SMEE
実はこのゲーム、とっくにプレイ済みで、商業記事まで書いたんだけど、ブログにはずっと書いてなかった。単純に忘れてたからだ。
というか、このゲームのシナリオすらほとんど忘れかけている。今日ファイルを整理していなければ、自分がこれをプレイしたことすら忘れていただろう。
どんなゲームかって?SMEEいわく、これは普通のゲームじゃない。記念すべきゲームなのだそうだ。何を記念しているのか?
まずSMEE創社15周年記念作。 そしてSMEE全作品の累計販売本数15万本記念作。
この二つの「記念」を初めて見たとき、思わず吹き出しそうになった。何の記念だよ。15周年って記念するようなものなのか?しかも本当の「15周年」でもない。よく見たら、この企画が立ち上がった時点で15周年だったってだけ……うわ、それもありなんだ。さらに「累計販売本数」を記念の理由にするのも初めて見た。どう見てもネタ切れで無理やりひねり出した感がすごい。
ここ数年、SMEE のメインライターである「早瀬ゆう」と海豹社『あざらしそふと』はどんどん距離を縮めてきていて、以前いくつか「コラボ小品」を出したあと、今度は二人とも素面を装うのをやめて、堂々と交わってしまった。早瀬ゆうはなんと海豹社の新作『アマナツ』の制作を自ら仕切っている。
このゲームはどう見てもおかしい。タイトルも絵柄も伝統的な海豹社のスタイルなのに、ゲーム内の一部のサブキャラや言葉遣いを見ると明らかに SMEE のそれだ。
売上を伸ばすためだろう、ゲームには昔からのプレイヤーにはお馴染みの CV が多数起用されていて、なんと俺が一番嫌いな青山ゆかりが女主角として出てくる始末。彼女が演じるキャラには「風見一姫」以外、全部 PTSD が湧くんだよ。女二号はすでに開き直って寝そべり状態の秋野花、女三号ときたら後藤麻衣。なんとも豪華な布陣で、エロゲ声優の老中青三代にまたがっている。もしこのゲームに製品発表会なんてものがあったら、間違いなく台下のキモオタ共が大声で歓声を上げただろう。
実は俺もこのゲームには期待していたんだが、5分もプレイしないうちに、妙な失望感に襲われた。
SMEEの新作のビジュアルが去年の年末、誰かから送られてきた。
一目見た瞬間の感想は「これは偽物だろ」だった。理由は簡単。
クソほどダサい!
しかもこんなにダサい絵なのに、よりによって「スタッフそのまま」で絵師も変わっておらず、相変わらずの「谷山さん」だという。ずっと前からこの「谷山さん」は一人ではなくチームの総称だという噂はあった。だが誰だって分かるだろ、「人は上を目指す」ってやつで、絵を描くことを生業にしている人間なら上手くなる一方のはずなのに、なんで逆にどんどん落ちてくんだよ!!
Making*Lovers は SMEE が前に出したゲームで、あれは評判が良かった。理由はいくつかある:
音楽がいい ギャグが面白い キャラが可愛い 恋愛が甘い 他の人は知らんが、俺はこの四つが主な理由だと思う。その後 SMEE は異世界転生ものをいくつか作ったあと、ようやく本質に戻るべきだと気付いたのか、この新作を出してきた。予算が足りなかったのか、新作なのに前作の皮を被せてきて、同じ『Making*Lovers』を名乗っている。だが俺から見れば、この二つのゲームには本質的な違いがある。
今年はコロナのせいなのか、ギャルゲーの作品数が急減していて、しかも老舗ブランドが制作への熱意をどんどん失っていく。例を挙げるならHOOKSOFTだ。今年のHOOKSOFTとSMEEは新作の企画をかなり出してきたけど……その新作は正直一言では言い表せない出来だった。
例えばHookの『ゆびさき』は完全にSMEEの作品って感じで、SMEEの新作はむしろMoonstone Cherryっぽい。ただこの2本(まだ発売してないHookのアレも含めて)は、宣伝のスタイルから公式サイトの紹介文まで、驚くほど似通っている。はっきり言えば、この3本は「ものすごく露骨に量産ラインの痕跡がある」。
俺は昔ゆずソフトの作品を批判した時から「量産品」に強い嫌悪感を示してきた。そりゃ「量産ライン」は作業効率を上げ、コストを下げ、発売速度を速め、収益を伸ばせるだろう。でもゲームは冷たい供給品じゃない。物語性と文化を伝える媒体なんだよ。そんなものを量産ラインで作れば、コストは下がり、速度は上がり、収益も伸びるかもしれないが、ゲームそのものが当然つまらなくなる。
このタイトルを見て、まずは各種掲示板の喧嘩ルールに倣って「失敗」の定義から始めよう。
周知の通り、ギャルゲーの開発は「企画」から「制作」までの過程を経る。つまり「企画」こそがギャルゲーの目標であり、そのゲームの方向性を決めるものだ。
この理解に従えば、制作が「企画」と完全に逆行していたり、制作そのものが「企画」の当初の目標を達成できていなかったりするなら、そのゲームは「失敗」と見なせる。
というわけで今日は、そんな「失敗」したゲームの話をしよう。
知り合いの女性教師がかつてこう言っていた。
「恋愛では男が女を追いかけるように見えて、主導権はずっと女性側にあるのよ。だって女性は男の行動に対して選択肢を選ぶだけでいいんだから」
もちろん、彼女の言い分は不完全だと思う。これには前提があって、女性は美人でなければならない。湘南肉棒君みたいな顔をしていたら、選択肢をくれる男なんて誰も寄ってこない。
実はこの言葉は別の角度からも理解できる。正常な「男が女を追う」恋愛において、男が不屈の精神で女神を落としたように見えて、実際は女性が何度も何度も男にチャンスを与えているだけなのだ。
考えてみてほしい。もし女性が本当にあなたに全く好意を持っていなければ、接触の機会すら与えないし、あなたの言葉に耳を貸すこともしない。あなたは自分が彼女を攻略していると思っているが、実際は彼女があなたに攻略されることを許してくれているだけに過ぎない。
「お見合いゲームメーカー」SMEEが「ハーレムゲーム」を作ると聞いた時はマジで驚いた。SMEEはずっと「純愛」を、しかも「現実寄りの恋愛」を推してきたメーカーで、俺もその路線を何度も褒めてきた。なのに褒めたそばからこれである。しかも面白いことに、親会社のHOOKSOFTと「キャラが入れ替わった」ような状態になっている。
つまり、設定をめちゃくちゃこねくり回すHOOKSOFTが純愛をやり始め 純愛一筋だったSMEEが設定をこねくり回し始めた
もちろんSMEEもHOOKSOFTも、これまで色々な設定やら「段階攻略」だの「友達の友達」だの「社畜のお見合い」だの「攻略する側とされる側」だの、見た目は盛りだくさんな要素を散々やってきた。だがそういうのは全部どうでもよくて、残る印象はいつも男主と女主の言い合いだけだ。
だからSMEEと、今や「SMEE化したHOOKSOFT」のゲームの核はもう「カップルの漫才」になったんだと思う。どんな話を語るかなんて誰も気にしてないし、ぶっ飛んだ展開なんて誰も期待してないし、「回想シーン」があるなんて誰も思ってない。核はいつだって「小競り合い」で、みんなが観たいのもその「小競り合い」なんだよ……いや、その「小競り合い」を舐めちゃいけない。上手くできるメーカーはそう多くない。これが俺がSMEEを褒め続ける理由の一つでもある。
もし俺がこのSMEEの社長だったら、男主と女主の名前を固定するね。毎回「モテない男主が突然モテ期に突入」みたいなテンプレをコピペするのも疲れるし、だったら一つの名前で通せばいい。たとえば「呉老二」とか。毎回ゲームに男主の名前を入れて、『呉老二の田舎大冒険』『呉老二のお見合い珍道中』『呉老二と王お嬢様の宇宙大冒険』『呉老二と異世界の王』とか……この路線で行けば、売上どころかSMEEが一躍有名になって劇場版まで作られて、国民的IPになる可能性だってある。
でもなんかこのパターンどこかで聞いたことある気がする……あ、そうだ。「異世界」と言えば、今回SMEEは確かに「異世界転生」の設定をぶち込んできた。タイトルも露骨そのもの、『ハーレムキングダム』。男主が突然異世界に飛ばされてそこの国王になり、しかもハーレムがついてくる話だ。
今になっても思う。この設定、SMEEすぎないだろ!と。
「死オタ恋愛マニュアル」みたいな記事を書こうとして放り出したことがある。実は構想はあって、目処も立っていたんだが、ずっと筆を取らずにいた。書くとあまりに複雑になるからだ。本物の恋愛はエロゲーとは違う。相手は画面の向こうの設定された二元キャラじゃなく、生身の人間なんだから。本物の人間にはいろんな性格や特性がある。つまり君が向き合う本物の「女の子」は、何十本ものエロゲーのヒロインたちの集合体みたいな属性を持っているかもしれない。現実で出くわす「イベント」は、別々のヒロインの別々のルートに散らばっていて、使いこなして融通を利かせないと対応できないのかもしれない。
とはいえ、大半のオタクにとって問題はそこじゃない。本人のコミュ力の問題だ。
何人かの「オタク」と接したことがあるが、彼らはいつも相手が見つからない、女の子が話してくれないと愚痴る。でも実際は……女の子どころか、男だってあまり話したくない。彼らは口を開けば自分ワールド全開で、外界との交流を拒み、自分を身体の中に閉じ込めておいて、他人が自分の内面を分かってくれないと文句を言う。
コミュニケーションは双方向だ。相手に自分を知られることを許さず、それでいて相手を解剖して見せろ、選ばせろというのは、特殊な趣味のエロゲーの世界でしか起きない話だ。
もちろんエロゲーと一口に言っても、こういう「ファンタジー作品」ばかりじゃない。かなり現実に寄り添ったものもある。たとえば HOOK や SMEE の作品だ。
かつて SMEE のゲームは「オタク脱却」を後押しすることに力を入れていた。HOOKSOFT のゲームはどれも伝統的な「学園幻想恋愛」で、なぜ「幻想」かといえば、HOOK の作品には設定上いつも奇抜なアイデアがあるからだ。ロボットとか、仮想現実とか。しかも HOOK のゲームには必ず「学園内チャットシステム」があって、主人公たちの行動をリアルタイムでツッコんでくれる。
ところがここ数年、そういうものが全部なくなった。HOOK の特色はほぼ消え失せて、今では HOOK のゲームを見ても SMEE と区別がつかない。
だから今回の HOOK の新作は、完全に SMEE の味がする作品だ。『どっちのiが好きですか?』
「友達以上、恋人未満」は日本語でよく使われる言い方で、恋愛関係の曖昧さを表す言葉でもある。意味は多くの人が分かっている通り、二人の関係が「友達を超えているけど、まだ恋人には達していない」という程度のことだ。
もちろん「恋人」に達した後も、本当の「夫婦」になるまでは同じような過渡期と距離があるわけで、だから「恋人以上、夫婦未満」という言い方も出てくるはずだ。
そこでSMEEが最近出したファンディスクで、その名前をそのまま引用して『Sugar*Style 恋人以上、夫婦未満』と名付けた。
実際、このファンディスクの位置づけにも合っている。何しろ大半がアフターストーリーで、当然ながら恋人になってからの話だからだ。
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