Steam
中学生の頃、俺はもうウェブサイトを作っていた。
はっきり覚えている。中二の夏だった。無料掲示板とドメインを申し込んで、すごくしょぼい「クラスサイト」を作った。遊び半分のつもりだったのに、なぜかクラス中に広まり、学年全体にまで広まった。
自分のクラスだけじゃない。隣のクラスの連中もどんどん登録して書き込み、あれこれコミュニケーションを始めた。その交流はやがて学校公式のフォーラムに移り、さらにクラスの Discord グループへと移っていった。その Discord グループを作って管理していたのも俺だったはずだ。理由は簡単で、俺が Discord グループ作成権限を早くから持っていた数少ないユーザーだったから。そしてクラスのグループを作り、今に至るまで名目上の管理者として居座っている。もう誰も喋っていないけれど。
その後大学に入って、またいろんなサイトやフォーラムを作った。でも正直ぱっとしなくて、中学の頃の盛況を二度と再現できなかった。何度作り直したか分からないフォーラムに、俺はこんな一文を書いたことがある。
「十八歳でしか見ない夢がある。大人になって初めて分かる夢もある……」
この後にまだ何か続いていた気がするが、覚えていない。要するに、若作りで無理に愁いを装うあの感じだ。何が言いたいのか俺自身にも分からなかった。ただ、こう書くとかっこいいと思ったから、そうした。
するとすぐにクラスメイトから批判が来た。「薬でも間違えたのか、気持ち悪くて鳥肌が立つ」と。
一理あると思ったので、この言葉を Discord の署名に設定した。そうすれば毎日見られる。
何年も経って、俺は再びこの言葉を思い出した。そして今なら、この言葉はなかなか的を射ていると思う。確かに若い頃にしかやらないことがあるし、青春の頃にしか分からない夢もある。
海外のオタク層が持つ巨大な潜在力と財布の中身に気づく日系メーカーが増えたおかげで、Steamで配信されるギャルゲーはどんどん増えている。さらには「Steam専用」とでも言うべき作品まで登場していて、企画の段階から海外市場だけを狙い、国内は完全に切り捨てて売り上げを伸ばそうとしている。
ただ、そういうゲームの大半は全然売れない。日本人の「人に迷惑をかけない」というメンタリティのせいなのか、彼らはいつも自分たちの考えだけで海外ユーザーの心理を推し量る。『日本的すぎる』『硬核すぎる』内容は海外ユーザーには理解されないと決めつけ、海外のオタクが日本に求めるものは「忍者」「桜」「JK」「学園祭」あたりだと一方的に思い込んでいる。こうした思い上がった迎合はだいたい「気まずすぎる」結果しか生まない。ピンとこないなら、日本が海外市場でやらかしてきた「ローカライズ」を思い出せばいい。中国語ユーザーは日本の二次元キャラが中国語を話すのを見たいはずだと信じ込み、専用の中国語テーマソングまで用意し、中には海外ユーザーのためにシナリオを書き直したゲームまであった。結局どれも誰にも買われなかった。当時の日本人には、なぜあれほど多くの中華圏ユーザーが日本語をまったく理解できないのに日本語ボイスにこだわるのか、理解できなかったのだろう。聞いてわからないのにいいのか、と。
KFCは好きかもしれないし、あの白ひげの微笑みおじいちゃん、カーネル・サンダースのビジネス的成功も知っているだろう。だが断言する、彼の過去については理解していないはずだ。若かりし頃、料理学校で過ごしたあの日々のことは。
Steamで話題沸騰の『I Love You, Colonel Sanders! A Finger Lickin’ Good Dating Simulator』(愛してるよカーネル・サンダース!指舐めレベルの美味しいデートシミュレーター)は、まさにその神秘的な、夢のような、謎に包まれた、知られざる物語を教えてくれるゲームだ。
若き日のカーネル・サンダースは不思議な料理学校の生徒だった。そこは怪物や幽霊、Van Vanという名前のホモがいる奇妙な学校で、彼は転校してすぐに注目の的となった。毎日美しいポニーに乗って登校し、学校では犬の先生(本当に犬の先生)に褒められ、昼休みには自作のフライドチキンを披露して級友たちから大絶賛。なぜ彼のフライドチキンはそんなに美味いのか?
「11種類の秘密のスパイスを厳選して、このやみつきになる味を生み出したんだ。」
暗闇の中で目を覚ます。そこは黒い洋館で、目の前にはメイドが立っている。
メイドはあなたを「この館の主」と呼び、帰ってきたことを歓迎する。
自分が誰なのか思い出せない。メイドもそれは分かっているが、召使いとして、あなたの記憶を取り戻す手助けをすると言う。
この館の過去にまつわるいくつかの物語を聞かせてやる、聞き終わればきっと本当の自分が分かる、と。
メイドは館のとある扉の前へあなたを連れて行き、扉を開けて、その先で起きた物語を語り始める。
日本国内のギャルゲー産業がじわじわ落ち込むにつれ、Steam というプラットフォームに目を付けて海外市場を開拓しようとする連中が増えてきた。最初に一歩を踏み出したのはおそらく WillPlus で、Steam で『If My Heart Had Wings』(この大空に、翼をひろげて)をリリースした。だがこのゲームはかなりの批判を浴びた。Steam の審査基準を満たすため、そして欧米ユーザーに媚びるために、大量の削除と改変が行われ、エロ要素は消され、挙句ストーリーまで原作と違うものになったからだ。この行為に多くの Weeboo が反発し批判し、中には「原作復活」パッチを作ってゲームをこれ以上「調和」されていない状態に戻そうとする者まで現れた。
ああそうだ、Weeboo が何か知らない人もいるかもしれない。ネット上の説明によれば、Weeaboo is a mostly derogatory slang term for a Western person who is obsessed with Japanese culture。中国語で言えばもっと簡単、Weeboo=欧米人種の中の死宅である。
先日ニュースを見てて面白い記事があった。台湾の『食用系少女』ってゲームがSteamで配信を拒否されたらしい。理由はエロ要素が多すぎるから、だそうだ。
まあ別に珍しい話でもない。最近はどこのゲームもSteamに集まろうとしてるし、エロゲーもあればエロの擦り寄りみたいなのもある。Steamはアメリカの白人が仕切ってるプラットフォームだから、児童ポルノまがいのものは確実に潰される。
で、その『食用系少女』について調べてみたら、どうやら想像してたのと違う……
見た目はソフトエロっぽいけど、ゲーム自体は別にギャルゲーってわけじゃない……というか、エロゲーみたいなテキスト主体のゲームじゃなくて、ちゃんと操作できる部分がある。
はっきり言うと……これは「経営シミュレーション」がメインのゲームだ……だから余計に興味が湧いた。
でも開発が台湾の会社だから、公式サイトで大陸のIPをBanしてるし、Steamにも出せないからパッケージ版しか売ってない。遊びたくても遊び方がわからない……
ところが友人の協力でこのゲームを手に入れたので、早速プレイ開始。
『且聴琴語』、別名『純粋な心のマウント合戦音楽界(juan)』。あらすじはこうだ。文学的なのに教養ゼロ、性志向不明の浮浪者が、中国の城管がいたりアメリカのゲイバーがあったりするのに全員が日本語を話す、どこの国かもわからない、たぶん東海の中心にある无名の小島の海辺都市の音楽学校に紛れ込んで、女の子を口説いては発狂する話。
先日5chで誰かがこのゲームを勧めていた。Steam平台上のDoki Doki Literature Club!、通称DDLC。もちろん勧められたとき、このゲームのタグが目に入った:Psychological Horror(心理的・精神的な恐怖)。まあ予想はつく。日本風のギャルゲーを非日本人の鬼佬(外人)達が作ったやつで、Steamの画面ではどこまでも和やかで美しいのに、中身は詐欺、たぶん「鬱になる」要素が仕込まれているんだろう、と。
いわゆる「鬱」って、それ以上どうやって鬱にさせるんだ?ヒロインが突然死ぬ、頭が急に落ちる、突然ヤンデレ化する、いきなり斬りかかられる——せいぜいその程度だ。画面中血が噴き出すのが関の山だ。そんなもん全部見てきたわ。というわけで好奇心に負けて、無料のこのゲームをダウンロードし、「Start」を押した。
ひとしきり手に汗握る冒険を経て、本当に「End」したことを何度も確認してから、ようやく吊り上げていた心を下ろし、大きく一つ息を吐いた……
ここでちょっと恥ずかしげもなく自慢させてもらう。私は2013年から今まで、年齢だけ食って相手も見つからず、お見合いにも屡々失敗する誰からも要らない死んだオタクで、この4年間にほぼ何百本とギャルゲーをプレイし、百篇以上の感想文を書いてきた。一時期はギャルゲーなら来る者拒まずで、中にはとんでもない超展開やホラー内容のものもあったが、ほぼすべて免疫だった。たとえあのサクラノモリ†ドリーマーズで画面中に悪霊が沸こうが、仄暗き時の果てよりで画面中に血を噴くゾンビがいようが、翠の海で突然首吊りがあろうが、箱庭ロジックで手足がもがれようが、全部小さいことだ。Clock upなんかのゲームはなおさら余裕。ワシはどれもニヤリと笑って、まったく動じない。
これまで遊んだ全ゲームの中で、私を怯えさせたのはたった二つ。一つは3daysで突然画面に出た首なしCG。そしてもう一つが……このゲーム、Doki Doki Literature Club!だ。
怯えた理由はただ一つ:突然、あまりにも突然で、まったくの不意打ち
クリア後にこのゲームを振り返ると、はっきり言える。全体から見れば、Doki Doki Literature Club!は恋愛育成ゲームなんかじゃない、ホラーゲームだ。
そう、このゲームのあらゆる宣伝資料や、レビューで面白いと語る連中に騙されてはいけない。これは本当にホラーゲームだ。ゲームの最初に繰り返し強調される——メンタルが弱い人はやらないでください、子供もやらないでください、怖がりもやらないでください。この言葉は本気だ、冗談じゃない!
若い連中がギャルゲーにちょっとした「虐」要素があっても受け入れられないのは知っている。はつゆきさくら(初雪桜)をやっただけで音楽に怯えまくる奴も見たし、紙の上の魔法使いで妹が死んで悲しみに暮れる奴も見た、水葬銀貨のイストリアで人魚姫が可哀そうすぎて耐えられない奴も、魔女こいにっきで物語の中の物語のヒロインが幸せになれないから新島夕にカミソリを送ろうとする奴も見た。そういう連中にとっては、このゲームは必ず遠ざけてほしい。これは全く恋愛ゲームじゃない。ホラーゲームだ。『君と彼女と彼女の恋。』と同じスタイルのホラーメタゲームなんだ。
数年前、『グリザイアの果実』はFrontwingのアニバーサリー作品として大ヒットした。ヒットしたのには理由がある。まずゲーム自体の質が高く、「日常ギャグ」と「シリアスな本筋」を見事に融合させていた。30時間にも及ぶ共通ルートはひたすら日常ギャグ、そしてもう片方の30時間の個別ルートは怒涛の超展開。この「両方をしっかり押さえる」作りが高評価につながったのは当然だ。
グリザイアの果実:もしかしたら神ゲー
その後frontwingは調子に乗って、このシリーズの続編を出す。『グリザイアの迷宮』、『グリザイアの楽園』、さらにゲームのDLCもいくつか追加し、最後のDLC『グリザイアの旋律』を以て『グリザイア』シリーズは完結した。ゲームシリーズはアニメ化もされた。frontwingは「グリザイア」シリーズに区切りをつけて、新しい「反米神ドラマ」に取り掛かったように見えた……
Corona Blossomが完結した直後、第2巻も発表された。別に驚くことでもない。このシリーズは最初から全3巻と告知されていたからだ。
面白いのは、Corona Blossomが日本で発売されたのはSteam版の1ヶ月後だってこと。つまりSteamのほうが日本より1ヶ月早く遊べるわけで、この第2巻も含めて、日本では11月発売予定のギャルゲーがSteamに先に登場した。なかなか太っ腹である。
Corona Blossomの第1巻は、批評空間での日本人の評価はあまり高くなかった。「話が広がらない」「日常がつまらない」「分割販売は節操がない」などなど。まあ分かる。今の日本のエロゲーで、深い恨みを抱えた巫女とか、復国アイドルとか、ヤれる妖刀とか、ヤれる電車のモジュールとか出さないと、誰が相手にするかって話だよな? ありきたりな展開にはもう飽き飽きだ。空から金属の石が落ちてきてDuangっと猫耳の萌え妹子になるとか、ラノベが10年前に使い古したネタだ好吗? 全部テンプレだよ!
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