ギャルゲー
Type Moon 傘下の作品群に興味がない俺のような人間でも、これだけは認めざるを得ない。
Type Moon の Fate シリーズは、史上最も成功したギャルゲーだ。
成功とは何か? 一つの製品が生み出すファン効果で、彼らはただ焼き増しを繰り返すだけで金を稼ぎ続けられる。適当にでっち上げた外伝ですら金を吸い上げる機械だ。これが成功でなくて何が成功なのか。
2004年から今の2018年まで、Fate シリーズは二度のアニメ化、一度の前日譚小説のアニメ化、数え切れない劇場版、そして様々な派生ゲーム、派生漫画、派生アニメなどを経て、今ではスマホゲーの Fate/Grand Order まで大量のオタクが大金を突っ込んでいる。Fate の看板はあらゆる領域に広がっているが、多くの人は覚えているだろうか、Fate シリーズの起源は一つのゲーム、ギャルゲー、しかも18禁のギャルゲーだということを。このゲームは元々シナリオライターの奈須きのこが書いた小説で、市場に出すためにギャルゲーにしたという話も知っている。だが初登場がギャルゲーの形だったのは確かだ。
一つのギャルゲーから広がった世界がここまでの規模になった。これが巨大な成功でなくて何なのか。
変わった設定のゲームを色々遊んできたけど、中でも一番印象に残っているのが主人公がアルパカにされるあのゲームだ。
あれはなかなかエモかった。大好きな萌えキャラがアルパカになっちゃうわけで、真愛が試される瞬間ってやつ。ついでに言うとあのゲームは普通におすすめ。
ヒロインの変身だけじゃなく、主人公が変わるパターンもある。最近有名なのだと、主人公が黒猫になる某ゲーム。あれはアニメ化までしてるから多くは語らない。
こういうゲームはだいたいコメディになる。何しろ設定自体がコメディ級の超展開だし、主人公が突然別の種族になるんだから、笑いが起きないわけがない。
で、このタイプに新たな刺客が加わった。有名音ゲー開発会社 More の子会社の子会社の子会社ブランドが改名した子会社ブランド、KATE が放つ最新作『恋はもふもふ!ラブ・ミー・テディ』だ。直訳すると「恋はもふもふ、love me teddy!」。
なんで Love my teddy じゃないんだというツッコミは置いといて、調べたら love me teddy ってのはどうやらネタらしい。設定は至ってシンプル。主人公がテディベアになって、女の子たちに拾われてこすられる話だ。
誰だって子供時代を経て大人になる過程で、一度は見るもんなんだよ……生理、健康、人体芸術、刺激、ビデオテープってやつを。
で、そういう……生理、健康、人体芸術、刺激、ビデオテープの中で、一番有名なのは女教師やCA、OLを差し置いて検察官シリーズだろう。
検察官シリーズの映画は大体こんな話だ。女性警官が悪の黒幕犯罪組織と戦うため敵組織に潜入する。だが不幸にも見つかり、敵に責められ凌辱され……おっと屈辱を受けた後、不屈のヒロインが最終的に悪を打ち破り任務を果たす、みたいな……
もちろん、こういう教育的意義の強いストーリーはビデオで松下紗栄子が自ら演じる姿でしか見られないわけじゃない。ギャルゲーの分野でも、いわゆる「二次元版」が見られるわけだ。
むちゃくちゃヤバい奴がかつて「旧校舎」と「新校舎」という概念を語ったことがある。
もちろん、そいつは人間の言葉を話さないから、要は Old School と New School のことだ。はっきり言えば「新タイプ」と「レトロタイプ」。このパターンは他のゲームにも音楽ジャンルにもあるが、エロゲーの世界にも当然ある。
最初のエロゲーが何だったか覚えてるか?
主人公が美人に出会って、意気投合したら即 fuck、終わったらおしまい。カーマック大神がFPSについて言ったのと同じだ。「ゲームはAVで、ストーリーは余計だ」。裏を返せば、ゲームは気持ちよくなるためのもので、クソみたいなストーリーや創作なんて何の意味がある?気持ちよくないならゲームなんてやる意味あるのか?
普通のゲームでさえこんなに明確なのに、ましてやエロゲーにおいておや。
エロゲーは何のためにある?AVとして見るためだろうが!
だからダラダラした起承転結なんてクソ食らえで、さっさと脱いで始めりゃいいんだよ!
個人的にClockUpのゲームはかなり好きだ。いつも「リアル」だと感じるからだ。
そう、リアルなんだよ。本当の意味での「18禁」であって、「エロシーンを入れたから18禁になりました」みたいなゲームとは違う。
ぶっちゃけ多くの18禁ゲームは、取ってつけたようなHCGを削除すれば対象年齢13歳くらいがちょうどいい。だがClockUpは逆で、HCGを全部消しても18歳未満には勧められない。結局ゲームそのものの内容と、そこで表現される感情が未成年には受け止めきれないんだよ。グロテスクな流血と暴力、そして衝撃的な画面が突きつけてくる人生や人間性への問い。それがウリだ。
ClockUpのゲームはいつもヤバいと褒めてるけど、全部が全部そうじゃない。やっぱり脚本次第で、Lightの主筆が参加した『眠れぬ羊と孤独な狼』『Maggot baits』みたいなのもあれば、浅生詠が手がけた小品ながら深い作品群もある。『夏ノ鎖』や『euphoria』なんかがそうだ。で、今回はその浅生詠が再び筆を執り、ClockUPと組んで送り出した新作が『Erewhon』だ。
実を言うと、今の高校生の幸せな生活とは違って。俺は高校に入るまで、小遣いなんて一切もらってなかった。
そう、「お小遣いが少ない」んじゃなくて「そもそもゼロ」だったんだよ。小学生と中学生の頃をどんなふうに過ごしたか、想像してみてくれ。
両親はといえば、完全にお金をくれないわけでもなくて、たまに1元か5元をくれるのが精一杯の譲歩だった。外に出て焼餅や油条入り卵焼きを買うのが、すでにかなり贅沢な消費で、自分の欲しいものを買うためのお金なんて、自分にはまったくなかった。
自分はよく、友達が自分の財布を持っていて、お小遣いで好きなものを買えるのが羨ましかった。でも俺は何を買うにしても、いちいち親の許可を通さないといけない。もちろん、欲しいのはミニ四駆とかそういう類のものだけど、親がそう簡単に買ってくれるわけがない。当時、国内の海賊版の「アオシマ双星」でも人民元で10塊はした。ポケットに1~2塊の硬貨しかない俺には、まったく手の届かない話だった。
「いつか十円持てたらいいのになあ」
当時の俺の願望はそんな感じで、シンプルで、ストレートで、純粋だった。
バタフライシーカーというゲームが今年の初めに発売されて、じゃあ下半期には、バタフライシーカーのファンディスクを名乗る『バタフライシーカー ~カオス・ナイトメア~』が出たわけだ。
普通、本編がそこそこ売れたらFDが出るし、本編がイマイチでもFDが出たりする。エロゲー制作はそこまでコストが高いわけじゃないから、声優がちょっと大変なだけで、あとはコピペみたいなもんだ。金になるなら出さない手はない。バタフライシーカーのブランドの他の作品を見る限り……(そう、あの景の海のアペイリアのことだ)、FDってのは大体ただの小芝居で、本筋とはあんまり関係なくて、質も本編以下。本編で攻略できなかったキャラの話を入れてくるか、ただの中身のない話か……
要するに、金稼ぎの作品で、売ってるのは思い入れだけ。期待する方がおかしい。
ところが、この『バタフライシーカー ~カオス・ナイトメア~』はマジで驚かせてくれた。
誰にでも矛盾したところはある……
たとえば辛いものが好きなのに、辛いものを食べたあとの爆裂する尻穴が嫌いな人。 たとえば妖怪が怖いのに、止められずに怪談を見てしまう人。 たとえばゲームが好きなのに、毎日動画のクリア済みプレイを見て、他人に合わせて「やべえwww」と叫ぶ人。 たとえばエロゲーが好きなのに、5chやフォーラムにだけ潜んで他人の議論を眺め、分かったふりをして知ったかぶる人。
たとえば俺だ。俺はサスペンスや謎解きの話が好きなのに、探偵小説は大嫌いだ……
バタフライシーカー、今年の3月のゲームで、つい最近ようやく全ルートクリアした。
最初にこのゲームを触りたくないと思った理由は、ひとえに脚本の海原望が個人的に好みじゃなかったからだ。
海原望はたぶん Liar-soft の人で、彼が関わった作品をいくつか遊んだことがある。悪いとは言わないが、いつも大きな違和感を覚える。その違和感は原画や設定そのものから来るものではなく、たぶん脚本や会話の描写のところから来ている。だから今回バタフライシーカー の脚本がまたこいつだと知って、正直触る気が失せた。
とはいえ遊ぶゲームが本当にない。萌えゲーは好みじゃないし、他の人が神ゲーと持ち上げるようなゲームも好みじゃない。自分が好きなのはどちらかというと昔ながらの「ミステリー」「謎解き」「物語」で、あれこれ探した結果、上半期の残りはバタフライシーカー くらいしかなかった。
結局このゲームをやったわけだが、他にやりたいものもなかったのでかなり真面目にプレイして、全通した後はなかなか良いじゃないかという気分になった。
海原望のゲームを最後まで遊べたのはこれが初めてかもしれない。海原望は星空めておの別名だと言う人もいるけど……星空めておはよく知らないのでまあいいや、ははは。
日系作品はよく「四葉のクローバー」をネタにする。たいていは、主人公とヒロインが草むらの中から「幸運」の象徴である四つ葉のクローバーを見つける、という話だ。
この手のクリシェは一度やれば十分なのに、残念ながらどこでも使い倒され、もはや氾濫している。2003年にはすでに Clover Hearts みたいなゲーム があったし、その後も今に至るまで四つ葉のクローバーにまつわる伝説は後を絶たない。思うんだが、日本ってそこら中に四つ葉のクローバーが生えてるんじゃないか? 四つ葉は希少だからこそ幸運の象徴なのに、なんで男女はいつもこんなレア物をサクッと見つけられるんだ?
昔、このネタで記事を書いてツッコんだこともある。四つ葉が幸運なら、平凡な三つ葉は何なんだ? 四つ葉に比べたら三つ葉は不幸ってことか?
もちろん三つ葉が不幸なわけじゃない。ただ、三つ葉と四つ葉で人を例えるなら、四つ葉が手にする幸福は確かに誰もが持てるものじゃない。俺の中では「三つ葉は平凡と凡庸を表す」という理解だ。
昨年 More が子ブランド DOLCE を立ち上げ、第一弾『カサブランカの蕾』を発売した。俺の評価はかなり高かった。欲望と真実の愛について「リアル派」の描写で、ラストは旧曲の新歌と相まってマジで光ってた。
今年も DOLCE が新作を出した。More の気まぐれブランド乱立の傾向からして、このブランドは同じ路線を続けるんだろう。新作のタイトルは『シャムロックの花言葉』。そして予想通り、前作同様にリアルでややダークな路線だ。少なくとも俺が偶然見たおすすめ CG は、でかい 3P 画像だったしな……
このゲームに触れるまで、「Shamrock」が「三つ葉」を指す専門用語だなんて知らなかった。ずっと Clover だけだと思ってた。三つ葉の花言葉も調べた。見て、なんで四つ葉が幸運の象徴なのか納得したよ。
三つ葉の花言葉: 一片は祈り、 一片は希望、 一片は愛、 最後の一片は幸福。 四つ葉のクローバーを見つけられたら、あなたは幸福を見つける。
つまり、四枚目の葉が見つからなければ……すべてを持っていても、幸福だけはない。
そう、このゲームは四人の少女がすべてを持ちながら、幸福だけを持たない物語だ。
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