ギャルゲー
『ワガママハイスペック』は昨年なかなかの成功を収めた作品で、ショートアニメまで出た。しかもアニメの品質はとある皇女流浪猫よりずっとマシだった。後者はもう金が尽きたらしい。ゲームが売れれば当然続編だ。
というわけでまどそふとが一年近く温めていたのが『ワガママハイスペックOC』である。
最初は続編だと思った。まどそふと自身も続編と書いていた気がする。この「続編」では、本編で攻略不可だったクラス委員長・四月一日奏恋、主人公の担当女編集者・鷹司千歳、そして主人公のクラスの女教師・岩隈縁が攻略対象に昇格。もちろん元のヒロインたちも攻略可能だ……
そして体験版は出さず、いきなり製品版。
これはもしやFDでは……と思った。価格を見ると1万円近い。そんな露骨なことはないだろう。
起動してみて、うわ……マジでFDだった……
過去の自分のギャルゲー感想を振り返ると、苦笑いしたくなる。
昔の自分はいつも思っていた。ゲームがヤバいものになるには、とにかくシナリオが良くないとダメだと。シナリオが良いって何だ?つまり超展開がなきゃいけない。しかも展開が飛躍しすぎてもいけない。爆発的な展開で、なおかつ合理性を保ち、伏線は山ほど張って全部回収する。できれば人生の教訓や世界の真理なんかも少し織り込んであれば、それがヤバいゲームなんだと。
今から思えば、当時の自分が追い求めていたのは「シナリオ重視」の中のヤバいゲームでしかなかった。でも映画館にアメリカの大作があるように、そこらへんの凡作もあるように、ギャルゲーだって「シナリオ重視」だけじゃない。
ゲームがキャラクターを十分可愛く造形できていれば、それも悪くないんじゃないか――そう考えたこともあった。ただ、そういうゲームは「シナリオ重視」のゲームより一段下に見てしまっていた。向こうは大作で、こっちはキャラを可愛く造形して萌えを売るだけの、いわゆるお茶を濁すような作品だと。『DEATH NOTE』と『ゆるゆり』を比べるようなもの、3A大作と minecraft を比べるようなものだ。普通は同じ土俵じゃないと感じる。
サクラノモリ†ドリーマーズは去年プレイした。当時の感想は「序盤は良い、設定はまあまあ、高開低走、尻すぼみ」だった。確かあのゲームのプロモーションOPはめちゃくちゃカッコよくて、OP前の演出もバッチリ決まってた。主人公が初めて恋をして、想い人のまどかに告白した矢先、油断した隙にまどかが殺人鬼に殺される。怒り、絶望、後悔、それが爆焔のOPとともに爆発する、まさに神がかった導入だった。
もちろんその後については言及しないが、高開低走の典型だった。中盤、主人公はわけもわからず恋人まどかを殺した犯人を探し、わけもわからずいくつかの組織に参加し、町のわけのわからない怪奇事件を解決する。終盤の展開はどんどん迷走し、殺人鬼はサイコパスで、しかも両性愛者。おまけに殺人鬼自身もわけもわからず超能力に目覚め、主人公にはパラサイトが憑く……。
この展開を見て高校時代に読んだ怪談を思い出した。最初はミステリーとしてなかなか良かったのに、途中で主人公が道術を身につけ、あらゆる霊魂と超能力仙侠大戦を繰り広げるという、思わず噴き出した展開。ミステリーからドロドロの武侠ドラマへと変貌し、大いに失望したものだ。
サクラノモリ†ドリーマーズにも同じ失望を味わった。最初は良かったのに、後半はめちゃくちゃ。その後、サクラノモリ†ドリーマーズのシナリオライターである呉二…おっと、呉先生も別のゲームを書くようになった。相変わらずのグロテスクなホラー路線だが、内容はもはやサクラノモリ†ドリーマーズの「夢潜入」ではない。仄暗き時の果てよりというゲームは異形とクトゥルフ風のタイムトラベル物語で、正直悪くはない。ただ、呉先生の「尺が足りないならケチャップで誤魔化せ」的なやり方にそろそろ疲れを感じていた矢先、続編として『サクラノモリ†ドリーマーズ2』が発表された。
最初は少し興味があった。サクラノモリ†ドリーマーズ2はいったいどんな話なのか。一作目で物語はほぼ語り尽くされている。主人公の彼女は死に、両性愛の変態に殺され、終盤には彼女のまどかも成仏して幽霊にすら会えなくなり、黒幕の両性愛変態も主人公に倒された。物語は比較的円満な結末を迎えている。残っているのは主人公と脇役たちの細かい部分だけ。FDならまだしも、「2」を出す? 最近は「2」でFDを指すのが流行ってるのか?
そしてゲームが発売され、細切れに2週間かけてクリアした感想としては、「2」としてまあ許せる出来だった。
エロゲーを始めてからというもの、オレはかなりクソを食ってきた。そのせいでゲームへの要求水準はどんどん下がり、今では「一つの物語をアホみたいな展開にせず最後まで語れて、キャラがそこそこ可愛くて、CVが仙台のおばさんじゃなければ、それは良いゲームだ」と思っている。
まあ、せいぜい「悪くないゲーム」ってところだが。
日本人は「予想外のクソゲー」を「地雷」と呼ぶ。要するに期待に胸を膨らませてプレイしたら、期待とかけ離れているどころか、むしろクソで、まるで犬の糞を踏んだり地雷を踏んだりしたみたいに、こちらの心が粉々に爆発する。そういうゲームを「地雷」と呼ぶのはなかなか言い得て妙だ。
正直に言うと、オレは「地雷」ゲーをそんなにたくさんプレイしたことはない。おそらくオレは欲望が小さく、ほとんどのゲームにそこまで期待を寄せていないし、許容度も高い。どんなに話がぶっ飛んでいても、まあアホな部分はあるにせよ、少なくとも光るものはある。
実はゲームがアホかどうか、クソかどうかは、主に制作陣の意識の問題だ。中には、制作側が自分で一度プレイしてみれば、このゲームがどの程度のレベルかはだいたい分かるだろう。だからプレイヤーに評価されるまでもなく、自分たちで評価すれば十分だ。
ただ、一つ不思議なことがある。一部のエロゲーは、あらゆる面から見て明らかに制作がいい加減で、制作陣も「これはかなりいい加減な寄せ集め作品だ」と分かっているはずなのに、それでも作って売り出す。
言い換えれば、お前はこれがクソだと分かっていて、それでも売り出すのか。金は稼げずに罵声だけを買うことになる。なぜわざわざ発売までこぎつけるのか。
今回取り上げるのは、その名も『アオイロノート』というゲームだ。
昔、World of Warcraft をやっていた頃、よく「カジュアルギルド」を見かけた。
そういうギルドには厳密なレイド制度なんてものはなくて、誰でも加入できる。入ったらギルドマスターが新人をちょっと助けてくれたりもする。雰囲気はゆるくて、たまにダンジョンレイドのイベントを開くけれど、大抵はルールなんてあってないようなもので、ただ遊ぶだけのノリだ。
プロのプレイヤーの多くは「厳格な階級制度」「厳しい規律」があって、より良いダンジョンに進めて良い装備が取れるギルドを求める。こういう「カジュアルギルド」には興味がなくて、大抵は鼻で笑う。だらしなくて向上心のないギルドに何の意味があるのか、彼らには理解できない。でも、その「カジュアルギルド」のメンバーたちは気にしない。ただ穏やかに自分の生活を送っているだけだ。
俺にもプロプレイヤーとして熱狂していた時期があって、この「カジュアルギルド」が理解できなかった。でも、年を取ってゲームにのめり込む時間がなくなってハードコアゲーマーをやれなくなった頃、俺はカジュアルギルドに入った。こういうギルド以外は俺を受け入れてくれなかったからだ。
入ってみて分かった。このギルドは「ギルドに入れない奴にギルドの肩書きをくれてやるだけ」に見えるけれど、実はそんなに単純じゃない。こういうギルドの核は大体ギルドマスターで、マスターは中年のおっさんの可能性が高い。気が良くて、達観していて、怒らない。ギルドには色んな奴がいるから、マスターはよく調停役になる。
メンバー同士で摩擦があっても、ギルドマスターには大抵文句がない。
新しいギルドを見つけて抜けていくメンバーも多くて、マスターは「道中気をつけろよ」と見送る。イベントがないからボスも倒せないし装備も取れないと文句を言う奴もいるけど、マスターは「すまんな、俺が不甲斐ないばかりに」と謝るしかない。
こういう「カジュアルギルド」は、マスターがいなくなったら一瞬で終わる。でも、そういうギルドのマスターは意志が強くて、いつもギルドを存続させ続けている。
ある時、ギルドマスターと話していて、興味本位で聞いてみた。「なんでそんなに手間をかけて、こんなギルドを維持してるんですか?」
「ゲームも社会みたいなもんなんだよ」とマスターは答えた。「世の中には居場所がなくて帰る家がない奴がいる。そんな奴らを受け入れて、家のような港を作ってやる場所が必要なんだ」
この言葉は今でもよく思い出す。なるほどなと思う。親がそばにいようがいまいが、俺たちはいつも孤独を感じる。「自分と共にいる者がいない」という孤独だ。だから「家庭」のような存在が必要で、そこに一時的に逃げ込んで身を寄せ、心の港にしている。
現実でもそういうことをやろうとする人はいる。孤児を引き取ったりとか。フィクションの話なら、そういうキャラはもっと多い。迷子の子どもを引き取って、お人好しの設定になるのはよくある話だ。この『お家に帰るまでがましまろです』のゲームみたいにな。
「景の海のアペイリア」……
これは「詐欺」に満ちたゲームだ。
ここ数年のギャルゲーはたいてい定型化していて、大きく分けて三種類しかない。標準的な学園恋愛もの、超展開で血しぶきが飛ぶもの、そして最後に「遊べる」タイプのやつだ。
「遊べる」というのは、その手のゲームにちょっとした「ゲーム性」があるってこと。従来のビジュアルノベルではなく、選択肢がやたら多かったり、戦闘があったり、調査があったりする。
そう、調査。AVGで一番簡単に作れるのは「調査」と「推理」のシステムを追加することだ。ダンガンロンパみたいな調査画面を適当にこしらえて、推理の時には選択肢を山ほど並べて、当たれば加点、外せば減点。戦闘ありのRPGを作るよりよっぽど簡単で、「ゲーム性」を打ち出したいAVGメーカーがまず選ぶ手だ。
で、今月「タンテイセブン」というゲームがかっこよく登場した。タンテイセブン、つまり「探偵セブン」(以下「探偵セブン」)。宣伝では「パズル探偵」を売りにしていて、その宣伝ビジュアルがとにかくかっこよすぎた。かっこよすぎて、一目見た瞬間に『ペルソナ5』みたいだなと思ったほどだ。しかもOPもかなり燃える出来で、「何かありそう」な雰囲気を醸し出している。個人的にこういう設定は好きなので、今月プレイしてみた。
プレイしてみて、まあ大満足だったよ……(いろんな意味で)。
『春音アリス*グラム』、別名『私と黒タイツ白タイツ金髪巨乳ちゃんたちの精神病院での日常』。日本のエロゲー会社、Nanawind作品。豪華絵師の七尾奈留、高苗京鈴が全力投球。豪華声優陣といえば、36歳にして仕事が見つからず、Twitterでエロゲー会社に土下座して頼み込んでも誰にも相手にされない仙台のおばさんがヒロインを担当、30歳目前でまだ嫁に行けない石原舞がサブヒロインに当選、『ガールズ&パンツァー』で一度ヒロインをやったきりアニメの仕事が来なくなった専業声優の尾崎真実が本気で知的障害者っぽく外国のお嬢様を演じる。何度も発売延期を重ね、シナリオを何度も練り直し、今月ようやく堂々発売。PlayDRMが見事にガードして、数千人のオタクは300の謎の限定版を眺めながらゲームができずに肩を落とす。発売から2週間、『批評空間』の今月最も物議を醸したゲームランキングで第5位にランクイン。あのバグまみれのタンテイセブンに次ぐ順位だ。
以前、うちのブログの記事にコメントをくれた人がいて、その人はPULLTOPという会社を蔑んでいた。正直、俺個人としてはPULLTOPの印象は悪くない。飛行機作りや田舎恋愛、それに星を見るみたいに、俺が面白いと思ったゲームもいくつか出してるし。でも確かにPULLTOPはイマイチなものや、わけわからんほど催眠なゲームも出してはいる。ただ、その大半は分社会社の仕業なんだよな。PULLTOP LATTEなんて抜きゲーブランドとして作られたんだから、催眠でもまあ仕方ない。少なくとも本家は問題ないだろ?
コメントをくれた人が言うように、PULLTOP本体はバカだってのは俺も思うことがある。例えば、飛行機作りのゲームはおそらく最初にSTEAMで配信された日本のエロゲーの一つで、パブリッシャーはMoeNovelという会社だった。このMoeNovel、ちょっと調べたら登録資産の内容がwillplusのサブブランドって書いてあった。willplusっていうのは、つまりPULLTOPの親会社だ。
実際willplusは結構デカくて、下にたくさんブランドがある。抜きゲーも多いし、普通のゲームもある。昔の螺旋桨とかPULLTOPとかensembleとかも全部その傘下だった。guiltyってブランドも知ってる。NTRを出すところだ。これだけ大きな会社なら、それなりにうまくやってるはずだろ?なのに、いつも見るのは愚策の数々で、中には頭悪すぎる措置もある。
具体的にどう頭が悪いのか、さっきの話に戻ろう。PULLTOP = MoeNovelなら、PULLTOP自身が自分のゲームを海外展開することを選んだってことだ。自分の製品を自分で出すんだから、代理店の問題もない。問題ないはずだよな?飛行機作りのゲーム自体の評判は良かったし、海外のオタクも遊びたがってた。有志の英訳も完成してたし、STEAMで出たら買うって言ってる人も多かった。
天時地利人和、ほぼ揃ってた。PULLTOPは別に翻訳する必要すらなく、英語翻訳のライセンスを取るだけでSTEAMで寝てても稼げたはずなんだ……
日本では結婚年齢がどんどん上がっているらしいし、相手が見つからず結婚できない人も増えている。だから日本では「結婚しろ」と急かすようなコンテンツがいろいろ作られていて、恋愛と結婚の関係をあの手この手で説いて、こっちに結婚への憧れを抱かせようとする。ドラマだったり、音楽だったり、アニメだったり、漫画だったり……ゲームだったり。
『結婚主義国家』がまさにそういうゲームだ。ただ元々は小さな同人ゲームだったらしく、俺が遊んだ時点では最適化と改良が済んでいて……スマホゲーになっていた。
しかもこのゲームは何巻にも分割されていて、第一巻と第二巻は無料、以降は有料で一巻250円くらい。実は好奇心から探して遊んだんだけど、第一巻をやって続ける気が失せた。後の内容も平行世界だというので、とりあえず放置して、管の穴から豹を覗くじゃないけど、第一巻の内容だけを語る。
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