ギャルゲー

『推しのラブより恋のラブ』レビュー

一週間前、有名な Linux カーネルの専門開発者である馬尾君がこんなゲームを送ってくれた。 『推しのラブより恋のラブ』 本当はあの焼き直しの金稼ぎ作品 Tryment が欲しかったんだけど、馬尾君はこれを送ってきて、俺に百合の門をくぐってほしいと願っているらしい。 ゲームは長くない。遊び終わって、俺はしばらく考え込んでしまった。 このゲームのおかげで、いろんな昔のことを思い出したから…… もう忘れかけていたあれこれを……

『泡沫冬景』レビュー

1980年代、日本は異常な繁栄を誇る「バブル経済」の真っただ中にあった。 当時の日本はどれくらい景気が良かったのか。だいたいみんなが外国為替をやって、円高をただ待っていれば手持ちの金がしばらくすると勝手に価値を増す。バカでさえなければ、金を突っ込む勇気さえあれば、適当に金融の真似事をやるだけで楽に大金を手にできた。 当時の日本人はもう「金持ち」の代名詞みたいなもので、国内での消費に飽き足らず、アメリカへと乗り込み、湯水のように金を使う海外遠征の日々を始めていた。日本人のアメリカでの「爆買い」ぶりに白人はあっけに取られた。気に入ったものがあれば迷わず買いまくり、ゴッホの名画まで買っていき、タイムズスクエアの各種看板の所有権まで買い取ってしまった。海外での狂乱だけでなく、日本国内の人々も最後の宴を始めていた。消費主義、享楽主義が横行し、若者たちは最新のポケベルや携帯電話を身につけ、資本家やヤクザは狂ったように外国為替をやり、土地を転がした。実体経済など誰も見ちゃいない。膨大な金が不動産市場に流れ込み、東京の地価はうなぎ上り。東京で家を一軒買う金があれば、アメリカのプロ野球球団を何球団も買えてしまうほどだった…… そんな狂った日本の環境へ、大量の貧しい人々がネオンきらめく東京へと押し寄せ、一攫千金の夢を追い始めた。 その中には日本の田舎から来た者もいれば、海外から、はては中国から来た者もいた。 『泡沫冬景』というゲームは、まさにそういう物語を描いている。

2019年に俺が一番好きだったギャルゲー

2019年は俺にとって色々あった。一番デカい出来事はSurface Pro 4を嫁にあげちゃって、手元にGalをプレイできるデバイスがなくなったことだ。しかも下半期はマジで忙しくて、積んでるゲームも多いし、クリアしたけどスクショが見つからない奴もある。でも最近の頑張りで2019年のゲーム感想を少しずつ書き終えて、昨日最後の一本を書き上げたことで、ようやくこの遅れに遅れた年度ゲーム総括を書けるわけだ。 じゃあ前置きはいいから、俺が「良い」と思った作品をオススメしていくぜ。
広告

『アオナツライン』レビュー

「青春」って言葉はよく見かけるけど、それって一体何なんだろうな? よくこういうのを見る。 「XXXってドラマが終わった。俺の青春も終わった」 「XXXってアニメが終わった。俺の青春も終わった」 「XXXが結婚した。俺の青春も終わった」 もし「青春」が若い頃の単なる一状態にすぎないなら、それは年齢と共に終わるもんであって、特定の誰かやアニメやドラマに左右されるもんじゃない。 人によって「青春」の意味は違う。

『慰愛の詩』レビュー

去年、ある同人ゲームが俺の目を引いた。それがこの『慰愛の詩』だ。 惹かれた理由はただ一つ、ヒロイン視点のBLゲームだから…… もちろん俺はホモじゃない。このゲームをやったのはBLだけじゃなくBGもあるからだ。 BLゲームでGLをやるなんて、笑い話にもほどがある。だが出てしまった以上は現実で、ゲームとして俺の目の前に現れた。 同人作品ながら珍しく全ボイス付き。ただ残念なことに、このゲームには立ち絵がない。 まずは声優陣を褒めたい。とても良い。特にヒロインの造形が深くて魅力的だ。男二人には興味が持てないが、まあ無難な出来だ。それにしても立ち絵がないのはかなり痛い。絵師が見つからなかったのか、背景も実写写真をPSしただけのもので、予算が相当厳しかったのは間違いない。 では物語の話をしよう。

『パニカル・コンフュージョン』レビュー

最近性欲が爆発していて、しかも「ヒロインが可愛い」ゲームをずっとやっていなかった。目の前にあるのは絵柄が好みじゃないうえに、シナリオも異常にクソなゲームばかり。そんなとき、ある考えが浮かんだ。 萌え抜きがやりてえ! というわけで、積んだままのゲームのフォルダをかき回して見つけたのが、この『パニカル・コンフュージョン』だ。 実はこのゲーム、かなり前に落としてはずっとやっていなかった。日本のオタク連中からの評価が悪くて、「キャラの絵がいい以外は何もない」と言われているのがほとんどだったから、優先度も低かった。 でも今の自分は昔とは違う。求めているのは「ヒロインが萌えでヤれればそれ以外何もなくていい」萌え抜き、そして白もち桜が描く女一号だ。 だからこのゲームを開いた。

『クロスコンチェルト』レビュー

前から思ってたんだけど、日本のエロゲー業界はそろそろ新しい姿勢を学ぶべきだ。たとえば新しいゲームスタイルを試すとか、インタラクションシステムを強化するとか、設定や世界観を広げるとか、販売チャネルを増やすとか。Steamで出すとか、最初から簡体字中国語に対応させるとか。売上も伸びるし、質も上がる。 ところが物事はいつも想像通りには進まない。日本のエロゲー業界は前者だけ覚えて、後者は捨てた。 つまり、売上と利益ばかり気にするようになった。質を上げる? そんなの存在しない。たまに「良心的大作」っぽいものが出ても、結局は意味不明な気まぐれ作品で、脚本が勝手に暴走して、最後は爆死。ブランドごと消える。 こういう「気まぐれ」と違って、大半の「負けられない」老舗ブランドは堅実に……金を巻き上げる道を選んだ。 だから分巻販売やSteam販売が増えて、同時にありとあらゆる単純粗暴なゲーム設定も増えた。物語がどうかなんて気にしてない。売れて金になればそれでいい。 こんな金の稼ぎ方ですぐに「ちゃんと物語を語る」会社は瀕死になった。でも一部の会社は新しい手を覚えた。「クラウドファンディング」だ。

『サルテ』レビュー

サルテが目を覚ますと、そこは妙な場所だった。芝居の舞台のような空間で、ただ客席には誰もいない。 「こんにちは、サルテ。君はもう死んでいる」 仮面をつけた道化師が現れて、軽薄な声で残酷な事実を告げる。 「私が、死んだ?」 「そう、君はだいたい死んでいる。残念ながら、自分が死んでいることにも気づいていないし、どうやって死んだのかも分かっていないようだ。だからここを用意した」 道化師が指を鳴らすと、舞台の照明が灯る。 「君は生前、女優で、そして王国の王女だった。今から君に復活のチャンスを与えよう。条件は、この誰もいない舞台で君の一生を、死ぬところまで演じることだ。俺が満足したら、復活させてやる」 「でも、自分がどうやって死んだか思い出せない」 「演技が進むにつれて、俺がヒントをやる。そのうち思い出すかもしれないぞ? それとも、この死に戻りのチャンスを諦めるか?」 サルテは諦めたくなかった。頭の中の限られた記憶だけを頼りに、この舞台での独白と演技を始める。そして自分の人生を振り返り始めた。

『あまいろショコラータ』レビュー

新しく知り合った人に「ギャルゲー やってる」と言うと、決まってこう返ってくる。 「あー、あれでしょ? やったやった、ネコぱらでしょ、なんかすごいアレなやつ、へへへ」 ネコぱらも確かにギャルゲーではあるけれど、ギャルゲーと「ネコぱら」をイコールで結ばれるたびに、内心かなりムカつく。理由は単純、俺はネコぱらが嫌いだからだ。 同じく「ネコぱら」を嫌う某政治厨のオタクとは違い、俺が嫌いな理由は原画家の右往左往でもなければ、制作陣が Steam で荒稼ぎしているからでもない。このゲーム自体が大したことないからだ! まず、「ネコぱら」は抜きゲーであり、しかもかなり凡庸な抜きゲーだ。日常会話や設定にもこれといった光るものはなく、DLsite に放り込めば似たようなものが掃いて捨てるほどある。唯一の利点は Emote を採用していて見た目がちょっと高級なこと、そして最大のヒット理由の一つが「公式の非日本語対応」をいち早く打ち出したことだ。世界中にオタクは山ほどいて、日本語が読めずに意味不明な文字列を眺め、毎日掲示板を巡回して漢化を待つしかないという地獄を味わっていた。そこに突然、Steam で和風テイスト、日本語ボイス、ローカライズ対応、しかも安い。おまけにSteam でギャルゲーを遊ぶ唯一の選択肢だったわけだから、爆売れするのは当然だ。 そう、記憶が正しければ、ネコぱらが Steam に登場した当時、Willplus の英語版しかないクソゲー以外に、お前の選択肢はこれしかなかった。 つまり「ネコぱら」の成功はただの天時地利人和、時代が作った成功であって、作品そのものの質を証明するものではない。
広告

『スタディ§ステディ』レビュー

俺の名前は「王お嬢」、性別は男だ。 誤解しないでほしい。俺は王という姓で、名前が「お嬢」なんだ。王お嬢が俺の名前で、紛れもなく男である。 本来なら江浙あたりをうろついているはずだったんだが、鳩妹と女教師との修羅場恋愛で心に大打撃を食らってしまった。そこで思い立ったが吉日、旅に出ることにした。北へ向かい、雪一面の土地にやって来て、ここで学校に通うことになると告げられた。 友達はいない。あるのは自分の「Koogle」だけだ。Koogleはスマホの音声アシスタントで、普段はそいつの相手をしながら間抜けな会話をしている。 こんなに寒くてたまらないクソみたいな場所で、まだ暮らせというのか? マジでアホくさい。 幸いなことに、ここには俺一人じゃない。何人かの女の子と知り合うチャンスはある。 Lawsonのコンビニでバイトしている白髪の富二代、黒髪ストレートに黒タイツのむっつりスケベな先輩、背の低い小さな仕立て屋の女の子、そして獣医になりたいという甲状腺亢進気味の妹。 しかも不思議なことに、この四人の女の子がそろって俺に強い興味を示してくる。この学校は女子校なんじゃないか、あるいは他の男子のペニスが小さすぎるんじゃないかと疑わざるを得ない。