ギャルゲー

『Sugar * Style』レビュー

何か奇抜な前置きを書こうかと思ったが、どうせ奇抜に書いたところで誰もじっくり読まないのでやめた。ゲームの話をしよう。

『絆きらめく恋いろは -椿恋歌-』レビュー

『絆きらめく恋いろは』は発売当時、これといった亮点がないように見えたのに、最終的な売上は意外なほど良く、しかも……評価も高かった。 評価が高いのはゲーム本編がどうこうというわけでも、ヒロインの女一号の造形がどうこうというわけでも、あのメインシナリオがどうこうというわけでもない…… ひとえに女二号、つまり椿というキャラが可愛くて萌えるからだ。 で、その椿のルートが何かというと、本人は一族最大の栄誉と資源を持ちながら、ゼロから成り上がった連中にことごとく叩きのめされ、最後はかろうじて尊厳を保っただけ。こんな筋書きのどこが褒められるんだって話だが、それでも大衆は椿を可愛くて萌えると感じ、そのルートで俺が唯一いいと思った心理描写や努力と奮闘のあれこれは完全に無視された…… トニカクカワイイ、要するに可愛ければいいのだ。 ふざけんな! またか! またか! シナリオが萌えに負けた! そして今回は萌え勢に配慮して、このゲームはファンディスクが出た。主役は元の主役ではなく、ルートも元のルートではなく……椿だ。 タイトルも『絆きらめく恋いろは -椿恋歌-』になった。

『ソーサレス*アライヴ! ~the World's End Fallen Star~』レビュー

非著名エロゲー開発会社のLASSは2018年5月に完全に息を引き取った。社長の剣技マナは「5月1日以降の業務は全てDMMに移管する」と宣言し、LASSの主力ライターだったLEGIOんもDMMへと移り、新作の開発に参加した。 そうして下半期になると、新会社Fluoriteが現れ、新作『ソーサレス*アライヴ! ~the World’s End Fallen Star~』も現れた。このゲームのスタッフロールに、俺は見慣れた名前を見つける。LEGIOん、そしてもう一人の見慣れた絵師、早川ハルイだ。 この「LEGIOん」とは、実は俺もやり取りしたことがある。彼の生活はあまりうまくいっていないようで、LASSが倒産した後は流れに身を任せているような雰囲気があった。会社が潰れ、母親も亡くなり、まるで蚁族のように生きている。俺はTwitterで彼に「頑張って」と伝え、彼も返信してくれた。しかし驚いたことに―― 彼は中国語ができるのだ! しかも恐ろしいことに、彼はしばらく前から俺のTwitterをフォローしていたらしい……つまり、俺が毎日あそこでグダグダ文句を言い、この会社はバカだと罵り、あのライターはバカだと罵っていたのを、恐らく全部理解されていたということだ。 だから『ソーサレス*アライヴ!』が発売されたとき、俺はこっそりXに移動してツッコミを入れた。一つには、制作陣に「お前が遊んでるのは海賊版だ」とバレるのはさすがにまずい。もう一つには、本人を目の前にして「このゲームはクソだ」と言うのは…………あまりに失礼すぎる。 で、このゲームは実際クソなのか? 少なくとも最初に体験版を触った時点では、そうだった。
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『食用系少女』レビュー

先日ニュースを見てて面白い記事があった。台湾の『食用系少女』ってゲームがSteamで配信を拒否されたらしい。理由はエロ要素が多すぎるから、だそうだ。 まあ別に珍しい話でもない。最近はどこのゲームもSteamに集まろうとしてるし、エロゲーもあればエロの擦り寄りみたいなのもある。Steamはアメリカの白人が仕切ってるプラットフォームだから、児童ポルノまがいのものは確実に潰される。 で、その『食用系少女』について調べてみたら、どうやら想像してたのと違う…… 見た目はソフトエロっぽいけど、ゲーム自体は別にギャルゲーってわけじゃない……というか、エロゲーみたいなテキスト主体のゲームじゃなくて、ちゃんと操作できる部分がある。 はっきり言うと……これは「経営シミュレーション」がメインのゲームだ……だから余計に興味が湧いた。 でも開発が台湾の会社だから、公式サイトで大陸のIPをBanしてるし、Steamにも出せないからパッケージ版しか売ってない。遊びたくても遊び方がわからない…… ところが友人の協力でこのゲームを手に入れたので、早速プレイ開始。

『デイグラシアの羅針盤』レビュー

『デイグラシアの羅針盤』は同人サークルCatalystが制作した同人ゲーム。初出は2015年ごろで、2018年12月にグラフィック強化とOP2追加を経てNintendo Switchに移植された。

『言の葉舞い散る夏の風鈴』レビュー

『言の葉舞い散る夏の風鈴』は発売前からかなりの人気があった。別にこのゲームの設定がヤバいほどすごいわけじゃない……制作スタッフの面子のおかげだ。シナリオの範乃秋晴は以前『景の海のアペイリア』やロケット開発の話を書いていて、評価も悪くなかった。今回は絵師(より腕の立つ絵師を連れてきた)以外はほぼ同じ面子なので、期待するのも当然だろう。 ゲームが発表されてみると、特に目新しいものはなさそうだった。少なくとも前作『景の海のアペイリア』と比べると、今作はほとんど白湯みたいな設定だ…… でもシナリオ担当のおかげで、大半の人はこの作品にかなり期待していたようだ。 しかし、俺たちはこの作品に何を期待していたんだろう?超展開?ハイテク?物理学の教科書?論理パズルのクイズ? 脚本が以前あんなすごいものを書いたんだから、この作品もすごいはずだ、たとえ「青春」で「普通」の設定を掲げていても、裏にはきっと深く考えさせられる内容があるに違いない——そう思っていた人も多いんじゃないか。 だが、俺たちはみんな間違っていた。これはただのこれ以上ないほどシンプルな白湯作品だ。 ああ、むしろ白湯としても不合格だ……

2018年、個人的に一番おすすめのギャルゲー

2018年に遊んだギャルゲーは全部で40本。2017年よりさらに減った。これは現実生活が充実してきた証拠でもあるし、裏を返せば……今の業界はマジで終わってるってことでもある。 見てみると、ほとんどが上半期に遊んだものだ。下半期はめっきり少なくて、しかも遊びたいと思わせるゲームがほとんどなかった。作品数もおそらく少ない。 良いことだ。来年はもっと減るだろう。ついでに業界には早く終わってほしい。そうすれば救われる子供が増えて、現実とちゃんと向き合える。 遊んだ数は少ないが、それでもいくつかは遊んだ。なのでいつも通り、良かったと思う作品を紹介しよう。

『空に刻んだパラレログラム』レビュー

ギャルゲーといえばエロゲー、エロゲーといえば印象に残る作品、印象に残る作品といえば『紙の上の魔法使い』、そしてその背後のシナリオライターといえばルクルだ。ルクルといえば2018年末に桐葉と共に送り出した新作『空に刻んだパラレログラム』、文学畑からスポーツ背景へと跨ぎ、まさに文と体の二刀流、注目すべき作品である。 俺はルクルについて何度も語ってきたし、彼の作品も何度も勧めてきた。物語の面白さが最大の理由だが、ルクルは話がうまく、文章も幼稚じゃない。読んでいて心地いい。これが彼の最大の個性であり魅力だ。誤字が多いと叩く人もいるが、毎日のように文章を書く人間に誤字の一つや二つあるだろう(自分のことではない)。だから今回の『空に刻んだパラレログラム』の発表で、俺は板挟みになった。 板挟みはすぐに分かる。一方でルクル新作への期待、あの酸っぱ気持ちいいシナリオへの期待がある。一方で……この新作……『空に刻んだパラレログラム』、パクリ臭が強すぎないか? 言うまでもなく、目がある人なら分かる。この『空に刻んだパラレログラム』は、背景設定もキャラ設定も、とっくに潰れたあの会社のあの作品に極めて似ている。そう、Spriteの『蒼の彼方のフォーリズム』、通称あおかなだ。同じ空中スポーツ、同じ主人公コーチ役、同じ4色のヒロイン。一時期このゲームの評価は諸説紛々で、大半はあおかなの「精神的続編」と見ていた。設定が似すぎているからだ。さらにルクルの過去作の傾向から、この『空に刻んだパラレログラム』も人がバタバタ死んだり障害を負ったりするんじゃないかと推測する声もあった……彼の過去作はどれも鬱展開だったからな。 だから心配で、板挟みで、しかしどうであれクリアしないと分からない。2018年の終わり、米中合作の西遊記がクランクインする前に、俺はようやくこのゲームを終えた。だがもっと困惑する境地に陥った。 「このゲームは過去作と比べて、進歩したのか、後退したのか?」 この問いに答える前に、ゲーム全体を振り返った方が答えを出しやすいだろう。

『ココロが繋ぐ恋標』レビュー

『ココロが繋ぐ恋標』、先月のゲーム。実は最初はあんまりやる気なかったんだけど、日本人が「このゲームは80点の価値がある」とおすすめしてるのを見てしまった。 またしても手が滑って信じてしまった。 このゲームはどう見てもMOREの断末魔だ。MMEのブランドのブランド、KATE産の流れ作業作品で、このゲームを出したあとMMEは解散したらしい。どう見ても最後の足掻きをしてるLASSみたいなもので、高品質なわけがない。 でもネットで日本人が、このゲームにはルートがいくつかあって、他のルートはクソだけど、メインのココロ√はかなり良いと言っていた。 またしても手が滑って信じてしまった。
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『アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-』レビュー

『Amazing Grace』という有名な曲がある。日本語だと「アメイジング・グレイス」、日本語訳は「素晴らしきかな、我が神の恵み」なんて言われたりもするが、まあ要するに賛美歌だ。キリスト教と深い縁のある宗教曲で、あまりにも有名になりすぎた結果、今では宗教の枠を超えて世界中で親しまれている。 歌詞の意味はタイトル通り、神が与えたもうた恩寵を讃えるもの。ただ、人がこの曲に惹かれるのは、その「神聖さ」に心を揺さぶられるからだろう。宗教音楽が持つ独特の魔力ってやつだ。 そして今年の年末、その『Amazing Grace』の名を冠したゲームが登場した。しかも18禁エロゲー。おまけに梱枝りこが絵師、冬茜トムがシナリオという超弩級の布陣である。 冬茜トムと梱枝りこの前回のタッグは『Magical Charming』で、あのゲームは俺が「最強のギャルゲー」と呼ぶ作品だ。日常パートも伏線の張り方も、システムそのものまで光り輝いていた。その後も冬茜トムはいくつか企画を出しているが、正直いまいちだった。去年の『もののあはれは彩の頃。』もシナリオに光るものはあったけれど、どこか一歩足りない。だから今年の冬茜トムはやる気満々である。昔の相棒・梱枝りこを呼び戻し、さらに『Magical Charming』のOPを歌った佐倉紗織まで引っ張り出して、新作『アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-』を作り上げた。意味は「Amazing Grace、お前の属性は何色?」ってところか。だがこのスタッフ陣を見てくれ、どう見てもLump of Sugarの作品である。あの鮮やかな「きゃべつそふと」のロゴがなければ、99%の人がLump of Sugarだと信じるに違いない。お馴染みのシナリオ、お馴染みの絵師、お馴染みのOP歌手。完全に同じ套路じゃないか。 もちろん、このゲームをやったのはきゃべつそふとに期待があったからでも、シナリオに特別なこだわりがあったからでもない。「冬」のゲームだからだ。 そう、俺を知ってる人なら分かるだろう。俺は冬の雰囲気が好きなのだ。雪が舞い散るあの彩りが好きだから、必然的に冬が舞台のゲームも好きになる。 で、発売リストを見ていたら『アメイジング・グレイス』があって、舞台は冬、シナリオも外れではなさそう。ならばやってみるか、と。