ensemble

『星の乙女と六華の姉妹』レビュー

そういえば、女装潜入モノをプレイするのはもう10年近くぶりだ。 え?「Monkeys?」のこと?あれはノーカウント。あれは精神病ゲーだから。 いわゆる「女装潜入」ものを長年にわたって作り続けている会社といえば、みんなおなじみの音符社こと ensemble だろう。この音符社のゲームはなんというか、感想をうまく言葉にできない。会社はずっと牙膏メーカー Intel の TikTok のようなペースでギャルゲーを出し続け、「女装潜入」と「お嬢様」の2つの要素を交互に組み合わせて作品を作ってきたのに、これだけ長いことやってても印象に残るものが少ない。多くの人はこのブランドを意識的にスルーしている節すらある。 理由は簡単で、同質化がひどすぎるからだ。 いわゆる「お嬢様」ゲーは、とても華やかな絵柄に「性転換小時代」レベルのシナリオを合わせたもので、プレイヤーはズボンを脱いでシナリオを C し、一発抜いて終わり。 「女装潜入」も同じく華やかな絵柄に「百合小時代」レベルのシナリオを合わせたもので、プレイヤーはズボンを脱いでシナリオを C し、一発抜いて終わり。 そうこうするうちに、このブランドのゲームは「シナリオなんてほぼない、とにかく女の子の絵が華やかで、ところどころ実用的、見た目目当てでオカズにする」というのがデフォルトになっていった。OP と ED は永遠に Duca、タイトルは永遠に「乙女」「花咲く」のたぐい。ensemble という会社は、そうやってぬるま湯で細々と生き長らえてきた。 ところが最近、何かを変えようとしているらしい。ゲームのシナリオと語りの力に手を入れ始めていて、前回は忍者モノを出し、そして今回の「女装潜入」作品はさらにガラッと変わっていて、なぜか妙に……刺さった。 『星の乙女と六華の姉妹』 タイトルはありがちだし設定もありがちだが、この ensemble をよく見ている人なら一目でわかる違いがある。 「このゲーム、絵柄が目に見えてクオリティダウンしている。」 絵のクオリティが下がった代わりに、ゲーム全体が変革されている。好奇心からプレイしてみて、本作はまさに ensemble の「女装潜入」……いや、全シリーズを通して最大胆な作品であり、最も奇妙な作品だと思わざるを得なかった。 ゲームのシナリオは簡単に言うとシンプルだが、そう単純でもない。

『恋する気持ちのかさねかた』レビュー

ギャルゲーをたくさんやっていると、いつしか法則めいたものが見えてくる。 たとえば多くのギャルゲーの恋愛描写はだいたい同じだ。ヒロインが主人公に好意を抱いても、それは心の内に溜め込まれるだけ。言い出そうとするたびに主人公はとぼけ、ヒロインは奥ゆかしく構え、主人公は相変わらずうろちょろする。そして特定のイベントが訪れて、主人公は自分がヒロインを愛していることに気づき、告白し、デートし、エッチして、END。 この流れはかなり王道だし、別に悪くもない。だが塩味の豆腐脳がうまくても、五仁入り月餅が美味くても、毎年毎月毎日食っていればさすがに飽きる。そこで一部のエロゲーメーカーは、いろんな奇抜な仕掛けを始めた。ヒロインが人間じゃなくて神様だったり、ヒロインが虐殺されたり、設定が未来だったり過去だったり、こうタイムスリップしたり、ああ未来を変えたり。 そんなことを繰り返すうち、Girl and Love Game の略であるギャルゲーという言葉も、だんだん名前負けするようになった。海外勢がいつもこれを Visual Novel と呼ぶのも無理はない。実際、物語そのものが小説と化している作品もある。なのにそういう作品でさえ、パッケージには18禁ゲームのシールが貼られ、ただ集客のために、いかにも場違いな「恋愛要素」を無理やり詰め込み、詰め込みながらエロシーンも入れて、少しでも多くのプレイヤー、少なくともシナリオなんか気にせず抜きたいだけの連中に、売上をちょっとでも貢献してもらおうと願っている。