに他の二人のヒロインは仁村有志ではないけど、こちらもやや違和感があって、全体としてはClover Daysほど可愛くはない。
ALcotのこれまでの作風からして、ただの萌え売りゲーだろうと思っていた。実際キャラデザやあらすじを見る限りそうだ。でも、終わってみると本当に違う印象を受けた。
Clover Heart’s は2003年の古いゲームで、Alcotの初期作品にあたる。これが10年後に記念作としてClover Daysが出された。
今見ても、2003年の古いギャルゲーとして Clover Heart’s の光る点は確かに多い。時代を超えてる部分すらある。